ジャガーXEのディーゼルモデル「XE 2.0 R-Sport」に試乗。
価格は549万円とジャガーとしてはかなり安価な部類。
XE自体がジャガーではもっとも小柄なモデルとなりますが、それでも全幅1850ミリの堂々ッタルサイズです。
実際のところXEそのものは購入対象ではないのですが、購入を考えているジャガーFペースのディーゼルモデルにXE20dと同じエンジンが搭載されており、ディーラーさんの厚意で「雰囲気を掴めると思うので」ということで試乗させていただくこととなりました。
さて、ぼくは今までジャガーの購入経験はなく、しかしぼくにとってもジャガーというのは非常に憧れのあるブランドです。
ご存知の通りランドローバーとともにタタに買収されていますが、そこから驚異の回復を遂げている企業ですね。
長らくは伝統に忠実なブランドではありましたが、現行世代のXJにて市販車初のアルミフレームを採用して価格も1000万円という(アルミフレームとしては)比較的アフォーダブルな価格を採用し、かつ旧来のデザインを捨ててガラリと雰囲気を変えてきたのは非常に勇気のある戦略を取っています。
XEはそのアルミを車体の70%ほどに採用しており、それを考えるとこの価格は非常に訴求力があると考えて良いでしょうね。
さて早速外観をチェックしますが、現行ジャガーのセオリーに則ったデザインが採用され、先に登場しているXFの流れを踏襲。
全体的に破綻のないデザインで現代のジャガーらしい雰囲気を持っています。
ドアを開けて乗り込みますがサイドシルがかなり低く乗り降りしやすいのは良いですね。
シートは表面が柔らかく、適度な反発力をもって沈み込むタイプ。
表面の硬さでスポーティーさを演出する仕様ではなく、快適性に振ったものではありますが、サイドのサポートが良く座っていて非常に安定感があります。
エンジンはセンターコンソールにあるスタートボタンで始動させ、その後にジャガー・ランドローバーではおなじみとなったロータリーコマンダーがせり上がってきます。
ディーゼルということでけっこう振動があるかと考えていたのですが、このあたりかなり振動は小さいと言って良いでしょうね。
BMWやメルセデス・ベンツのディーゼルはけっこう振動がありインジェクターの音が大きいのですが、ジャガーのディーゼル仕様インジニウムエンジンは非常に静か。
ガソリンエンジン並みとまではゆきませんが、他社のディーゼルと比べると静粛性は非常に高いと言えます。
なおこの時はエンジン始動直後の冷間時なのでとくに音が大きかったようで、走行してエンジンが暖まるとアイドリング時の音はほとんど気にならないレベルに。
ただそれでも「ジャガー」というブランドを考慮すると静粛性に満足できなかったのか、交差点などで停車するとかなり早い段階でアイドリングストップを行い、「停車時のアイドリングを極力避ける」プログラムになっているように感じます。
再始動時の振動はあるもののさほど大きくはなく、ポルシェ981ボクスターと比べると「同等」レベル。
ただしこれも「ジャガー」として考えると比較的大きな振動と音ということで、ディーゼルとガソリン両方を乗り比べるとガソリンを選ぶ人が多いそうです。
要は判断基準を何に置くかということですが、国産の高級車(ガソリンエンジン)と比較するとアイドリング時の音や振動/再始動時のそれも大きく、他の輸入車(ディーゼルはもちろんガソリンも含めて)に比べると小さい、と考えて良いかもしれませんね。
そしてジャガーというブランドや車の性格を考えると許容できない人がいて、そのためにジャガーもけっこう対策を考えている、と思われます。
ぼくに関して言えば、正直このディーゼルエンジンの振動や音は全く気にならないレベル。
スポーツカーに乗ることが多いとはいえ最近ではBMW i3など内燃機関を持たない車にも乗っており、それでもこのジャガーXEのディーゼルエンジンは許容範囲内と考えています。
それよりもむしろディーゼル特有のトルクの太さ、息の長い加速を考えるとディーゼルモデルの方が扱いやすいとも言え、燃費を考えてもディーゼルを選んだ方が良いだろう、と考えています。
なお加速時などエンジンに負荷がかかるとちょっとディーゼルっぽい音やノイズが聞こえますが振動はとくに感じられず、このあたりは音楽をかけておけば気にならないのではと思われます。
逆にマツダのディゼルエンジンはアイドリング時に音と振動が大きく、走行時になるとガソリンエンジン同様の静粛性を発揮するように記憶しており、このあたり各社対策が異なるところで、ひとくくりに「ディーゼルエンジン」として語ることはできなさそうです。
ちなみにディーゼルエンジン(2リッター)モデルの0-100帰路加速は7.8秒、燃費はリッター17.1キロ。
ガソリンエンジン(2リッター)のほうは同じく7.7秒、リッター11.8キロ。
パフォーマンス的にもディーゼルだからといって劣るところはなく、F-PACEを購入するとしても、まず間違いなくディーゼルエンジンを選ぶと思います。
F-ペースの場合はガソリンエンジンが3リッターしか選べず、ディーゼルモデルとの価格差が200万円程度ある、というのもディーゼルエンジンを選ぶ理由ではありますね。
足回り、ハンドリングに関してはさすがジャガーというところで、高速であっても低速であっても多少荒れた路面でも変わらぬ快適な乗り心地を発揮。
Fタイプはかなりどっしりとした味付けですがXEは軽快で、非常に軽い操作感。
このあたりジャガーは車の性格ごとにしっかり性格を変えているのでしょうね。
ステアリングは速度感応式ですが、これが非常に優秀で、狭いところは運転しやすく、高速域だと過敏にならずしっかり安定。
ブレーキにおいても踏力に応じてしっかりと効くタイプで、「走る曲がる止まる」に関してはかなり高いレベルにあります。
車体のロールも少なく、しかし足回りは硬いわけではなく(柔らかいわけでもない)、シートとのバランスも良く試乗中に違和感や疲れを覚えるような場面はまったく無し。
なおタコメーターの数字が「6」までしかなく、レッドゾーンは「5」からなので常用域は「1〜4」の間。
4までが通常回転域となっているタコメーターというのが非常に新鮮でした。
試乗記について
ランボルギーニ、AMG、アルファロメオ、VW、ジャガー、ベントレー、ルノー、ミニ、フェラーリ、マクラーレン、テスラ、レンジローバー、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダ、レクサス、メルセデス・ベンツ、BMWなどこれまで試乗してきた車のインプレッション、評価はこちらにまとめています。
ジャガーXEを見てきました。
もっとも安いモデルで488万円、と「破格」とも言えるプライスが魅力のニューカマーです。
かつてのフォード・モンデオベースのジャガーのように安っぽかったらどうしよう、と思っていたのですがそこはしっかりジャガー。
最新のデザインを採り入れた前後ランプ、内装のつくりやコマンダーなど、「ジャガーらしさ」満点。
かなりコストパフォーマンスが高いモデルと言え、ディーラーに配備されたらいちど試乗してみたいと考えています。
なお大阪ではグランフロントに展示されましたが、このスペースはほかにもマツダ、レクサスなど自動車の展示イベントに使用されることが多いようです。
ジャガーも過去にはF-PACEのコンセプトカーを展示していますね。
向かいにはすぐ「メルセデス・コネクション」があるのですが、意外とメルセデス・ベンツはこういった他メーカーの展示による恩恵を(お客さんが流入するので)受けているんじゃないか、と考えたりします。