| テスラはこの状況を見越して「値下げ競争下でも生き残ることができる」ようにコスト管理を行ってきたようだ |
おそらくは「ついてこれない」新興EVメーカーが大量に倒産することになるのかも
さて、テスラは中国やアメリカ、日本そしておそらく全世界にて大幅値下げを行っていますが、どうやら値下げの効果は非常に大きく、中国の招銀国際金融(CMBI)が集計した1月9日〜15日の中国国内販売状況において、テスラの販売が急増した、とのこと。
なお、ロイターではこれを「値下げ効果が出た」と報じているものの、テスラが値下げを行った後に受注したぶんはまだ納車されていないものと思われるので、1月9日〜1月15日に販売(納車)されたのは昨年末のキャンペーン経由での受注分だと思われます。※現在、中国ではモデル3とモデルYの納期に2週間ほど必要となるので、年始の値下げ後に注文を受けた車両はまだ納車できない
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テスラの販売は1日平均で76%増
数字的なものを見ると、集計期間においてテスラの販売は12,654台となり、これは前年同期比で1日あたり76%の大幅増。
なお、同じ期間における中国国内自動車販売台数は全体で14.5%マイナスであり、テスラのライバルと目されているシャオペンは36%減少したというので、相対性を考慮するとテスラは「かなり伸びた」と考えていいのかも。
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そしてテスラの最大の対抗馬となるBYDはハイブリッド車を含めて40,435を販売し前年同期比2倍ほどに伸びており、こちらは台数そして伸び率とも「驚異的」。
ただ、今年はじめに行った(デモが起きるほどの)大幅値下げによってモデル3やモデルYの価格はBYDの(同程度の性能を持つ)EVの価格とほぼおなじになるそうなので(もちろんテスラはそれを狙って値下げの範囲を設定したものと思われる)、1月受注分の個体が納車される1月末〜2月のテスラの販売台数、そしてシャオペンやBYDの販売台数には(テスラがそれらのシェアを獲得することに成功したのか)要注目ですね。
テスラは「低コスト」モデルYの生産を開始
今回の中国での統計を見てわかるとおり「値下げすれば売れる」ことが証明されており、となるとテスラの競合他社も値下げに踏み切ることは間違いなく、ここからは一種の「消耗戦」となる可能性も出てきますが、そうなると気になるのが「各社とも、どこまでの値下げに耐えることができるのか」。
すでに中国ではBYD以外利益が出ていないと言われるので、もしかするとNIOやシャオペンは値下げを行うと一気に財政状態が苦しくなってしまう可能性も考えられます。
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ただ、そんな中でもテスラは「価格競争になること」を見越していたようであり、モデル3やモデルYのコストを下げ続け、現在では平均して製造コストが半分くらいまで下がっているという報道も見られます。
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よってテスラはこの価格競争においても耐え抜き、勝ち残る可能性が高いと考えていますが、さらにコストを下げる決め手が「ギガプレス」そして「4680バッテリー」。
工場によってはすでにこれらを導入しているケースもありますが、今回はお膝元のアメリカ、そしてテキサスのギガファクトリーにて、モデルYへ(コストの低い)4680バッテリーを搭載して生産を開始したと報じられており、しかしこれはどうやら一瞬で完売したもよう(ロングレンジ版モデルYよりも2,000ドル安く販売していたそうだが、現在は注文できなくなっており、テスラのサイトからも消えている)。
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つまり米国においても「価格が安ければ」一斉に消費者が注文するということが立証されたと考えてよく、今後テスラはなにかと「値下げ」を用いて消費意欲を刺激するという戦略を用いるのかもしれません。
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参照:Reuters, Teslarati