
| ソリッドステートバッテリーの実用化は多くの企業が目指すところだが、その困難さに撤退した場合も報じられている |
一部では「まだまだ10年は実用化できない」とする向きも
さて、日産は2022年に「今後のソリッドステートバッテリーに関する計画」を公表していますが、これによると2025年にはパイロット生産設備を立ち上げ、2026年までに生産設備を整えて2028年には実用化を行うとしています。
そして今回、日産のヨーロッパ拠点にて研究開発担当副社長を務めるデビッド・モス氏が「ソリッドステートバッテリーの3つの主な利点」について語ることに。
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ソリッドステートバッテリーが実用化できればまさに「ゲームチェンジャー」となりうるが
デイヴィッド・モス氏によれば、ソリッドステートバッテリーつまり全固体電池を実用化できれば、その充電速度が3倍になり、最大で400kWに達すると述べています。
さらには現在のリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が2倍に、そして製造コストを半分にすることを検討しているといい、こう聞くと「いいことづくめ」。
参考までに、現在のEVの車両価格のうち、60%くらいのコストを占めるのが「リチウムイオンバッテリー」だとされますが(もちろん価格帯によって異なる)、日産が主張する通りのスペックを持つのであれば、「価格が同じであれば航続距離が倍」、「航続距離が同じであれば大きく価格が下る」ということに。
なお、日産は現在10センチ角の試作品を作っているものの、最終的には薄く平たくなり、ノートパソコンくらいのサイズとなるもよう(リチウムイオンとは異なり、軽乗の畏友度が高いもよう)。

この全固体電池は文字通りすべてが固体、つまり電解液をまったく使用しないということになり、日産いわく「電解液の除去に関しては我々がもっとも進んでおり、優位に立っている」。
そしてこの全固体電池が実用化できれば、今までは「バッテリーの消耗が大きすぎて」現在のリチウムイオン電池では実用化が難しかった大型のピックアップトラック、SUV、トレーラーなどの実用化が可能になるといい(今でも技術的には可能だが、バッテリーサイズが大きくなるので価格が異常に高くなる)、日産は残固体電池の実用化による「車種の拡大」にも期待を寄せているようですね。
日産は度のモデルに全固体電池を採用するのか?
なお、ちょっと気になるのが「日産はどのモデルにソリッドバッテリーを積むのか」。
前出のデビッド・モス氏によると、「現存するいずれのモデルでもない」としており、というのも全固体電池を積むには(バッテリー密度がリチウムイオンバッテリーとは全く異なるので)新しいアーキテクチャが必要となり、そしてバッテリーサイズは二種類になる、とのこと。
加えてソリッドステートバッテリー実用化以後であっても、日産はリチウムイオンバッテリーを共存させるといい、現在開発中の次世代リチウムイオンバッテリーは2028年に登場すると述べています。
この新型リチウムイオンバッテリーはコバルトを使用しないことが特徴で、これによって最大で65%のコストダウンが可能になるとされ、こちらについても期待がかかりますね。

参考までに、デビッド・モス氏はガソリンエンジンの将来についても言及しており、引き続きガソリンエンジンを作り続けるものの、ユーロ7規制を満たすための改良は行わないと明言。
この背景には、厳しい排ガス規制をクリアさせようとなると、EUではガソリンエンジン搭載車の価格が大幅に上昇することになり、しかし逆に、EVはコストダウンによって手頃な価格になるだろうという観測が働いており、ガソリン車とEVの価格が同等になるのは、「いつか」ではなく「いつ」の問題なのだと捉えているようです。※実際のところ、デビッド・モス氏は「両者がコスト面でクロスするのは、そう遠い先の話ではない」と述べている
ちなみにですが、トヨタは2025年までに他社に先駆けて固体電池を搭載した市販車を発売すると公言しているので、これが実現できれば日産は「ソリッドステートバッテリー採用一番乗り」ではないということになりますが、現在のリチウムイオン電池搭載車であっても実走テストでは「散々」な結果に終わっているトヨタのことなので、2025年の実用化はまずムリだろうと考えています(ただ、トヨタがこの分野においては、もっとも先行しているという報道もある)。
このほか、BMWも2028年あたりには実用化を行うとコメントしているので、日産、BMW、そしてトヨタあたりが他社に先んじて全固体電池の実用化を行うことになるのかもしれませんね。
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参照:Autocar