ランボルギーニ・マルツァル。
1967年発表、ベルトーネ(マルチェロ・ガンディーニ)によるデザインのコンセプトカーです。
ベルギーの会社、Glaverbelとのコラボレーションによって製造されたと言われ、2+2ではなく「フルサイズの」4つのシートを装備(そのためホイールベースは2620ミリ、と当時の車としてはかなり長い)。
マルツァルはジュネーブショーでの発表であり、この頃からジュネーブでコンセプトカーを発表する、というのはランボルギーニの通例であったようです。
ミウラのV12を半分に割った6気筒2リッター(ランボルギーニとしては最小か)エンジンをミッドに搭載しており、にもかかわらず当時で最高時速225キロを記録したと言われるのでなかなかの高性能(BMW Z3の2リッター6気筒モデルは200キロも出なかった)ですね。
シャシーもミウラのものを流用したとされますが外装は未来的で、4.5平方メートルとも言われる広いグラスエリアを持つのが特徴。
各部のデザインについては六角形(ヘキサゴン)を多用しており、これが現在のランボルギーニ・ウラカンに至るまで用いられているモチーフの原点かも、と思います。
とくに内装(ダッシュボード)における六角形はウラカンにも継承されており、現行モデルとの意外な共通項も。
ランボルギーニ・ミウラは「世界初の市販ミドシップスーパーカー」と言われますが、発売時期(1966年)を考えると、そしてシャシーを共有していることを考えると、このマルツァルと並行して開発されたと思われ、かつマルツァルのドアは「ガルウイング(シザースドアではなく、まさにガルウイング)」。
開き方こそは異なりますが、特殊なドアの開き方をするという意味では後のカウンタックに繋がるものがあり、マルツァルは「ミウラからカウンタック」への橋渡しとも言える歴史的なモデルなのかもしれません。
なお、2011年のConcorso d’Eleganza Villa d’Esteにて競売にかけられ、1億7000万円にて落札されています。