ロレックスが今年(2015)のバーゼルで発表したヨットマスター116655。
ロレックス初のラバーベルトで、ぼくとしては「ロレックスが流行に迎合した」ともいえる革命的なモデルだと考えています。
そういった意味では一部ロレックスファンに評判は良くないようですが、ぼくは新しいものが好きで、かつ今までからの変革やチャレンジを重要視しますので(ポルシェは水冷以降、ランボルギーニはアウディ併合以降という嗜好のとおり)、こういった”今までにない”ものは大歓迎。
ロレックスは今まで何が流行ろうとも一切見向きをせず、ひたすら我が道を見たわけですが、エクスプローラーII(216570)でケース外径42ミリ、初代と同じ24時間針の採用を行ったあたりからちょっと流れが変わってきています。
なお兄弟ブランドのチュードルでは比較的早い段階から流行を取り入れて市場の反応をうかがっており、ブラックケースやNATO風ファブリック、レザーブレスレットも見られますね。
※エクスプローラーIIの場合は流行に加え、自社製品で反響の強い”資産”を活用した形と言える
なお今までのヨットマスターはこんな感じ。
王道中の王道、キング・オブ・ロレックス、という感じです。
もちろん今までにもロレックスは各モデルでゴールドの腕時計を発売していますが、それらはすべてゴールドのブレスレットか、もしくはレザー(主にクロコダイル)ブレス。
今回のヨットマスター116655のようなラバーブレスはこれまで存在せず、しかし他のブランドではウブロ(ビッグ・バン)やオーデマピゲ(ロイヤルオーク・オフショア・クロノ)、カルティエ(カリブル・ドゥ・カルティエ)あたりが”ゴールドケース×ラバーブレスの有名どころです。
今回ロレックスではラバーベルトの採用だけではなくブラック文字盤(ロレックスはチェリーニ、ステンレスのスポーツモデルを除くとケースの近似色を文字盤として採用する傾向があり、そのためゴールドケースで黒文字盤、というのも珍しい)、ブラックのベゼルを採用し、かなりコントラストの強いモデルに仕上げていることが特徴で、これは明らかに前出のウブロ、オーデマピゲ、カルティエ等を意識しているとぼくは考えるのですね。
たとえば今までのゴールドモデルだとこんな感じで、今回のヨットマスターほどコントラストは強くありません。
ゴールドはそれ単体でも強烈なインパクトがありますが、ブラックと組み合わせることでさらにインパクトが強くなる傾向があり(シャネルJ12もその効果を狙ったものと思われる)、しかもベゼルやブレスレットにゴールドを使用しないことで(ゴールドの使用量が減るので)価格が安くなります。
つまり価格が安くなるのにインパクトは強くなる、という意味ではブラック×ゴールドは最強の組み合わせではないか、とも言えるわけです。
しかし、ブラックといっても単にゴールドとブラックレザーと合わせるのでは面白みに欠け(その場合はお金がなくてゴールドブレスのモデルが買えなかったんだな、と捉えられかねない)、しかしラバーやセラミックという新素材と組み合わせることでデザイン性・先進性が一気に向上し、「ゴールドブレスを買えなかったわけではなく、あえてラバーブレスを選んだ」感を出すことができる、とぼくは考えています。
なおラバーブレスといえどもさすがはロレックス、堅牢性を重視してラバーの中にチタンとニッケルとの合金によるブレードを仕込み、「千切れ」を防止した”オイスターフレックス・ブレスレット”を新規に開発・採用。
裏面には排水のためか大きな溝があり、ロレックスのゴツいオイスターケースとマッチしていますね。
装着可能であれば、このブレスレットのみを取り寄せ、今のホワイトレザーのベルトに飽きたら(デイトナの)ブレスレットをブラックレザーに交換してみようと考えていますが、ラグ部分を見ると形状的に装着は無理っぽいですね。