| 986、987世代のボクスターはあまりに過小評価されているようだ |
さて、先日ふと購入を考えた中古のポルシェ911。
そこで急に浮上してきたのが「中古ボクスター」という選択肢です。
というのもボクスターは過小評価されすぎているクルマのひとつだと考えていて(ポルシェのクルマは、昔からそうだが、911以外は過小評価される傾向にある)、かなり割安に購入できるため。
ただしボクスターは「エントリーモデルといえどもポルシェ」であるのは間違いなく、言うなれば「ホテルのランチ」のようなものだと考えています。
つまり、「素材や技術はディナーと同じだが、それらを使用して、より多くの人に食べてもらい、次はディナーを食べてもらえるように用意した」戦略商品だというわけですね。
ここで世代別の中古価格、それぞれの特徴を見てみましょう。
986世代ボクスターの中古価格はこうなっている
ボクスターは1996年に登場した986が「初代」。
ぼくはこの世代の986ボクスターSに乗っていましたが、記憶の範囲では「かなりいいクルマ(ただしそこから色々と別の車によってエクスペリエンスがアップデートされているので、今改めて乗るとどう感じるのかはわからない)。
そしてこの986世代のボクスターについて、中古価格は安いものだと「100万円以下」。
ただ、この100万円くらいというのは特別に安いというわけではなく、150万円も出せばさらに程度のいい個体が手に入るようです。
ちなみに986ボクスターは2003年にフェイスリフトが施されていますが、これは外観の小変更とソフトトップのウインドウがビニールからガラスへ、そして排気量がアップしバリオカム・プラスが採用となっています。
全体的には変更幅は小さく、しかし相場を見ると「前期でも後期でもあまり変わらない」ようで、であれば後期型を選ぶ方がずっと良さそう。
というのも、前期型は幌を開閉する際、ビニールが劣化していると「割れる」ことがあり、割れを防ぐためには開閉途中でいったん幌を止め、クルマを降りてビニールの角度を正してやる必要があるため。
加えてビニールが「割れる」と数十万円単位での修理費用が必要になるので、やはり後期型を選んだ方が良さそうです。
それにしても、ぼくが708万円も出して購入したボクスターがこの価格で買えるというのはかなりな衝撃でもあり、「ちょっと買ってみるか・・・」という気にもなってしまいますね。
なお、オプションにてフルレザーを装着した個体もチラホラ見られ、これらはどうやっても「150万円のクルマには見えない」お買い得モデルだと考えています。
ちなみに986世代は「あまりにお買い得」なせいか、中古市場に出回っているタマ数がかなり少なくなっている(カーセンサー上だと58台)ようですね。
997世代ボクスターの中古価格はこうなっている
そして986からのフルモデルチェンジ版として登場した987ボクスター。
基本的な車体構造、エンジンの設計は986から引き継いでおり劇的な変化はありませんが、足回りがぐっとしなやかになっているというう印象を持っていて、段差を超える際の突き上げがかなり小さくなっています(タイヤ外径が大きくなり、エアの容量が増加したことが主要因だと思われる)。
そのほかエンジンの出力向上、標準装備の変更などがあるものの、もっとも大きな変化は「オプションの増加」。
この世代ではじめてPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)やスポーツクロノといったオプションが登場しており、これらの有無によってかなり中古価格も異なるようです。
ちなみに987世代のボクスターは2009年にフェイスリフト(マイナーチェンジ)を行なっており、この内容はエンジンの設計変更、灯火類の一部LED化に加え、MT車には「ヒルスタートアシスト」が導入され(これはけっこう大きい)、AT車のトランスミッションがトルコン式からPDKに(これも相当に大きい)。
かつ、灯火類LED化によってレンズ類が近代的になっているため、後期型987ボクスターの見た目は今でも通じる」ものがあり、できれば後期型を選びたいところ。
987ボクスターの価格はかなり上下があり、前期型の安い個体だと200万円前後、中心価格帯は250万円くらい(年式の新しさによるメンテナンスコストの低さを考えても、986よりお得かもしれない)。
後期型になるとこれが一気に50〜70万円ほど上昇し、350万円以上の個体もチラホラ。
ただ、中には(この頃から一般化してきた)カスタムカラー採用の個体や、旧レザー内装を持つ個体も見られ、こういった車両はかなり所有する満足度が高く、しばらく乗るつもりであれば、後期型のフルオプション車両を購入してもいいかもしれませんね。
現在のところ中古市場でもかなり選択肢は豊富です。
981世代ボクスターの中古価格はこうなっている
そして現行718の一つ手前の981世代(2012年〜)。
981世代のボクスターは987世代に比べて設計変更の範囲が大きく、「完全新設計」に近い仕様を持っています(911のサーキット走行タイムを公式にボクスターが超えたのもこの世代)。
そして981から718への以降については「モデルチェンジ」扱いですが、内外装共に大きく変わるものではなく(とくに内装の変化は小さい)、まだまだ新鮮味を保っている世代でもありますね。
ただし、この981ボクスターは「最後の自然吸気6気筒」を積む世代でもあり(最近になって718ボクスターGTS 4.0が登場したけど)、そのためにかなり割高な相場を形成しているのもまた事実。
ちなみにぼくはこの981ボクスターに乗っていて、718が発売される随分前に売ってしまったのでさほど高くは売れず、718発売後に売ってたらもうちょっと高く売れたのになあ、と悔しい思いをしたことも(718がターボ化されたことで981はその価値を上げた)。
981ボクスターの相場は安いもので400万円をようやく切るくらいであり、人気カラーや人気オプションを装着していると600万円以上、という個体も珍しくないようですね。
ただ、上述のように「最後の自然吸気エンジン搭載世代」ということを考慮するに、これからも高い相場を維持するのは間違いなくい、と考えています。
よって、中古ボクスターについて、「価格最優先」ならば986、価格とコストパフォーマンスとのバランスなら987、資産価値なら981、ということになりそうですが、こういった豊富な選択肢があるのもの中古ならではで、中古を短期間で乗り継いでゆくというカーライフも悪くないな、と思う今日この頃です。