
| マセラティは本気で「スポーツカーメーカー」への回帰を狙っている |
マセラティが「ピュアエレクトリックモデルのテストを開始した」と発表し、その”エレクトリックサウンド”を披露。
同時に一遍の動画も公開していますが、この動画からはモーターの「叫び」を聴くことができ、マセラティは「音楽(エンジンサウンド)は変わりゆく」というコメントを添えています。
なお、マセラティは2018年に「2022年までの中期計画」を発表していて、これによると「アルフィエーリを投入」。
ただしその後2019年に発表された「修正」計画ではアルフィエーリのモデル名が消え、”新型スポーツカー”へと置き換えられることに。
マセラティが今後の「修正計画」発表。2020年にアルフィエーリと新型SUV、2021年には新型グラントゥーリズモ投入と発表
そしてマセラティはこれまでフェラーリからエンジンの供給を受けていたものの、その契約を「打ち切った」とも報じられています。
マセラティは今後に向けて大きく動く
こういった状況を見るに、マセラティ内部でも様々な試行錯誤がなされていることがわかるものの、ひとつ芯が通っているのは「エレクトリック化」。
マセラティはかなり早い段階からエレクトリックブランドへの移行を考えていて、フェラーリからのエンジン供給停止についてもその「布石」なのかもしれません。
そして今回公開された動画にとともに、マセラティは「次世代のフルエレクトリックモデルは特徴的なサウンドを持ち、ガソリンエンジン搭載スポーツカーに勝るとも劣らないドライビングプレジャーを持ち、エレクトリックカーならではの快適性を併せ持つ」とコメント。
なお、「サウンド」についてはエレクトリックモーター特有の「ヒューン」というサウンドに金属音が混じったもので、そこに全く「ガソリンエンジンっぽさ」がないのがイイ、と考えています。
多くの自動車メーカーは、クルマの楽しみはガソリンエンジンのサウンドにあると認識しているフシがあり、よってEVにおいても「ガソリンエンジン同様の」サウンドを与える、もしくは与えようとする傾向があると受け取っていますが、マセラティは異なるアプローチを取っていて、そこは大きく期待したいところです(つまりマセラティは”ガソリンエンジンのサウンド”のほかにドライビングプレジャーを高める方法を見出したと考えられる)。

最初のエレクトリック・マセラティはグランドゥーリズモとグランカブリオ
そしてマセラティは「最初のフルエレクトリック・マセラティは、グラントゥーリズモとグランカブリオ」と明言。
動画では実際に(現行)グラントゥーリズモをピュアエレクトリック化したプロトタイプを走らせていて、しかしもちろん新型グラントゥーリズモ/グランカブリオ発売にあたって、外観には「全く新しいデザイン」が採用されることになると思われます。
これら新型グラントゥーリズモ/グランカブリオについては2021年に投入というスケジュールを持っていて、となると今年にはなんらかの具体的なアナウンスがありそうですね。
そしてこの「エレクトリック」マセラティについて、トルクベクタリング4WDを持つこと、0-100km/h加速2秒ということも発表されています。

マセラティはガソリンエンジンも捨ててはいない
そしてもうひとつマセラティが開発を進めているのが「新型スポーツカー」。
つまりエレクトリック化されたグラントゥーリズモ/グランカブリオのほかに”ピュアスポーツ”が存在するということになりますが、これはマセラティによって新しく設計されるエンジンをミドシップマウントし、一説では「ハイブリッド化される」とも。
現段階ではアルファロメオ4Cの車体を拝借したプロトタイプを走らせているところではあるものの、この新型スポーツカーは2020年5月に発表する、ともすでにアナウンス済み。

よってこちらも近いうちにその姿を見ることができるということになりますが、長らく新型車の投入がなかったマセラティにつき、今年と来年で「新型スポーツカーと新型グラントゥーリズモ/グランカブリオ」という大きく注目の集まるモデルが発表されることになって、マセラティは一気にスポーツイメージを強めることに。
EVを発売するのは「時代の流れ」ではあるものの、ポルシェやアウディ、メルセデス・ベンツのように「4ドア」「SUV」ではなく「2ドア」「カブリオレ」をブランド最初のEVとして選んだというところに意気込みが感じられます。
なお、最近のマセラティはクワトロポルテやギブリ、レヴァンテのイメージが強く、「スポーツカーメーカー」という印象を持たない人も多いかもしれませんが、マセラティは1914年の創業で、もともとはレース用の自動車チューニング、レーシングカー作製を行う会社。
F1グランプリにてワールドチャンピオンを獲得したこともある生粋の「スポーツカーメーカー」ではありますが、デ・トマソが経営権を取得したのちにスポーツカーメーカーからラグジュアリーカーメーカーという性質を強めていて、これが現代に続くまでのブランドイメージを形成しているのかもしれません。※マセラティの歴史は、マセラティ公式サイトにも記載がある
ただ、直近の動きを見るに「マセラティがスポーツカー回帰」を強めていることは間違いなく、今年の「最重要ブランド」としてスポーツカー市場を席巻することになりそうですね。
VIA:Maserati