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【試乗:BMW3シリーズ(G20)】もはや「3」を超えて「5」に近い!とことん快適性を追求し、その乗り味はレクサス的な一面も

2019/03/11

メルセデス・ベンツ、アウディの持つドイツ車的印象からは大きく離してきた

さて、モデルチェンジされたばかりの新型BMW 3シリーズに試乗。
試乗車として配備されたのは「320i M Sport」で、内外装が「M」仕様に。

具体的にはエクステリアだと「Mエアロダイナミクス」「クローム仕上げキドニーグリル」「LEDフォグランプ」「18インチMライトアロイホイール(ダブルスポーク790M)」「Mスポーツブレーキ」「Mスポーツサスペンション」「バリアブル・スポーツ・ステアリング」「デュアル・エキゾースト・テールパイプ」、そしてインテリアだと「Mスポーツ・レザー・ステアリング」「スポーツシート」「ヴァーネスカ・レザーシート」「アルミニウムトリム」「専用ドアシルプレート」「M専用リモコンキー」等が装備されています。

試乗したBMW 320 i M Sportの価格は583万円

日本に導入されるグレードは「BMW 320i(184馬力/5,230,000円)」「BMW 320i M Sport(184馬力/5,830,000円)」、「BMW 330i M Sport(258馬力/6,320,000円)」の3つ。※何もついていない320i SE(4,520,000円)もあるが、これは実際に売れることはないかも

つまり今回試乗した3シリーズは583万円のクルマということになり、アウディであれば「A4 40TFSI スポーツ Sラインパッケージ(190馬力/622万円)」、メルセデス・ベンツだとC200アバンギャルドAMGライン(184馬力/597万円)が競合相手となりそう。

BMW 320i M Sportのボディサイズは全長4715ミリ、全幅1825ミリ、全高1430ミリ、そしてエンジンは2リッターターボで184馬力。
トランスミッションはZF製の8速ATを搭載しています。

新型3シリーズの外観についてはすでに公開したレポートに詳細を記載していますが、印象としては塊感が強く、凝縮感と力強さを感じさせるもの。
歴代3シリーズにおいてはかなりスポーティーなデザインを持っている方だと考えています。

なお、ボディサイズが5シリーズに近くなったのと同様、その質感も5シリーズにかなり接近していて、パーツだけを見ると「5シリーズを超えている」と感じさせる部分も。

新型BMW 3シリーズに乗ってみよう

そこで早速試乗に移りますが、試乗する320i M Sportをスタート地点まで移動させる際に気づいたのは「けっこう太くていいエキゾーストサウンドを出している」。
近年のBMWには珍しい類の音質でもあり、なかなかに頼もしさを感じさせる音でもありますね。

そして一旦エンジンを停止させてからクルマに乗り込みますが、ドアを開けるときの質感や音、ドアを閉める時の音も「5シリーズ」並みで、ひとことで言うと「高級車」。

インナーパネルやその他の部分が振動する印象もなく、高い剛性感を持ってドアが閉じ、個々もやはり安心を感じさせる部分でもありますね。

けっこうこの「ドアの音」は重要だと考えていて、乗降の都度毎回耳に入る部分もであり、この部分の満足度が高ければクルマに対する満足度も高くなる、と考えています(たとえばトヨタCH-RとレクサスUXは同じボディを使用していても、ドアが閉まる音が全く違う。レクサスはその商品力を上げるためにドアの開閉音をチューニングしてきた)。

そして人間とは「感覚で生きる」生き物のようで、内装がビビったりするとそのクルマのボディ剛性が低いように感じることがあり、こういった「感覚」に訴えかける部分は非常に重要だ、と考えています。

その後シートやステアリングホイールの位置を合わせてさあスタートとなりますが、エンジンスタート時における振動、騒音もかなり抑え込まれていることもわかります。
ただ、外から聞くと「けっこういい音」だったのに、そのサウンドが車内に届かないのはちょっと残念。

そしてアクセルを踏んでクルマを走らせますが、「パーキングブレーキが解除」される際の衝撃やサウンドが極めて小さく(皆無と言っていい)、このあたりもワンランク上のクルマに乗っているという印象を受ける部分です。

そして走り出して感じるのは、これまた快適だということで、先代3シリーズに比較して極端にノイズ、バイブレーション、ハーシュネスが抑えられている印象があります。

BMWの主戦場はアメリカで、そしてアメリカではこの「NVH」が評価において非常に重要な要素となりますが、BMWはそこを徹底的にリファインしたと考えて良さそうですね。

トランスミッションのマナーも非常によく、この8速ATはおそらく新型スープラに搭載されるもの(ZF製/8HP51)と同じだと思われます。
全く変速ショックを感じさせず、どこからでも必要なパワーを取り出せるという意味でエンジンとのマッチングも良好。

BMWは「これ以上のトランスミッションはない」と胸を張りますが、その自信にも納得です。

ハンドリング、ブレーキも申し分はなく、ロール、ピッチともにほぼ抑え込まれており、しかし(メルセデス・ベンツのような)不自然さはそこになく、高いドライバビリティを持っていることがわかります。

なお、ステアリングホイールはかなりグリップが太く、そして「小径」サイズ。
グリップ内部にはパッドが入っているので握り心地も良く、これもまた車両の印象を高めている部分であり、BMWは聴覚や触覚といった「感覚」で感じる部分を大きく改善してきたようですね。

雰囲気的にはメルセデス・ベンツのようなどっしりとした感覚、アウディのようにダイレクトなフィーリングではなく、「(操作系ふくめ)軽くスムーズ」というもので、これは欧州車というよりはレクサスにかなり近い、という印象。※ここ最近、ボルボ含めてレクサス的な乗り味を持つクルマが増えてきた。その意味ではレクサスはついにベンチマークとなったのかも

インフォテイメントシステムも一新されてメーターはフルデジタルになり、その横のモニターもメーターと「水平」位置にあるために視線の移動が最小限で済むのもいいところ。

インテリアに使用されるパーツの多くは8シリーズなど上位モデルとの共有となっており、個々は3シリーズが恩恵を受けていると思われるところで、アンビエントライトが装備されるなど雰囲気も抜群ですね。

正直言うと、サルーンとしてこれ以上のものを望む必要はないと思わせるほどの出来で、上位クラスのクルマを購入する理由があるとすれば「車格」そして「パワー」くらいかも。

それほど装備や質感が高く、手に触れるもの、耳に入るもの、体で感じるものが高いレベルにあるということですね(唯一気になったのは細かい衝撃を拾うことで、コツコツした振動を車内に伝える)。

とくに乗り心地と安定感については5シリーズよりも上なんじゃないかと思えるほどで、おそらくこの新型3シリーズはかなりなヒットとなりそうな予感です。

E36世代の3シリーズに乗っていた身としてはその後のE46でブッシュ類が柔らかくなった際に「日和ったな」と感じたものですが、その延長線上でこのレベルを達成したのであれば「その方向転換も間違いではなかった」と言えそう。

その意味ではもはやこのクルマは3シリーズというレベルではなく、「限りなく5に近い」クルマなのかもしれません。※実際にプラットフォームは5シリーズと同じCLAR
そしてそれは「4シリーズ」を独立させたからこそ可能となったことで、3シリーズは(スポーティ路線は4シリーズに任せて)サルーン街道まっしぐら、ということなのでしょうね。

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