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マツダがまだロータリーを諦めていない2008年に発表した「3ローター」エンジン搭載”風籟コンセプト”。トップギアが全焼させてしまう前の姿を見てみよう

2019/12/10

| そしてその姿は二度と復元されることはなかった |

さて、先日はマツダの「風籟コンセプト」のデザインに関わった元マツダのデザイナー、カルロス・サラフ氏が立ち上げた新プロジェクト”Salaff C2”を紹介しましたが、今回は「風籟コンセプト」そのものを見てみたいと思います。

風籟(FURAI)コンセプトはマツダが2008年のデトロイト・モーターショーにて発表したコンセプトカー。
デザイン的には現在の「魂動」とは異なる、ひと世代前のデザイン言語を採用しています。
これは” 動きやエネルギー、軽やかさを感じさせる「Flow(フロー、流れ)」を造形やラインに表現 ”したとマツダが述べるもので、2006年のコンセプトカー「マツダ流(ながれ/NAGARE)」ではじめて視覚化されたもの。

ちなみにこの「NAGARE」デザインを最初に採用したマツダの市販車は、今はなき「プレマシー」。※サイドのプレスラインに、FURAIコンセプトと同じデザインが見られる

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マツダ「NAGARE」シリーズはこういった構成を持っている

なお、この「NAGARE」デザインについて、コンセプトカー「流(ながれ)」に端を発するのは上述のとおりですが、こちらがその流。

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NAGARE第二弾は「流雅(りゅうが)」。

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第三弾は「葉風」。

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そして第四弾は「大気」。
第五弾が今回紹介する「風籟」となります。

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風籟コンセプトはこんなクルマ

そして風籟コンセプトですが、これは一連の「NAGARE」とは異なって「レーシングカー」。
「風の音」を表すネーミングを持ち、その名の通り風を切り裂く音が聞こえてきそうなクルマです。

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このFURAIコンセプトについて重要なことが2つあり、1つ目は「市販化は当初から考えられておらず、当時アメリカン・ル・マン・シリーズに参戦することを考えてデザインされた」こと。※コンセプトカー自体も実際のレーシングカー、クラージュC65のシャシーが使用されている
ただし、これはいくつかの問題(次期的にはリーマンショックの影響が大きい?)のためにレース参戦は結局実現せず。

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そしてもうひとつは、「ロータリーエンジンを積んでいた」こと。
当時マツダはまだロータリースポーツの未来を諦めておらず(今でも諦めていないと思われますが)、このFURAIコンセプトは「3ローター」R20Bを搭載し、E100エタノールにて走行するという仕様です(450馬力)。

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リアから見ると、「ロータリー型」エキゾーストシステムも見えますね。
この時代、マツダは(現役だった)RX-8の内外装あちこちに「ロータリーモチーフ」のデザインを用いるなど、とにかくロータリー推しだったことが改めて思い出されます。

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インテリアも完全に「レーシングカー」。
シートのヘッドレスト部分もまた「ロータリーエンジンモチーフ」なのでしょうね。

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このFURAIコンセプトは実際にラグナセカ、バトンウィローでも走行テストを行っていますが、トップギアによるテストドライブ中の事故によって「帰らぬクルマ」となってしまいます。

トップギアのテストによって「全焼」

マツダはFURAIのデビュー後まもない2008年にトップギアへとテストのために車両を貸し出し、イギリスのベントウォータースパーク空軍基地にてフォトセッションを行っている際、エンジンルームから煙が出ているのを発見。
幸いにもドライバー(マークティス・ハースト)は脱出に成功したものの、消火活動を行う前にFURAIコンセプトは一瞬で炎上してしまったようですね。

その後マツダは「残骸」をカリフォルニア州アーバインにあるアドバンスト・デザイン・スタジオへと持ち込んで再生を試みるも、二度とその姿を取り戻すことはなかった、と報じられています。

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ちなみにこの事故が明らかになったのは2013年で、つまり炎上から5年が経ってから。

この際、デザイナーであったカルロス・サラフ氏は米Road and Track氏にこう語っています。

「あれは本当に辛い事故だった。私は身も心もFURAIコンセプトに捧げ、我が子のように感じていたクルマが燃えたのだ」。

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