| BMWは今後トルコンATの採用を拡大する意向 |
BMWは新型Z4を発表していますが、そのトップレンジである「M40i」のトランスミッションはATのみ。
しかも「DCT」ではなくトルコンATを採用しているのがミソで、このATについてBMWは「これ以上のトランスミッションはない」と自信を見せています(たしかに発表されたばかりの”最強”3シリーズ、M340iもトルコンATのみ)。
なお、このトランスミッションはZF製となり、新型トヨタ・スープラにもこれと同じものが搭載されると見られていますね。
ATにはどんな種類がある?
ATは「オートマティック・トランスミッション」の略ですが、つまりは「自動変速」。
そして自動変速の種類にもいくつかあり、たとえばランボルギーニ・ガヤルドに採用されていたような「ロボタイズドMT」。
これはマニュアル・トランスミッションのクラッチを、人の(左足の)かわりに油圧ロボットが自動的につないだり切ったりしてくれるもの。
そして現代のスポーツカーに採用されることが多いのが「DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)」。
これはポルシェだとPDK、ランボルギーニだとLDF等メーカーによって呼び方は変わりますが、出力/入力軸とクラッチが2系統あるものの、ロボタイズドMTと同じく「マニュアル・トランスミッションの延長」とも言えるもの。
直接的にエンジン~トランスミッションをつなぐという意味ではダイレクト感があり、しかし変速時や低速走行時にギクシャクしてしまう、というデメリットも。
その他はプーリーを用いた無断変速トランスミッション「CVT」というものも存在(下はボッシュによる解説動画)。
これは燃費が良い(ロスが少ない)とされるものの、大パワーエンジンに対応できない、高回転に弱いといった特性があり、コンパクトカーや、そんなに速度を出さないクルマ(ミニバンなど)に用いられます。
そしてBMW Z4に採用されるのがトルクコンバーターを使用した「トルコンAT」と呼ばれるもので、これは遊星歯車機構(プラネタリーギア)を用いた構造を持っていますが、その構成が複雑で重量が重くなる、というデメリットも。
一方で多段化が容易、大きなトルクを持つエンジンに対応できる、というメリットもあります。
BMW Z4に積まれるATは「セットアップ幅が広い」
そしてBMWはZ4に積まれるトルコンATについて「8HP51」と呼ばれるZF製トランスミッションであり、「ストリート用のクルマに積むものとしてはこれ以上のトランスミッションはない」と発言(M5もこれと同じトランスミッション)。
その理由としては「セットアップの自由度が大きい」ということを挙げており、ドライブモードによるキャラクターの変化を大きくすることができる、と述べています。※ZFとはZahnradfabrik、つまりZahnrad=歯車、Fabrik=工場のイニシャルを取ったもので、まさにトランスミッション専門
そしてZFによると、この8HP51はロックアップ制御の進化によって「CVTやDCTの領域もカバーできるようになった」とのことで、さらには「スポーティで加速感を感じる制御」、反対に「滑らかな制御」もでき、DCTにはできない「段跳び減速」も可能に。
加えて「わざとDCTのようなシフトショックを演出する」こともできるようですね。
おまけに従来の6速ATに比較するとこの8速ATは小さく軽く(-20kg)なっていて、もはや「メリットしかない」トランスミッションと言えるかもしれません。
なおBMWは実際に「トルコンATに対しては、DCTもMTもメリットが存在しない」としていますが、この流れ、トルコンATの高性能化を見るに、BMW以外のスポーツカーにおいてもトルコンAT化の波がやってきそうですね。
VIA:TOYOKEIZAI