
| なぜスバルは半導体(チップ)確保に失敗したのか |
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たしかにスバルは各自動車メーカー中、かなり早い段階からチップ不足による減産を行っていた
さて、主要市場の米国、そして日本でも販売が大きく落ち込んでいるスバル。
特に米国市場ではトヨタ、マツダ、ホンダが2021年の1~10月に2桁の増加率を記録し、現代・起亜自動車が10月までの期間に29%の販売増となったにもかかわらず、スバルだけはコロナまっさかりの昨年よりもさらに今年の数字が悪くなっています。
これについては、「ラインナップが少なく、かつラインナップ間での差異が小さく、そしてここしばらくデザインの変化がなかったスバル」に人々が飽きてきたんじゃないか」と考えていたものの、どうやら実際はちょっと事情が異なるもよう。
単にスバルは半導体(マイクロチップ)の獲得に苦戦しているだけだった
いったいそこにはどういった事情があるのかということですが、簡単に言うと「他自動車メーカーに比較して、スバルは半導体の確保に苦戦しており、チップを手に入れることができていない」という単純なもの。
米国では現在45,000台の受注残があるといいますが、スバルはこれを消化するだけのチップを確保できておらず、現在の「受注と納車(生産)とのペース」を照らし合わせると、なんと「毎月10,000台づつ受注残が増えてゆく」計算なのだそう。
そしてSUBARUの中村知美社長によると、「この状況は最低でもあと一年は続く」。
つまり、月1万台であれば1年で12万台の受注残がここからさらに積み上がってゆくことになり、これはピークで70万台(北米市場のみ)を販売したスバルにとってはかなり痛い数字です。

スバルはここまで11年連続で成長してきたが
なお、スバルは2019年まで11年連続で米国市場における販売台数記録を更新してきましたが、2020年にはコロナの影響にて13%も販売が減少してしまい、その後コロナから世界が回復しつつある過程において「半導体不足」に見舞われることになり、2021年は2020年に比較してさらに販売が縮小するのは間違いのないところ。
そしてこの状態があと1年続くのであれば、2022年の見通しも明るいとは言えず、まさかの「3年連続での販売減少」となりそうです。
ちなみにチップ不足については各メーカーとも等しく影響を受けているわけではなく、たとえばテスラは「かなり影響が小さい部類」。
一方でフォルクスワーゲン、スバル、メルセデス・ベンツは影響が「かなり大きく」、とくにフォルクスワーゲンは生産台数がなんと半減しています。
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唯一救いがあるとすれば、スバルはWRXやBRZ、ソルテラなど魅力あふれる新型車を発表していて、現行車種についても高い人気を誇るほか、「ウィルダネス」シリーズも高い評価を得ているといい、つまりは「顧客の支持が厚い」こと。
よって「長い納車待ちを耐え忍んだとしても」欲しいと思わせるクルマが揃っていることになり、そのためチップ不足が改善されたならば、その販売は「3年間の不振をチャラにしてお釣りが来るほど」成長することになりそうです。
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参照: Automotive News