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【動画】ケーニグセグがいかに自動車ビジネスが難しいかを語る。「開発コストの60%以上は、世界中の法規に適合させるために費やされる」

2020/05/21

| そもそも各国の法規を調べて把握するだけでも相当な時間と手間がかかりそうだ |

koenigsegg

様々な事情をいつも赤裸々に語るケーニグセグCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏ですが、今回は「世界中の法規に適合するようにクルマを作ることがいかにコストがかかるか」について言及。

今回公開された動画によれば、車両開発コストのうち、じつに60%がその「法規に適合させるため」に支払われているという驚愕の事実を語っています。

この「法規に適合させる」には様々な方面から調整が必要になり、ランプ類の位置や照度についても国ごとに決められていて(日本だと地面からの高さ等細かい規定がある)、さらには突起物や付加物の形状や位置、取り付け方法といったものも。

なお、シボレーのボウタイエンブレムはデザイン上鋭角な部分がありますが、ここが「尖っている」という理由でシボレーのクルマが車検に通らないといった不条理な事例も過去にあり、そういった「世界中の法規を調べて理解する」だけでも相当な時間と手間がかかりそう。

もっともコストがかかるのはクラッシュテスト

そしてケーニグセグが語るには、もっともお金がかかるのは「クラッシュテスト」。

欧州や北米でクルマを販売するには、それぞれの地域において実際にクルマをクラッシュさせて安全性を立証/確保する必要がありますが、これはテストの都度(クラッシュ用車両が)必要となり、さらにテストの種類ごとに必要になるわけですね。

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大量生産を行う自動車メーカー、そして車両価格が高くないメーカーであればこういったコストも「販売台数で割ることで」吸収できるものの、年間数百台レベルのハイパーカーであれば、その数百台のために、欧州や米国での試験をクリアするために数台を潰さねばならず、これはたしかにかなりの痛手。

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もちろんクラッシュテストを行う前にも自社で様々なテストを行う必要があり、これについても相当な台数を「消費」してしまうことになるため、生産台数が少ないクルマであればあるほどコスト、ひいては販売価格が高くなるわけですね。

なお、ケーニグセグ「レゲーラ」はわずか80台のみの限定生産ですが、その5〜10%に相当する台数はテストによって「潰されている」ことになりそうです。

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参考までに、マクラーレンP1は14台が開発のために製造されていますが、クラッシュテスト等によって9台が廃棄されてしまい、残ったのはわずか5台。

パガーニは長らく北米での販売を行なっていませんでしたが、これは北米における販売に必要なクラッシュテストのコストを捻出するのが難しかったためで、つまりそれほどまでに少量生産メーカー、さらに高額車を製造するメーカーにとっては負担になっているということですね。

こういった規制は世界中にて統一し、それによって各自動車メーカーの開発コストを削減すればいいんじゃないかとは思うものの、なぜかこれは実現しそうにありません。

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そのほかコストが要求されるのはやはり安全性に関わる部分であり、自動ブレーキやエアバッグ関連もバカにならないとのことですが、世界中で出願しておかねばならない商標や特許に関する費用もやはり安いものではなく、自動車を作るというのはかなり難しいビジネスであるのは間違いなさああそう。

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さらに、一旦世に送り出したクルマにリコールが発生すればお金が一気に飛んでゆくことになり、致命的欠陥が見つかれば賠償金等も必要になってくるため、つくづく自動車メーカーというのは「割に合わない」商売なのかもしれません。

そして「割に合わない」のはケーニグセグのような少量生産メーカーにこそ顕著であり、小規模メーカーは「情熱」がなければとうていやっていけない(お金儲けを第一に考えると成り立たない)ということもわかりますね。

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VIA:APEX ONE

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