
| ホンダは人畜無害なデザインを持つクルマを作る方向へとシフトしている |
さて、新型ホンダ・シビックのパテント画像が流出。
これはCivicXI forumsに投稿されたものですが、正直「なんか普通になったな・・・」という印象です。
フロントグリルそしてヘッドライトが連結されているのはこれまで同様ですが、そこにシャープさはなく、フロントバンパー左右に設けられたグリルのサイズや出っ張りも小さく、かなり「大人しめ」だと思います。
ちなみにこちらが現行シビック・ハッチバック。

新型シビックのデザインは「アコード」似に?
そこでふと思ったのが、新型シビック・ハッチバックとアコードとの類似性。
ちなみにこちらがアコードですが、こちらに近い、ということがわかると思います。

こちらは新型シビックのリア。
左右テールランプをつなぐデザインは変わらず、しかし現行に比較して大人しいデザインに。
テールパイプが見えないので、このデザイン画像はPHEVモデルなのかもしれません。

現行シビック・ハッチバックと比較すると、リアバンパーに設けられていたグリル風デザインが消失。
現行シビック・ハッチバックは(タイプR含め)ダミーグリルが酷評されており、マイナーチェンジにおいてもその部分のデザインが変更されたため、ホンダとしてはその批判がトラウマになってしまったのかもしれません。

こちらはアコード。
リアバンパーの処理はやはりアコードに近いようですね。

サイドから見た新型シビック・ハッチバック。

こちらも現行シビック・ハッチバックとは大きく異なり、ボンネットが地面と「水平」に近い形状となっているようです。

やはりアコードに近いデザインを持つことがわかりますが、決定的なのはサイドウインドウ上部の加飾で、これは新型シビック・ハッチバック、アコードとの類似性があり、これを見ると「新型シビック・ハッチバックをアコードに寄せている」のは間違いなさそう。

なお、この「サイドウインドウ上部の加飾」は最近ちょっとしたブームで、レクサスは「LC500」にて、日産は新型フェアレディZプロトタイプにて、そしてホンダはアコードにてこれを採用している、ということに。

なぜホンダのデザインはどんどんマイルドに?
そしてちょっと不明なのは、なぜホンダがこれまでの「エッジを多用したデザイン」をやめ、マイルドな方向へ向かうのかということ。

このマイルドなデザインは新型フィットでも顕著ではありますが、ホンダは今後過激なデザインを採用しない可能性もありそう。

その理由は謎ではあるものの、ホンダはフィットの開発において「使いやすいタオル」をイメージしたといい、開発の指標を数字から感性にシフトさせた、といいます。
この意図としては、「数字はすぐに追い抜かれる」ものの、感性など「目に見えないもの」は不変の価値を持っている、ということが背景にあるようですね。
たしかにスーパーカーにおいても、馬力や加速性能、最高速はすぐに更新されてしまいますが、「カッコよさ」という、感覚に訴えかけてくる要素は他社製品と単純に比較できるものではなく、タイムレスな魅力を放つとも考えられます。
もはや欧州では過激なデザインは受け入れられない
そしてもうひとつぼくが「ホンダがマイルドになっている」理由として、欧州の自動車に対する考え方、環境に対する考え方の変化があるとも推測しています。
現在欧州ではCO2排出、環境負荷に対して非常に神経質になっていて、自動車メーカーとしては環境性能を向上させることはもちろんのこと、使用する素材についても「再生素材」を使用したり、逆にレザーのような「動物由来の素材を使用しない」方向へ。

そういった環境下では、見た目からして「CO2を排出しそうな」グリルやマフラーを強調したクルマ、いかにもスピードを出しそうなクルマは「デザイン的に」許されないんだろうな、とも考えているわけですね(実際に、それがいかに環境負荷の小さな車であったとしても)。
よって、ホンダのデザインは今後、「知的で、環境に溶け込むような、そして刺激を感じさせない」、上質なタオルみたいになってゆくのかもしれません。

次期シビック・タイプRはどうなる?
そして気になるのが次期シビック・タイプR。
英国スウィンドン工場が閉鎖され、開発拠点はアメリカに移されるとのことですが、おそらくアメリカはまた欧州とは異なる(自動車に対する)考え方を持っているので、「楽しさ」や「見た目から感じられるパフォーマンスの高さ」を意識したデザインになるんじゃないかと予想。
ただ、それでも世界的にスポーツカーの肩身が狭くなってゆくことに違いはなく、それでも過激な外観とスペックを持つであろう新型シビック・タイプRについては、「限定」という免罪符とともに登場する可能性があるかもしれない、と考えたりもします。