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トヨタが「課題を克服した」として2027年に全固体電池(ソリッドバッテリー)実用化!「10分の充電で1,500kmの走行」を目指し、EV市場での逆転を狙う

トヨタ

| もともとトヨタはソリッドステートバッテリーの実用化にもっとも近い会社だと言われていたが |

おそらく実用化当初は高級車からの採用になるものと見られている

さて、トヨタは先日新体制下での計画を発表したところですが、今回はその計画を推進するための基礎となる「技術」に焦点を当てた会見が実施されています(発表自体も研究拠点にて、技術者が行っている)。

この会見は非常に盛りだくさんの内容で構成されているのですが、もっとも注目すべきは全固体電池(ソリッドステートバッテリー)搭載車を2027年に(早ければ)発売するとしたことで、これによって1回の満充電あたり航続距離が従来のEVに比較して2倍に伸びる、と予想されています。

全固体電池(ソリッドステートバッテリー)とはなんぞや

このソリッドステートバッテリーは、(現在多くのEVに使用される)一般的なリチウムイオンバッテリーに比較して2倍のエネルギー密度を持ち、充電速度も3倍程度へ、さらに(生産が軌道に乗れば)そのコストもリチウムイオンバッテリーの半分程度になると言われており、よってこれを搭載すれば重量やコスト、そして利便性の観点から見ても「ガソリン車と遜色のない」もしくはガソリン車よりも優れるクルマができると言われています(さらには発火の可能性が非常に低く安全だと言われている)。

いわばEVの抱える「航続距離が短い」「充電が面倒」「高い」「重い」という問題をすべて解決するのがこのソリッドステートバッテリーであり、よって多くの自動車メーカーそしてバッテリーメーカーが実用化を目指してしのぎを削っている状態です。

ただ、放電特性、一定条件下での安全性、寿命については課題があり、ソリッドステートバッテリー自体は「技術的には完成に近い」ものの、実際にクルマに積むという「実用化の面」では多くの課題が残っていると言われていたわけですね。

なお、自動車は社会的にも非常に高い安全性が要求され、あらゆる面で「完璧」でないと世に送り出してはならないプロダクトでもあるため、たとえ「99%まで実用化の目処が立っても」100%でなければ実際の車両に搭載することができず、よってこの「最後のちょっと」をクリアできない状態がここ数年続いていた、というのがこれまでの流れです。

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よって、この課題をクリアできないと考えたいくつかの自動車メーカーは「ソリッドステートバッテリーの搭載を行わない」と決めたり、代替技術を模索する例もあり、さらにバッテリーメーカーですら「簡単には実用化できないので、それまでの過渡的技術を模索する必要がある」とコメントしたこともあるほどです。

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トヨタは「電池」に関してはなみなみならぬ思い入れがある

参考までにですが、トヨタグループ創業者、豊田佐吉はエネルギー問題解決手段として「電池(バッテリー)」を重要視していて、”佐吉電池”なるバッテリーの基準を98年前に示し、これを開発した者には現在の貨幣価値に換算し100億円相当の懸賞金を与える、と宣言したことも(未だ実現していない)。

その基準とは「100馬力で36時間持続運転でき、重さ60貫(225キログラム)、容積10立方尺(280リットル)以内」だとされていますが、もちろん現代でもこれは開発されておらず、しかし極めて高い要件を当時から掲げていたということになり、トヨタはずっと昔からバッテリーに対して強い解決意識を持っていたと考えることができそうです。

そして今回、トヨタは「固体電池の寿命延長は、この技術の実用化を阻む課題だったが、この課題を克服した」と発表することとなったわけですが、課題克服の要は「良質な材料」だといい、これによって「充電サイクルによって膨張と収縮を繰り返し、電極が固体電解質から剥離し、電池が壊れてしまうという問題」を解決できることになるもよう。

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なお、ソリッドステートバッテリーは「10分程度で1,200km走行分をチャージできる」という夢のような性能が期待されていて、しかしこれまでの試作品だと充電回数はせいぜい数百回で、市販の電池に必要な数千回の充電に比べればはるかに少なという現状があったわけですね。

ただ、上述の通りトヨタは電池に対してなみなみならぬ情熱を持っており、現時点でも全固体電池のリーダーであるとされ、1,000を超える特許を保有しており、最終的には「10分の充電で1,500キロ走れる」EVを目指す、とも。※トヨタbZ4Xは30分の充電で約600km、日産アリアは45分の充電で約380km

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ただ、固体電池を普及させるには、生産規模の拡大やコストダウンがカギとなり、科学技術振興機構によると、全固体電池の製造コストは現在、1kWhあたり6万円から35万円で、これは、リチウムイオン電池の1kWhあたり14,000円の4〜25倍に相当するという試算があり、よって産業技術総合研究所電気化学エネルギー研究所が「ソリッドステートバッテリー生産初期においては、高級車など限られた車種に搭載される可能性が高い」とコメントしたことも。

そのため、トヨタが仮に2027年にソリッドステートバッテリーを実用化したとしても、それはまだ「ごく一部の車種」にとどまるのかもしれません。

そしてコストダウンの可否は「以下にトヨタが多くのEVを作れるか」にかかっているわけですが、現在のトヨタの状況では(コスト、生産能力、市場浸透度からして)EVの急速な拡大は期待できない状況です。

ただ、これについてもトヨタはいくつかの解決策を示していて、「車体を3分割のモジュールに分け、ギガキャストを採用することで部品統合を行う」「自走生産技術を加え、EVの生産工程を半減する」と発表(そのほかOTAの導入にも言及しており、テスラを参考にするようだ)。

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さらに「2026年に次世代EVを投入」「2030年には350万台のEVを生産し、そのうち170万台は新しいEVファクトリーから送り出す」とも述べており、このあたりは(BEVファクトリー含め)新しく練り直したEVに関する計画が徐々にまとまり、そして実行に移される段階にあると捉えていいのかもしれません。

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参照:TOYOTA

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