| BMWはエレクトリック化の急先鋒だったが、だからこそ得られた結論 |
BMWは自動車業界の中では(かつて)エレクトリック化の急先鋒でもあり、実際に「iブランド」を立ち上げてi3そしてi8を発売しています(さらなるiモデルも加わる見込み)。
そしてこれらiモデルのために新しく工場を建設し、しかもこれらは太陽光発電を取り入れたり環境負荷の低い材料を使用した「エコな」工場。
要は「相当なコストをiブランドに突っ込んでしまった」ということになりますね。
BMWはiブランドで手痛い失敗を体験したと言える
ただ、その後iブランドは思ったように販売が伸びず「自動運転とコネクティビティ」ブランドへとシフトを試みるなどBMWとしては様々な試みを行い、最近また戻ってきたのが「エレクトリック」。
最近では「2023年までに25車種のエレクトリック化された車両を発売する」と発表しており、再びエレクトリック化に熱意を見せています(Mモデルでもエレクトリック化を示したほど)。
ただ、今回BMWが開催したイベント「#NEXTGen」においてBMWの開発部門を担うクラウス・フローリッヒ氏がコメントしたところでは、「あと30年はガソリンエンジンは生き延びるだろう」。※ここで言う”ガソリンエンジン”とは、ハイブリッドではなくガソリンエンジン単体で動くクルマ
そして2025年に30%程度でもエレクトリックビークル(PHEV含む)が売れれば御の字だとも語っていますが、BMWは以前にも同様の見解を述べ、しかし今回の数字はより「悲観的」にシフト。
なお、、以前は「最大で40%」という見方を示し、同時に「10%以下かも」という推測も。
現実的なところでは、2025年の時点でエレクトリック化されたクルマの販売比率は20%ほど、そしてガソリン/ディーゼルは80%ほどが妥当なんじゃないかという推測のようですが、クラウス・フローリッヒ氏によると「ディーゼルはあと20年、ガソリンは(上述のように)あと30年」。
エレクトリックビークルは供給過多
その理由として同氏が挙げるのは「エレクトリックビークルは供給過多」。
現在多くのメーカーがエレクトリック化にシフトしており、とくにフォルクスワーゲングループは「2025年に販売の50%をエレクトリック化」という、BMWの予測する倍以上の比率を目論んでいます。※このあたりはどのメーカーも流動的ではある
そして同氏がもう一つ懸念するのは「インフラが追いつかない」こと。
いかにエレクトリックビークルを販売しようとも、インフラ(充電設備など)がそこに追いつかなければ普及は進まず、ロシアや中東、中国はまだまだインフラが充実しておらず、普及が遅れるだろうという見方を示しています。
さらにメインマーケットとなるはずの米国においても「EVはメインストリームにならないだろう」と予想しており、東部と西部の沿岸地域以外では売れないと考えているようですね。
これらはずいぶん悲観的な予想だとは思いますが、むしろ「まっさきに」EVに手を付け、かつ膨大なコストを(市場調査含め)投じたBMWだから得られた結論でもあり、本当に将来がBMWの予想どおりであれば(ぼくはもっと悪いだろうと推測している)、グループ挙げてエレクトリック化を推進するフォルクスワーゲングループは「かなり痛い目を見る」ということに。
逆に、BMWの予想を裏切って「世界がEV化に向けて加速」するようであればフォルクスワーゲングループは”笑いが止まらない”ということになるのかもしれませんね。