| ハマー/ハンヴィーの開発製造元が売りに出される。買うのはどこ? |
ハマー「H1」のベースとなった「ハンヴィー(HMMWV=High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle(高機動多用途装輪車)」を製造していたAMゼネラルが売りに出されている模様。
なおハンヴィーは米AMゼネラル社が製造を行なっていた軍用車で、同社は「ジープ・ウィリス」を製造していたことでも有名。
その「ジープ」はアメリカンモーターズに買収され、そのアメリカンモーターズはFCAに吸収されたことから、現在FCAは「ジープ」の商標を使用することとなっていますが、「ハンヴィー」についてはジープの後継という位置付けにて1970年代から開発を開始。
ハマーブランドと製造元は現在「別」
なお、ハマーは1985年に米軍へと正式採用されるものの、その業績が悪化して1992年には「レンコ」グループに買収され、時を同じくして(民生用に活路を見出したのか)「ハマーH1」を発売しています。
このハマーH1はアーノルド・シュワルツェネッガー氏の要望にて製造されたことで知られますが、1999年に「ハマー(HUMMER)」の商標権をゼネラルモータースへと譲渡し、H2、H3とバリエーションを拡大することに。
その後ハマーブランドは、リーマンショックのあおり、そして原油高によって販売を大きく落としてしまい、回復の見込みがないことから2010年に消滅、というのがここまでの経緯。
一方のAMゼネラルについては、親会社のレンコとマックアンドリュー&フォーブズ・ホールディングスが統合され、現在はこの傘下に収まっているものの、これが「売りに出ている」ということですね。
なお、上記の流れから「ハマー」の商標権はゼネラルモータースに帰属することになっていて、AMゼネラルが持つのはハマーH1とH2の製造設備、あとは軍用車に関するノウハウで、これをどこが買うのか、というのが今回注目されている、ということになります。
なお、一時はもとGM副社長、ボブ・ラッツ氏がAMゼネラルからハマーのパーツを買い上げて生産し、これを販売するという話があったものの、現在関連動画などは全て削除され、「計画が頓挫した」のかもしれません。
ロイターが報じたところでは、AMゼネラルのバイヤーとして候補に挙がっているのはゼネラルダイナミクス、オシュコシュ、BAEシステムズ、そしてゼネラル・モータースにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)。
AMゼネラルの価値は約2300億円になると見積もられていますが、FCAは現在「ジープ」ブランドを有しており、ヘビーデューティーなオフローダー拡充のためにはAMゼネラルのノウハウや生産設備は魅力的でしょうし(ただし”ハマー”の名は使えない)、ハマーブランドを所有しているゼネラルモータースにとってもAMゼネラルは有用だとも言えそうですね。
なお、かつて「ジープ」ブランドを購入し、世界最大のSUV/オフローダーメーカーになりたいとしていた中国の長城汽車が今回候補に挙がっていないのはちょっと意外。
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2010年消滅のハマーが復活。「ハンヴィー」として中国メインで販売されることに
長、ボブ・ラッツ氏が「ハマー」をアフリカ、中東、中国、欧州で販売。
「ハマー」ブランドはGMによって商標権が所有されていますが、以前に原油価格が高騰した際に販売が一気に落ち込み、そのためGMはハマーブランドの売却を模索するも買い手が見つからず、そのまま「ブランド廃止」となっています(映画「トランスフォーマー」にも出演していましたが、ブランド廃止とともに出番がなくなることに)。
現在ボブ・ラッツ氏とGMとの間に関係性はなく、よって同氏が「ハマー」の名称を使うことはできず、今回の販売にあたっては名称を「ハマー(HUMMER)」から「ハンヴィー(HMMWV)Cシリーズ」へと変更され、製造はVLFオートモーティブ、と報じられています。
ハマーブランドはAMゼネラルから1999年にはGMへ移り、そして2010年には消滅しているものの、H1のパーツなどは(AMゼネラルに)余っていたようで、当時ハマーの製造を請け負っていたAMゼネラルはパーツをセットにして「キットカー」として販売。
今回ボブ・ルッツ氏が販売するのはそれら余ったパーツを買取って組み立てるもののようですが、2017年末までに100台を製造する予定、とのこと。
スペックについて、エンジンは6.5リッターV8(ディーゼル)、出力は424馬力、トランスミッションは4速ATと報じられています。
なおHMMWVとは「High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle(高機動多用途装輪車)」の略で軍用車両のこと。
市販車のハマーH1はこれをそのまま(アーノルド・シュワルツェネッガー氏の要望だとされる)公道走行可能な仕様へと変更したもので、「H2」はこの外観をシボレー・タホベースで再現したもの。
「H3」はシボレー・コロラドをベースに、さらにH2を小型化したものですね。
HMMWVの製造は上述のAMゼネラルが行っており、今回販売されるHMMWV CシリーズはAMゼネラルのパーツを使用しているので、紛れもない軍用ベースということに。
これらハンヴィーCシリーズについては「ほとんどが」中国に販売されるそうですが、アメリカの軍用車が中国や中東に販売されるのは色々と問題があるようにも思われ、しかしそのあたりはもちろんクリアしていると思われます(メルセデス・ベンツGクラスも当初は軍用車であり、輸出できない国があった)。