ポルシェといえばRR(最近だとミドシップ)、ということでイマイチ人気がないのがFRポルシェ。
ですが944や968は非常に高いパフォーマンスとコントロールのしやすさを持っており、楽しく走るに最適とも言える車だと考えています。
そんなこともありぼくは一時期944か968の購入を真剣に考えたことがあるのですが、それがまた再燃。
とくに968は「クラブスポーツ」なるグレードがあり、ビビッドなイエロー、レッド、ブルーというボディカラーが存在することからも非常に魅力的。
そこで中古車検索をかけてみたのですが、驚くべきことにGoo、カーセンサーともにポルシェ968の中古車は「ゼロ」で、わずかにカブリオレが一台登録されているのみ。
944はもうちょっと多いですが、それでも「6台」のみ。
ちょっと前に調べた時はまだまだ選択肢が多く、「どうしよっかなー」程度に迷えたのですが、現在の状況は迷うことすら出来ない(968クーペはそもそも中古が1台も無いという異常事態)わけです。
おそらくは円安の時にあらかた海外に流出したのだと思いますが、「もう二度と水冷FRポルシェに乗ることは出来ない」と考えると、かなり寂しいものがありますね。
現在のポルシェの戦略やプロダクト・ポートフォリオを考えると、安価なFRスポーツモデルを作るということは全く考えられず、本当に「もう二度と手に入れることはできない」幻の車になってしまった、と言っても良いでしょう。
なお944は1983年から1991年まで製造され、4気筒NAと4気筒ターボが存在。
発売当初は911の後継とされ(今では信じられないことですが、ポルシェはずっと911に”取って代わる”モデルを追求していた)、1986年には「世界最高のハンドリングマシン」との評価も。
ただ不幸だったのは「ポルシェから発売された」ことで、FRで4気筒、しかも非力というところがポルシェファンに受け入れられなかったという不運な車であったと考えています。
これがもしポルシェからではなく他の自動車メーカーから発売されていたならば、もっと人気が出て現代に至るまでモデルチェンジを繰り返しながら製造されていただろう、と思うことがあるのですね。
その後継モデルである968もやはり4気筒エンジンを搭載していますが、排気量は200CC拡大。
こちらは944ほどの人気を獲得できずに1991年から1994年という短い間のみ生産され、ポルシェにとっては「最後の水冷FR」、そしてマカンが登場するまでは「最後の4気筒エンジン搭載モデル」であったわけですね。
1993年には50キロ軽量化された「968クラブスポーツ」が登場し、エアバッグ、リアシートなどが無かったためか「ベースモデルよりも安い」価格で登場(拡販の意図もあったと思いますが、これは万人向けのモデルではなく、シンプルに装備に比例した値付であったと思われる)。
それでもバケットシートやLSDが最初から装着されるなど、今のポルシェであれば逆に「高価」な設定がされるはずのモデルですね。
現在のポルシェは「装備が省かれた」モデルのほうがプレミアム的に高い価格設定となっており、この頃とは戦略が間逆であったとも考えられます。
ただ中古市場になるとこの「クラブスポーツ」はけっこうな高値を付けることとなり、ポルシェはこういったスポーツモデルが「儲けネタ」だと気づいたのかもしれません。
なおポルシェがこういった「色気」を出してきたのは996/986世代の後期からではないか、と考えています。
その頃から急にGT系の価格が上がり、かつメディア戦略も非常に上手になっていますね。