| 最大のウリはそのデザイン、「ハブレスホイール」にある |
やはり電動バイクは何らかの特徴がなければそのコストを正当化できない
さて、フィンランドの電動バイクメーカー、ヴァージ・モーターサイクル(Verge Motorcycles)が同社の電動バイク、TS Proに初回限定モデル「ミカ・ハッキネン・シグニチャー・エディション」を設定。
このヴァージ・モーターサイクルはいわゆる新興バイクメーカーのたぐいだそうですが、後発だけあってその存在感をアピールするために用いたのがこの「ハブレス」リヤホイール、そして同郷のミカ・ハッキネンの起用だと言えるかもしれません。
なお、ガソリンエンジン搭載バイクと電動バイクとは「パワートレインが異なる」だけではなく、その価格や性質、(電動バイクの持つ)デザイン的自由度から考えて「客層が全くといっていいほど」異なるものだと考えられ、よって電動バイク各社とも「これまでバイクに乗ったことがない」「そもそもバイクに興味がない」人々を取り込むために様々な工夫を行っているように思えます。※電動バイクはガソリンエンジン搭載バイクに比較して「異常に」高額であり、そのコストを納得させるだけの付加価値が必要で、そしてその付加価値はガソリンエンジン搭載バイクとは異なるものである必要がある
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ヴァージ TS Pro「ミカ・ハッキネン・シグニチャー・エディション」はこんな電動バイク
そこでこのヴァージ TS Pro「ミカ・ハッキネン・エディション」を見てみると、その未来的なスタイリングの他にもいくつかアピールポイントを持っていて、それらを挙げてみると「137馬力/1,000Nm(バイクでここまでのトルクはどう考えても不要に思えるが、これもまた他社への対抗手段のひとつなのだと思われる)」、「0-100km/h加速3.5秒」「充電時間わずか35分」「航続可能距離は563km」といった謳い文句も。※”ミカ・ハッキネン”版には用意されないが、トップレンジのTS ウルトラだと201馬力/1,200Nm、0-100km/h加速は2.5秒
なお、ミカ・ハッキネンはこのバイクの開発にも関わっていて(ミカ・ハッキネンは投資家としても知られるので、ヴァージ・モーターサイクルに投資している可能性もある)、このヴァージ TS Pro ミカ・ハッキネン・エディションの発表に際して「私は、スピード、正確さ、エレガンスを体現する乗り物を開発するために何が必要かを経験的に知っています。カラーを選ぶだけでなく、細部に至るまでデザインしたいと思いました。各バイクにはシリアルナンバーが入り、エクスクルーシブなサインが施されています。この電動スーパーバイクは、未来のライディングを象徴するものであり、精一杯生きた人生の証です」とコメント。
そしてこのヴァージ TS Pro ミカ・ハッキネン・エディションはわずか100台のみの限定生産だといい、カーボンファイバー製のフェアリング(セラミックコーティングが施される)を持ち、ダークグレー、シルバー、ブラックの3色にペイントされています(ミカ・ハッキネンがドライブし1998年と1999年に2度のF1ワールドチャンピオンを獲得したシルバー・アローのような印象を受ける)。
加えてバイクにはシリアルナンバーが刻印され、特別にデザインされたプレートにはミカ・ハッキネンのサインが記されている、とのこと。
シート高は780mm、ホイールベースは1,540mm、車重は245kgというスペックを持ち、フロントブレーキはブレンボ製4ピストンキャリパーとガルファー製230mmディスクのペア、リアはヴァージ製4ピストンリアキャリパーとガルファー製380mmディスクのペア。
なお、価格は税抜きで80,000ユーロ(約1200万円)と安くはなく、このあたりも「電動バイクには(ガソリン車とは異なる)固有のユーザーが存在する理由だと思われます。
ミカ・ハッキネンは「(他人を蹴落とさないと上に行けないF1では珍しい)クリーン」な走りをすることで知られる人格者であり、非常に高い人気を誇るドライバー。
現役時代はミハエル・シューマッハと対等に戦ったことでも知られますが、久しぶりにその姿を見ると、今でも現役時代と変わらぬ髪型を持っているのが印象的です。
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参照:Verge Motorcycles