| レクサスはミニバン発売でパラダイムシフトを発生させることができる可能性も |
レクサス専門サイト、「LEXUS Enthusiast(レクサス・エンスージアスト)」が報じたところによると、「レクサスがミニバンを投入するのは時間の問題」とのこと。
この流れとしては、まずレクサス・マニラ(フィリピン)のトップであるレイモンド・ロドリゲス氏がレクサス本社に「ミニバンの投入要請」を行い、その結果を持って「投入が期待できる」とカーメディアに語ったところにはじまっている、とのこと。
なお、フィリピンではアルファードなどミニバン需要が高く、メルセデス・ベンツのミニバンも高い人気を誇っているようで、レクサスブランドのミニバンがあれば、そのマーケットを囲い込めるとレクサス・マニラは考えている模様。
具体的にはアルファードやヴェルファイアをレクサス向けにアレンジして発売、ということをイメージしているようですね。
ミニバンの人気不人気はその国の道理事情による
ちなみに米国ではミニバンの人気が低く、逆にSUV人気が非常に高い状態。
よって米国人の反応としては「いやいやレクサスのミニバンは意味がないだろ」というもので、これは「その国の事情」による差だと言えそう。
というのも、アメリカは道路が広く駐車スペースも大きいので「7人(ときには8人)乗りSUV」でもらくらく乗り回すことができ、そもそもミニバンの必要性がないのかもしれません。
ですが、日本や香港、フィリピンなど「土地が限られている」地域ではより小さな車に、より大きな積載能力を持たせる必要があって、「7人/8人乗りSUV」となると大きすぎて使えず、よってミニバン需要が発生するのでは、と考えるのですね。
現実的にレクサスはじめ、VWほか各メーカーも「3列シートSUV」をこぞってアメリカに投入していますが、これらはやはり日本や東南アジア、そして欧州でも大きすぎるのか、そもそもそれら地域では発売されていなかったり、発売されても人気がない模様。
「レクサスのミニバン」はアリか?
なお、ぼくはレクサスのミニバンについては賛成派。
アメリカでは「ミニバン=主婦のクルマ(とアンジェリーナ・ジョリーがMr.&Mrs.スミスで言ってた)」という認識があるのでブランドイメージを傷つける可能性があるかもしれませんが、現在レクサスは欧州コンプレックスを捨てて「和風」へとブランドシフト。
レクサスのサイトにも「OMOTENASHI(おもてなし)」というコンテンツがあるほどで、レクサスがメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといったジャーマンスリーに差を付けるには「ここしなかい」と認識しており、そしてミニバンは「おもてなし」の最たる例だと考えているわけです。
スライドするドア、ファーストクラスをイメージしたシート、低いフロアなど「人に優しい」装備が満載で、たしかにドライバーズカーとは相容れないものがあるものの、しかし欧州や米国のメーカーが持たない価値観がふんだんに盛り込まれたのが日本のミニバンだと考えています。
欧米ではやはり商用イメージが強いようではありますが、メルセデス・ベンツのミニバン「Vクラス(スプリンター)」をVIP向けや、高級ホテルが送迎用に「ラグジュアリー仕様に」カスタムする例も。※香港だと、最高級ホテルのペニンシュラもカスタムしたアルファード(ヴェルファイアだったかもしれない)を顧客送迎用に導入している
しかし、ここでレクサスがもともと「高級な」、カスタムする必要のないラグジュアリーミニバンを発売すれば、こういったVIP向け需要も取り込めることになり、世界中を旅する富裕層も、出先でレクサスの送迎用ミニバンにはじめて乗って「今までミニバンをナメてたが、レクサスやるじゃない」と感じたり、それがきっかけでレクサスのクルマを購入する可能性もあるかもしれません。
1989年に「レクサスLS(セルシオ)」で高級車の概念をひっくり返してみせたように、今回レクサスはミニバンで新たな需要を作り出すことに挑戦すべき時期なんじゃないか、とも考えています。
そうすればジャーマンスリーとは別の価値観を世に知らしめることができ、レクサスは「一味違う」ということを周知させたり、「日本」の持つイメージを最大限に利用したブランディングができるようにも思いますし、そもそもジャーマンスリーと同じ路線でレクサスは「勝てない」ことが明確になっていて、レクサス自身も差別化の方向性を模索しているとも報じられており、”今こそチャンス”だとぼくは考えているのですね。
VIA:LEXUS Enthusiast