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そこにデザイナーの信念を見た。無駄なこだわりパーツ満載、レンジローバー・ヴェラールを見てきた

2017/08/26

発表されたばかりのレンジローバー・ヴェラール。
デザイナーのジェリー・マクガバン氏曰く「他と異なるのは”信念”だ」と断言するように、デザインに対しては他メーカーと全く異なるアプローチを行い、そして見事にそれを視覚化している、と思います。
実際にイヴォークは高額な年俸を誇る英プレミアリーグの選手間で「最も人気」な車であり、ヴェラールもすでに多くに受注を集めている、と報道されていますね。

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ヴェラールのボトムは699万円からとなっており、装備は簡略化されるものの相当な割安感のある設定。
展示されるのは「VELAR R-DYNAMIC HSE」で、ラインアップ中最も高価な10,530,000円という価格設定です。

パッと見た印象は、やはりこれまで画像で見た通り「ツルンとしている」というもの。
その印象は特にリアにおいて顕著で、「リアバンパーの出っ張りがない(そのぶん当てたら修理費用が高い)」ところ、複数のパーツやパネル、さらにはテールランプやマフラーといったパーツがあるにもかかわらず、それらを「ツライチ」に収めているのは見事としか言いようがありません。

とくにフロント〜サイド〜リア、と巡る黒いベルトのようなモールは秀逸。
車としては「必要がない」パーツで、これによって性能が向上するわけでもない、まさにコストを上げるだけの「無駄な部品」ですが、デザイン上では効果大。
こういったパーツはドイツのメーカーが採用を考えることはない(検討すらしないかもしれない)だろうな、と思える部分です。

それはこの(フラッシュマウントされた)ドアハンドルも同じで、そもそも前衛投影面積の大きなSUVには「ほとんど意味のない」構造であり、しかしこういった無駄さこそが今の車には必要なのだ、と思います。

無駄というとRダイナミックに与えられるゴールドというかブロンズの加飾。
レンジローバー・イヴォークに限定で設定された「ヴィクトリア・ベッカム」のようなイメージですが、この「超無駄」なパーツのなんと格好良いことよ、という感じ。
このパーツのためだけにお金を出して「Rダイナミック」を選ぶべきでは、とも考えさせられます。

テールランプはこんな感じで発光。
かなり「奥行き」を感じさせるデザインですね。

モデルネーム、バッジ類のデザインも抜かりはないようですね。
フォントやその形状、カラーに至るまで「こだわり抜いた」様子がわかります。

ヘッドライト、フロントはこんな感じ。
やはり凹凸が少なく、非常に特徴的なデザインを持っています。
ヴェラール自体が「引き算の」デザインで作られたとされていますが、おそらくは今後エアロパーツで「足し算」を行うチューナーが出てくるはずで(もう第一号は登場)、これはデザイナーのジェリー・マクガバン氏でなくとも「元々のデザインが乱れるのを」懸念してしまうところ。

こちらは内装。
爽やかなライトグレーを中心にブラックのアルカンタラがあしらわれており、洗練され、かつスポーティーな雰囲気があります。
各部の造形はこれまでのレンジローバーと共通性があるものの、メーターが「デジタル」になったり、ステアリングスポーク状のスイッチ、センターコンソール上のスイッチ類はパネル内に埋め込まれた「タッチ式」となっていて、一見すると「センターコンソールやステアリングのスポークには、光沢のあるガラス板のようなものがあるだけ」という印象です。

ルームミラーやカーナビも、スマートフフォンやテレビで言うところの「ベゼルレス」っぽいデザインとなっていて、かなりなハイテク感を感じさせるところ。
ただ、パネルの多くが「光沢のあるブラック」なので、お子さんがいらっしゃる場合は指紋だらけになることが容易に想像できますね。

ダッシュボードの質感もこれまでのレンジローバーとは異なりますが、無機質な部分がツルリとしていて、レザーのような有機物が凹凸を持っている、と言うのはなかなかに面白いと思います。
内装のカラーもそうですが、「コントラスト」をカラーや光沢、質感において表現しているのでしょうね。

他内装の画像。



繰り返しですが、ヴェラールの最も安価なモデルは衝撃的な699万円(イヴォーク登場時と同じ戦略で、このままでは装備がかなり不足しているものの)で、「699万円でこの車に乗れるんか・・・」というのは異常なインパクトを持っています。

現代はどんな車でも「アクセルを踏めばある程度のスピードが」出ますし、制御技術の発達によってコーナリング時やブレーキング時、条件の悪い路面での走行安定性も向上しており、エアロダイナミクス面の向上は高速安定性にも貢献。
よって「性能で車を選ぶ」時代は既に終焉を迎えており、これから車に求められるものはこういった「無駄」なんじゃないか、とも思います。

現代の若者が車を求めない理由の一つとして「なくてもいいから」というものがありますが、つまりは車自体が既に「無駄なもの」になっていて、しかしその中でさらに無駄を極めることが今だからこそ意味をなすんじゃないか、ということですね。

昔の偉人が「最も不要と思えるものこそが、最も必要なものである」という名言を残していますが、まさにその名言を地で行くのが「レンジローバー・ヴェラール」なのかもしれません。

同時に展示されていた、他のレンジローバーたち。
イヴォークのこの「オレンジ」は来年モデルからなくなる模様。

その他画像。

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