| 意外とその需要はありそうだ |
ポルシェのチューンで知られるルーフ(RUF)がクラシック911をオフローダー風にコンバートし、かつ現代風のディティールを与えた「ロデオ・コンセプト」を公開。
なお、正確に言うならばRUFはチューナーではなく「メーカー」で、送り出すクルマはポルシェの形をしているものの、ポルシェ承認のもと、ポルシェから未組立のボディやパーツを仕入れ、ルーフならではの技術を盛り込んで組み立てたものであり、よって車名も「ポルシェ」ではなく「ルーフ」。※完成済みポルシェをチューン/カスタムする場合もある
そしてもうひとつ正確性を追求すると、このロデオ・コンセプトのベース車両はクラシック911ではなく、クラシック911っぽく仕立て上げたRUF独自開発モデル「CTR」。
これはカーボン製モノコックシャシーにレーシングカーばりのサスペンション、完全新設計となるメツガーエンジンを積んだもので、外観以外は911との共通性が「まったくない」クルマです。
一見レトロな911、しかし中身はカーボンモノコックフレーム、プッシュロッドサス採用!710馬力、最高速360km/hのルーフCTRアニバーサリーが発表
デザインソースは「2011年に発表された、ラルフローレンのプレタポルテ」
このロデオ・コンセプトはそのルーフCTRを4WD化し、かつオフロード走行に耐えうるようにサスペンションを強化したもので、エンジンは自然吸気、ターボ両方に対応可能(リアフェンダー上にはターボエンジン用と思われるエアインテークがある)。
デザインソースの一部は、アメリカはオクラホマ州に端を発する「ウエスタン」、いわゆるカントリー調。
加えて「ロデオ」なる名称はロデオドライブ・コンクール・デレガンス、ラルフローレンによるコレクション(ラルフローレンの路面店第一号はロデオドライブ。この場合の”コレクション”はファッションショーのランウェイに登場したプレタポルテだと思われる)に影響を受けたとしており、車体のデザイン自体もラルフローレンを意識したようですね。※ラルフローレンは、ルーフの重要顧客でもある
そして「カントリー」っぽさは随所に現れており、フロントのグリルガード(グリルはないけど)はレザー張り。
加えてロープも巻き付けられています。
ボディカラーはサファリっぽいグリーンそしてベージュで、これらはマット仕上げ。
ベージュ部分は高級感を演出するためか、「マット」仕上げに見えますね。
フロントフードやフォグランプのカバーを固定するのはクラシカルなレザーストラップ。
ヘッドライト内部を見るに、現代クオリティのLEDが採用されているようです。
リアフードにはショベル、そしてショベルとフードを固定するのもレザーストラップ。
インテリアにもヴィンテージレザーが使用され、スイッチ類含めて高品質な仕上がりに。
シート形状は「バケット」ですが、やはりヴィンテージレザーにカントリーっぽい生地が組み合わせられています。
ちなみにラルフローレンの2011年コレクションはこんな感じ。
たしかにカントリーっぽいイメージがあり、今回のロデオ・コンセプトに採用されるレザーや布地が多く使用されているようですね。
そのほかゲンバラからもポルシェ959をイメージしたオフローダーが登場予定
そして「ポルシェとオフロード」をコンセプトに採用したのはルーフだけではなく、ゲンバラも同じ。
こちらはポルシェを主とした「チューナー」で、創立者ウーベ・ゲンバラの息子であるマーク・フィリップ・ゲンバラが「完全自社設計となるスーパーカーを発売する」という計画を立ち上げています。
現在はまだまだ謎の多いこのスーパーカーではあるものの、マーク・フィリップ・ゲンバラによると「ラグジュアリーなスーパースポーツ×オフローダー」。
今回、そのデザイナー、Alan Derosier氏が自身のfacebookにてそのデザインスケッチを公開していますが、これを見るに「959っぽい」印象。
ポルシェ959はラリー競技に参加して輝かしい戦績を残していて、その意味だと959×オフロードは相性が良いのかもしれません。
これらに限らず、ポルシェ(911)のオフロードモデルを求める人々は世界中にいるようで、しかしポルシェ自身としては未だ(何度かその計画が報じられながらも)911オフローダーを発売せず。
需要があるのは承知の上だと思われるものの、おそらくは「市場が小さい」「車両価格が高くなる」等の理由によって踏み出せないのかもしれません。
つまりは「ニッチ」ということになると思われ、そのニッチこそがルーフやゲンバラが生き残ることができる道なのかもしれませんね。