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トヨタ「ガソリンエンジンは2050年に死滅するだろう」→その割にEVに積極的ではないのはなぜ?

2017/11/25

トヨタがガソリンエンジンについて悲観的な発言

トヨタの先進技術開発カンパニー常務理事・葛巻氏によると、「ガソリンエンジンは2050年には絶命し、その前の2040年には数量でエレクトリックカー(ハイブリッド/PHEV含む)に取って代わられることになるだろう」とのこと。※トヨタはビジネスユニットとして社内「カンパニー」制を用いている
加えて2050年には、車の排出するエミッションは2010年と比べると90%低減されているはずだ、とも語っています。

結局トヨタはEVについて積極的なのかそうでないのか?

なお、トヨタは早くからハイブリッドを開発するなどエレクトリック化の未来に着目していた企業ではありますが、なぜか「ピュアEV」に対しては消極的。
先に開催された、各社ともこぞってEVをアピールしていたフランクフルト・モーターショーにおいても「EVコンセプトを展示しなかったのはトヨタだけ」とされており、なぜ「トヨタだけがこうなのか」はまったく不明。

様々なトヨタ関係者の発言を見るに、EVの必要性を理解しているもの、現在のバッテリーに取って代わるものが出てくると踏んでいるようにも感じられ(具体的にはソリッドステートバッテリー)、それまでにリチウムイオンバッテリーを使用したEVを作るのは「投資効率が悪い」と考えているのかもしれません。
つまりトヨタは他メーカーよりも先を見ているがために、現在の技術を使用したEVを「見送り」、新世代の技術を採用したEVを、満を持して送り出すということですね。

ただ、最近になって社長直轄でようやく「EV対策室」のようなものを設けたという報道を見ると、単純に「EVそのものについて真剣に取り組んでいなかった」可能性も。
つまりは「まあハイブリッドでずっとイケるだろう」と考えていたのか、EVシフトによって失われる雇用を恐れたのか(EVは部品点数が少なく、組み立ても容易。よってEV化が進めば相当数の下請けが不要になり、工員の職も失われる)わかりませんが、EVシフトを「行いたくない」と考えていた可能性も。

そもそもSUVブームと違って、EVムーブメントは消費者の購買意欲をベースにしていない

逆にジャーマンスリーはじめ多くの大手自動車メーカーは「EVシフト」を掲げているものの、実際にEVを購入しようという消費者は5%しかいないという統計もあり、メーカーにとっては「笛吹けども踊らず」ということにもなりかねません。
となるとEVのために投資した費用は回収できずに自動車メーカーの収益を圧迫したり、ガソリンエンジン車の開発を抑えたことで販売が落ちる可能性もあって、EV化を率先して進めていない自動車メーカーが相対的に優位性を増すことにも。

現在の自動車メーカーにおける「EVシフト」は、SUVブームのように「消費者が欲している」という観点で行われているものではない、ということが最も危険ではないか、とぼくは考えています。
SUVであれば、消費者がほしいと考える製品なので、付加価値をつけたりして高価(つまり利幅が大きい)な製品でも売れるかとは思います。
ただし(将来の)EVは「ガソリン車がもう買えないので」という消極的選択肢によって購入されるようになる製品であり、そうなったときに消費者は「あんまり欲しくないものを買うので、購入金額を抑えたい」と考える可能性が大。
ここにメーカーと消費者との間に大きな乖離が生じることになり、商品力でもってそれを埋めることができるかどうか、が重要なポイントとなりそうです。

なお、ガソリン車販売禁止を掲げる国は下記の通りで、遅かれ早かれガソリンエンジンは「死滅」するのは間違いない、とは思います。

・オランダ → 2020年に禁止
・ノルウェー → 2025年に禁止
・インド → 2030年に禁止
・フランス → 2040年に禁止
・イギリス → 2040年に禁止
・ドイツ → 2050年に禁止(検討中)
・中国 → 検討開始

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