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ホンダには「20年前、2億円近くを投じて制作し、10回しか放映しなかった」TVCMがあった。しかし当時最高のサイトアクセスを記録し、今なお語り継がれる伝説に【動画】

2023/12/25

ホンダには「20年前、2億円近くを投じて制作し、10回しか放映しなかった」TVCMがあった。しかし当時最高のサイトアクセスを記録し、今なお語り継がれる伝説に【動画】

| 当時わずか3カ国、10回しか放映されなかったものの、ネットの普及によって世界中にて視聴される人気作品に |

そしてこれほど「ホンダの精神」を表している動画はほかにないかもしれない

さて、ホンダは昔から非常に優れたTVコマーシャルを制作することで知られ、そして著名人や芸能人をCMに(基本的に)起用しないことでも有名です。

ちなみに芸能人などを起用すると「そのクルマが売れない」というジンクスが(ホンダ社内で)あるそうですが、過去には起用した俳優がスキャンダルを起こしたりという例もあり、よってホンダはあまり芸能人をCMに登場させないのかもしれません。

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ホンダは2003年に大きな反響を呼んだCM「The Cog」を制作していた

そしてホンダのCMで世界的に有名な作品としては「The Cog」があり、これは当時英国、スウェーデン、オーストラリアの3つの市場でのみ放送され、放映回数はわずか10回。

ただし後にインターネットによってこのCMの存在が広く知られるようになり、今では「伝説のCM」として幅広く認知されています。

その内容を簡単に説明すると、いわゆる「ピタゴラ装置」によって7代目のホンダ・アコードが紹介されるというもの。

まずはひとつの歯車が走り・・・。

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その歯車が別の歯車を動かし、それが落下した衝撃でカムシャフトが転がってエキゾーストパイプをヒットし・・・。

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これがまた回転して別のパーツを動かしてゆきます。

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そしてこれらのパーツはすべてアコードを構成するものたちで、シート、ダッシュボード、サスペンション、ワイパー、スピーカー、ウインドウなど。

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そしてこれらパーツがどんどん次のパーツへとその動きを伝え・・・。

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最終的にアコードに到達するというわけですね。

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ちなみに動画はこちら。

一度再生すると最後まで見てしまうことうけあいです。

このホンダのCM「The Cog」には一切CGが使用されていない

そして驚くべきはこのCM「The Cog」には”いっさいのCGが使用されていない”ということで、微妙なバランスの上に成り立つこれらパーツ群、そしてこれらの動き、ドミノのように連鎖する動作はすべて「実際のセットで組まれたもの」。

しかしもちろんこれは容易に達成できるものではなく、CMの作成にはなんと7ヶ月を要することに(そのうち4ヶ月はセットアップとテストに費やされているが、その4ヶ月のうちに季節が変化し、その変化がパーツの微妙な動作にも影響を与えたと言うので、いかにギリギリのバランスでセットが組まれていたかがわかる)。

そしてこの”メイキング”についても動画が公開されており、いかにこのCMを制作・撮影するに際して苦労したかという舞台裏が綴られています。

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なお、このCMを作成したのはナイキの名コピー「Just Do it」を考えた広告代理店、ウィーデン&ケネディ(Wieden & Kennedy)で、自らこのアイデアを(2002年に)ホンダに売り込み、ホンダUKから100万ポンドを引き出すことに成功(現在の為替レートだと1億8000万円であるが、インフレを考慮すると、現代の貨幣価値ではこの金額よりもずっと高額である)。

ただし上述の通り、完成したCMはわずか10回しか放映されず、英国だとまず30秒カット版が放映され、Skyのインタラクティブリモコンを使用した視聴者はホンダのウエブサイトにアクセスし「フルバージョン」を閲覧することが可能となったそうですが、さらにはこのウエブサイトではカタログとDVDを請求でき、ウエブサイトのアクセスは当時のホンダUK史上最高を記録した上、カタログとDVDの請求は10,000人以上にものぼったのだそう。

その制作コストはかなり高額であったものの、わずか10回の放映のみで過去最高の反響を得ることに成功し、かつ20年後の今なお語り継がれていることを考えると、その費用は「十分に払い甲斐があった」と考えていいのかもしれません。

ちなみにですが、この(制作が)極めて困難であったCMにつき、本田宗一郎の「失敗を恐れない」「その方法で失敗したということは、そのやり方ではダメだということを学んだことになる」「私の仕事の99%は失敗であり、成功したのは1%に過ぎない」という考え方を示したものであり、ホンダのCMのもうひとつの特徴である「直接モノを売ろうとするのではなく、考え方を売る」を端的に表した例かもしれません。

参考までにぼくがもうひとつ”名作”だと考えているのはこの「Paper」。

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