| 実際のところ、同じ原因(シール材のオイルライン混入)と思われる例は11件が報告されている |
トヨタがより高みを目指すには、「ディーラーの指導教育」が急務かもしれない
さて、先日報じられた「GR86のスポーツ走行イベント中にエンジンが壊れ、しかしトヨタディーラーが保証修理を拒否して180万円ほどの修理代金を請求した」という案件。
これについて、「トヨタはGR86について、スポーツ走行やドリフトを表に押し出して走り屋の興味を駆り立てて販売しているのに、実際にスポーツ走行を行って壊れたらその責任を消費者に押し付けるのはおかしい」として大きな話題となっていたわけですね。
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ただしトヨタは180度態度を翻意
しかしながら今回、トヨタは対応を180度反転させて「保証にてエンジンを交換する」とコメントを出すこととなっていますが、これは2022年8月に起きた事件と全く同じ流れです。
8月の件についておさらいしておくと、GR86のオーナーがハイパフォーマンス・ドライビング・イベントに参加し、そこでエンジンが壊れてしまい、保証修理を申請したところトヨタに断られてしまい、自費での修理を余儀なくされたというもの。
ただしこの一件がネットで拡散されるやいなや、トヨタ(北米法人)の偉い人が該当のユーザーに連絡を取って「保証の範囲内で対応した」という流れです。
今回の問題についても、この2022年8月の一件と全く同じ結末になるのは最初から見えていたのですが、それでもなぜトヨタディーラーが当初「保証修理を断った」のかはちょっとナゾ。
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トヨタ「自走してサーキットへ行き、また自走して戻ってくることができるクルマを作っていることは誇りである」
今回の問題をもう一度見てみると、GR86のオーナーであるルーク・リウ氏がハイパフォーマンス・ドライビング・イベントにて自身のGR86を走行させていたところエンジンに異音が生じ、コース脇にクルマを停めたのちに白煙を吹いてエンジンがそのまま死んでしまったというもの。
動画を見ても分かる通り、限界走行をしていたわけでも、レッドラインを超えたわけでもなく、しかしこのクルマを改修したトヨタディーラーはルーク・リウ氏に対して「クルマを誤った方法にて使用した」と一方的に通知したといい、ルーク・リウ氏の主張した「一般的なスポーツ走行の範囲であった」「すでに報告されている、シール材の一部がオイルラインに混入するという問題に関連しているのではないか」という2点を一蹴し(これはあくまでもルーク・リウ氏の主張内容であるのは注意が必要)、なんら「誤用」の根拠を示されなかったのだそう。
もちろんこれにルーク・リウ氏は納得が行かず、ディーラーに対して交渉を試みるも、ディーラー側はこの案件を本社(北米のトヨタ法人)へとエスカレーションすることになり、そしてルーク・リウ氏は「誤用していない」という証拠のために動画を提出する用意があると本社に伝えるも、トヨタ本社が受け取りを拒否したとされています。
ただ、(当然のごとく)この一件はネット上で広く拡散され、そして前回同様にトヨタは態度を一変させて「すぐに車両を検査する担当者を派遣し、エンジンを取り外して適切な診断を行うこと」を約束していますが、実際に検査した後に「保証の対象と認め、無償でエンジンを交換する」という対応を行っています。
しかしながら現時点でトヨタは(エンジンが破損した)理由についてコメントを出しておらず、よって今回の問題が前回と同じ「シール材の剥離とオイルラインへの混入」なのかどうかはナゾのまま。
現時点ではこの問題についてトヨタはリコールを出していないものの、NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration=米国運輸省安全局)には同様の問題が11件報告されているといい、トヨタとしてはなんらかの調査を進めている可能性もありそうですね。
なお、この一件に関してトヨタは「自走してサーキットへ行き、また自走して戻ってくることができるクルマを作っていることには誇りを持っている」「GRブランドはエンスージアストカーに大きく投資しており、そのためさまざまなキャンペーンを行っており、多くのクルマが実際にサーキットを走行し、高いパフォーマンスを示している」とも述べており、加えて「このようなケースは、設計されている範囲を超えたて間違った運転をしていないかどうかを確認するために、ケースバイケースに対応となる」とコメントしている、と報じられますが、対応に一貫性がないことは消費者の不信を招きかねず、そしてこういった対応は日本のトヨタ本社の臨むところではないかもしれません。
国内外ではこういったトヨタの販社関連の問題が報じられることも少なくはありませんが、トヨタが今後、よりブランド価値を上げてゆこうとするならば、ディーラーの「質」を向上させることも重要な課題として認識する必要があるのでは、とも考えられます。
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