■そのほか自動車関連/ネタなど

近年の相次ぐ値上げによって米国での平均新車価格は767万円に。さすがに消費者もこれについてこれず、各自動車メーカーとも逆に「低価格車」の投入へ

メルセデス・ベンツ

| その手法は様々ではあるが、既存車種に低価格グレードの追加、過去の低価格モデルの復活が検討されているもよう |

インフレによって生活コストも上昇し、自動車に支出できる金額も減少しつつある

さて、この数年はずっと「平均的な新車販売価格」が上昇し続けていますが、その理由の一つは「インフレ」、そしてもう一つの大きな要因が「装備などが追加されクルマが豪華になったから」。

後者の理由としてはもちろん「そのほうが自動車メーカーにとって、売上と利益が大きくなるため」だとも考えられます。

ただ、これについて補足しておくと、近年の自動車は排ガス規制、そして安全性に係る規制を満たすために「より複雑で高度な」物理的・電子的構造やシステムを採用するに至っていますが、これによって「おのずと」開発費や実装するデバイスやプログラムのコストが上昇し、ほうっておいても「クルマの原価が高くなってしまう」わけですね。

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しかしながら、消費者にとっては「排ガス規制」「安全性規制」という目に見えないもの、そして普通に運転しているとメリットとして享受できないものにお金をかけた「ただ高くなった」クルマには納得できず、そして自動車メーカーもそれを熟知しているために「消費者にとって目に見える、そしてお金がかかっていることが直感的に理解できる」高級装備を投じることで「値上げを正当化している」という実情も。

そしてこういった「高級装備」はすでに開発済み、つまりコストを吸収できているものである場合が多く、そのため自動車メーカーにとっては「儲けネタ」であるとも推測できます。

ただし一定のところで消費者が「ついてこれなく」なる

こういったトレンドもあり、近年の自動車メーカーはその開発・製造コストを吸収するために「値上げに次ぐ値上げ」を行ってきたわけですが、一時期までは消費者側も「これだけ購入な装備を持つクルマだから仕方ない」と値上げを受け入れていたものの、それら高級装備がコモディティ化してしまうと消費者にとってのコストパフォーマンスが低下して感じられるようになり、さらには近年の急激なインフレによって生活コストが圧迫され、「クルマに多くの出費を割くことができなくなってきている」のが現在の状況だとも考えられます。※現在のアメリカにおける平均新車購入価格は49,740ドル、つまり日本円にして約767万円である

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そして「値上げを正当化すべくクルマに高級装備を追加してきた」トレンドに敏感な自動車メーカーは現在の社会情勢についてもまた敏感で、今度は可処分所得が減少した、そしてこれからも減少し続けるであろうという認識のもとに「安価なクルマ」を投入することを検討しているもよう。

しかしながら「新規に安価なクルマ」を開発したとして、いまの法規に合致する形で安価なクルマを製造することは難しく、よって自動車メーカー各社が考えている手法が「既存車種に低価格グレードを投入」「コストパフォーマンスを優先した特別モデルの追加」「いったんは販売を終了した低価格車の復活」。

そしてこういった動きはすでにシボレー、クライスラー、フォルクスワーゲンにおいて進められ、直近ではフォード、ミニ、三菱、ラムがこれに加わり、株主やディーラーに対しては「具体的な計画」の説明がなされているとも報じられます。

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参照:Jalopnik

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