空冷、そしてドライバビリティを追求したところは「ポルシェ」っぽい
先日ティーザー画像が公開された「ポルシェ一族の手がける新型スポーツカー」、ピエヒ・マークゼロ( Piëch Mark ZERO)。
ポルシェ創業者はフェルディナント・ポルシェですが、その娘がルイーゼ・ピエヒ(結婚によって姓が変わっている)、そしてその息子がフォルクスワーゲングループの会長を務めたフェルディナント・ピエヒ氏。
そして今回はそのフェルディナント・ピエヒ氏の息子であるトニ氏とリア氏が立ち上げたのが新しい自動車メーカー「ピエヒ・オートモーティブ」。
フレキシブルなプラットフォームを採用し、EV/HV/ガソリンエンジンにも対応
そして今回発表された「マーク・ゼロ」はピュアエレクトリックカーとなり、全長は4432ミリという比較的コンパクトなサイジングを持っています(ポルシェ718ケイマンで全長4385ミリ)。
ピエヒによると「ピュアなエレクトリックスポーツカー」ではあるもののその最大の特徴はプラットフォームにあり、「様々なパワートレーン、駆動方式に対応できる」。
つまりピュアエレクトリック、ハイブリッド、ガソリンエンジンといったパワートレーン、FF、4WD、FRという駆動方式を一つのプラットフォームで実現できるということになりますね。
さらにピエヒは今回の「マーク・ゼロ(2シーター)」のほか、4シーターレイアウトを持つSUVをも同じプラットフォームで製造すると述べており、今後の展開についても語っています。
今回のピュアエレクトリック版”マークゼロ”について、そのスペック詳細は紹介されず、しかし一回の充電あたり航続可能距離が500キロであること、急速充電器を使用すればわずか4分40秒でバッテリー容量の80%までチャージできることが公表済み。
バッテリー形式も不明ですが、おそらくはリチウムイオンなのだと思われます(さすがにソリッドステートバッテリーを搭載するのはまだ難しそう)。
使用されるバッテリーはなんと「空冷」
そのほか公開された情報としては、「バッテリーは空冷」。
つまり水冷システムを用いたバッテリー冷却を行わないということで(もちろん効果的に走行風で冷却できるシステムを採用している)、これによって通常のEVに比べて重量を200キロほどセーブでき、マークゼロでは車体重量1800キロを実現できる、としています。
構造的にはバッテリーは車体中央(センタートンネル)とリアアクスル上に位置し、これによってロールセンターの最適化、トラクションの確保を実現していますが、多くのEVがそうするように「フロアにバッテリーを敷きつめなかった」のはシートポジションを下げたかったからだとしており、もちろんこれは重心を下げることや、クルマの動きを体で感じるという、スポーツカーでは重要な要素に配慮したもの。※フロアにバッテリーを敷き詰めるとシートポジションがかなり上がる。実際にBMW i3のシート高はレンジローバー・イヴォークと同じくらい
今回のエレクトリックバージョンについて、モーターはフロントにひとつ(204馬力)、リアに2つ(それぞれ204馬力)。
つまり合計で612馬力ということで、0-100キロ加速は3.2秒、最高速度は250km/hというスペックを誇ります。
開発パートナーについて、バッテリーは香港のDesten Group、充電設備についてはQingdao TGOOD Electricとアナウンスされています(そのせいか、オフィシャルフォトも上海万博でメインを務めた”中国館”をバックにしている)。