| APT名義での登場となるものの、半ばアウディ公認だと考えていい |
基本はレーシングカー、しかし公道走行のために微調整がなされる
さて、アウディのチューニングを得意とするドイツのチューナー、ABTが「アプト XGT」を発表。
これはアウディR8 LMS GT2(レーシングカー)の公道走行バージョンですが、今までに300以上のDTMレースに出場し (アプトはこれまでで最も成功した DTM チームでもある)、250 以上の表彰台を獲得したレーシング チームとしてのアプトの歴史を祝うという位置付けのクルマです。
アプトXGTの開発にかかったのはおよそ2年
アプトによると、このXGTの開発にはおよそ2年を要したといい、ベースとなるのはもちろんアウディR8 LMS GT2。
99台のみがハンドメイドにて作られ、その価格は59万9,200ユーロに設定されています(現在の為替レートにて約9700万円)。
このアプトXGTはアウディのファクトリーDTMドライバー、ケルビン ファン デル リンデ選手とリカルド フェラー選手によって開発され、その主な舞台はニュルブルクリンク、ホッケンハイムリンク、ザクセンリンクといったサーキットではあるものの、日常の運転に供することができるように路上テストプログラムも実施されたとアナウンスされています(しかしさすがにこれを公道上で乗るのはかなりハードルが高そうだ)。
実際のところ依然としてレースカーと同じくらいハードコアであり、風を切り裂くスプリッター、巨大なルーフスクープ、、天にそびえるスワンネックウィングなどの様式的要素を保持しており、装着される「タイヤはピレリP ゼロ・トロフェオR(セミスリック)、ホイールは軽量センターロック。
ブレーキシステムはブレンボ 製、サスペンションはABTオリジナルのスプリングが組み込まれているほか(路上で許容できるレベルの快適性を実現すべく)微調整がなされている、とのこと。
アプトXGTは「最強のアウディR8」
搭載されるエンジンはR8 LMS GT2同様の自然吸気5.2リッターV10、しかし出力は630馬力へ。
8,000 rpm にてピークパワーはを発生し、最高速は310km/hだとアナウンスされていますが、通常のアウディR8よりも最高速が低いのはダウンフォースが強化されているためだと思われます。
このエンジンと組み合わせられるトランスミッションは7速Sトロニック・ギアボックス、駆動輪は(レーシングカーがベースなので)後輪のみ。
エキゾーストシステムは公道走行を考慮して「法規制に対応できるよう」合法化がなされています。
そのほか「合法に」登録するためにはクラッシュテストをパスしたこと、燃料タンクがレース用から(通常のR8が持つ)公道用へと戻されたこと、集中ロック システム、リアビュー カメラ、イモビライザーといった”日常的な”要素も付与(復活)されていることについても紹介されています。※アウディのレーシングカー(LMS)と市販車とはもともと密接な関係を持っており、よって部分的に市販車仕様に戻すことも難しくはないものと思われる
99台それぞれの車両には「一定範囲の」カスタマイズが用意されており、 標準のメタリック塗装色はグレイシャーホワイトまたはミトスブラック、そして追加オプションでは(ランボルギーニの)ヴェルデ・マンティスやアウディRSモデルにて特徴的なナルドグレーも。
標準仕様だとホイール、フロントカナード、ミラーキャップ、ロールケージにはミトスブラック、ミサノロッソ(レッド)、ヴェルデ・マンティス(グリーン)、GTブロンズをアクセントカラーとして採用しており、ルーフにはボディカラーまたはブラックのいずれかで指定可能。
さらにヘリテージ エディション オプションを選択すればホワイトベースにブラック、グレー、レッドのストライプやドアのレーシング ナンバーなど、完全な「アプトレーシング カラー」を再現することも可能です。
もちろん、追加料金を支払うことでカスタムカラーにもペイントできる、とのこと。
アプトXGTはこんなインテリアを持っている
このアプトXGTのインテリアを見てみると、エクステリア同様に「ほぼレーシングカー」。
フルロール ケージとレーシングダッシュボードを持ち、アプトレーシング・ステアリングホイールと競技用デジタル計器に加え、調整式ペダル ボックスが備わるほか、市販化のためにリバーススイッチ、パーキングブレーキ、ハザードライトも復帰することに。
さらにはカーボンファイバー センター コンソール ハウジングには自分でプログラムできるいくつかの予備ボタンが備わり、もちろんエアコンも。
ただしサイドウインドウは通常のR8のように開くことはできず、レーシングカー同様に小さな窓が「スライドするのみ」をなっています。