| 一部の自動車メーカーにとっては早すぎるエレクトリック化が予想外だが、また一部にとってはそれが「遅すぎる」とも捉えられている |
ルノーはその考え方を修正し、「ガソリンエンジンがまだまだ残る」ほうに活路を見出す
さて、現在エレクトリック化は「想定より速く進んでおり」、その傾向がトヨタを慌てさせているのは既報のとおり。
つまりトヨタは「そんなに急にエレクトリック化は進まない」と考え、ピュアエレクトリックカーの開発に注力せず、当面主流になるであろうと考えていたハイブリッドに期待していたわけですが、ハイブリッドを「エコカー」と認めない国や地域が大半になってしまい、さらにテスラはもちろん中国の自動車メーカーが大きく販売を伸ばし始め、トヨタの持つ技術ではコスト、そして性能ともに太刀打ちできなくなってしまったため、現在開発中のEVについて「一旦リセットするかどうか」を検討していると言われます。
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しかし現在、一部でその潮流に変化も
こういった「待ったなし」にて加速されてゆく電動化ではありますが、一部自動車メーカーやサプライヤーはバッテリー価格の高騰、充電インフラの未整備などを理由に「EVだけに注力するのは危険」だとも主張していて、これまでにそういった声をあげた代表格はBMW、ステランティス、そしてボッシュ。
EVの製造原価上昇は今のところ留まるところを知らず、よってコンパクトカーであっても「高いクルマ」となってしまい、そうなると所得が低い国や地域の人々はEVを購入できなくなってしまうため、EVだけにこだわることはかえって自動車メーカーに不利益を招くという考え方になりますが、トヨタと異なるところは「エレクトリック化が急速に進んでいると認識しているかどうか」「トヨタは世界全体の傾向で捉えているが、ほかは地域ごとの特性として捉えている」というところかと思われます。
ルノーも考え方をシフトさせる
そして今回報じられたのが、「ルノーと、中国のGeely(吉利汽車)とが折半出資にて、ハイブリッド車と高効率内燃機関の開発、生産、供給に特化した新会社を設立することに合意した」というニュース。
上述のとおりハイブリッドはもはやエコカーではなく、ガソリンエンジンも絶滅危惧種なのですが、そこに注力するための会社を作る、というのはちょっと衝撃的でもありますね。
そしてルノーの最高財務責任者であるティエリー・ピエトン氏は、「2040年になっても、ガソリン車やハイブリッド車のシェアが40%以下になることはない」と予測しており、これは以前に述べていた「EVの製造コストが下がり、ガソリン車の製造コストが上がるので、コンパクトカーセグメントではガソリン車を作る意味がなく、EVへとシフトする」という考え方とはちょっと異なる方向です。
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その理由はもちろん「EVの価格が下がらない」「充電インフラが整わない」からだと思われますが、実際のところ、この新しい会社は電気インフラが未発達な市場にサービスを提供することを主目的としているといい、つまりはルノーの「リスクヘッジ」ということに。
もちろんルノーはこれまでの計画通りエレクトリック化に向けて大きな投資を行うことになりますが、情勢の変化に対応して今回の新会社設立に至ったのだと思われます。※実際のところ、ルノーの利益において大半を占めるのはガソリン車であり、EVは利益が非常に薄い。ガソリンから完全撤退せず逃げ道を作っておくということなのかもしれない
この新しい合弁会社は、17のパワートレイン施設と5つの研究開発センターで構成されるというのでけっこうな規模ということになりますが、今回の合意については「三菱は除外」され、そして日産がどうなるのかは不透明(ただ、今回の声明に日産の名は入っていないので、日産も締め出されている可能性が高い)。
おそらく今後はルノーと日産との間で様々な議論がなされるものと思われ、続報に期待したいところでもありますね。
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参照:CNBC