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なぜi3?いかにBMW i3の購入に至ったかを再度考えてみる

2015/04/01

BMW i3はイマイチ立ち位置が微妙です。
車好きの人からすると、どうも興味をそそられないようで、i3についてはほぼ「フーン」という反応。
おそらくはBMW好きの人の中の、そのまた一部しか興味がない、という類の車でもあり、ほとんどの人のリアクションは非常に薄いですね(むしろ家電やガジェット好きの人の方が濃い反応を示すような気もする)。

ですが、ぼくのような珍車好きからすると非常に魅力的な車であり、そのなんとも言えないスタイリング、19インチと直径が大きいのに細いタイヤ、カーボンファイバーのパッセンジャー・セル、観音開きのドア、チープシックな内装、という明らかに「既存自動車のヒエラルキー」から脱した車でということで興味をそそられるわけです。

BMW i3は小さく、そして電気自動車でありますが、別に貧乏くさくもなく、高いのか安いのか高級なのかそうでないのかわからない、というところがあり、まさに腕時計で言うとスウォッチのような立ち位置だと思うのですね(もしくは、スウォッチがやはりスマート・エレクトリック・ドライブだとすると、BMW i3は新しい腕時計の概念とも言えるスマートウォッチのようなものか)。

ぼくは、こういった「よく分からない車、分類ができない車、独自のカテゴリに属する車」というのが非常に好きで、今までに乗ってきた中では日産パオ、ホンダ・エレメント、もしくはミニクーパーSがこれらに該当すると考えています(そう考えると、ぼくは自動車の外観や考え方が好きなのであって、自動車の走行性能自体に惹かれるわけではない)。

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i3は構造的に言うと、アルミのシャシーにバッテリーを敷き詰め(ドライブ・モジュール)、その上にカーボンのパッセンジャー・セル(ライフ・モジュール)を載せる、というプラモデルやスロットカーのような構造。
プラモデルで先に板状のシャシーを組み立て、その上に内装を組み立てたバスタブのようなものを載せ、最後にボディを被せる、というあの構造とほぼ同じだと考えるとわかりやすいですね。
そのため玩具が大きくなったのがi3と言えなくもないですが、非常に簡単な構造であり(実際に構造を見るとびっくりするくらい)、しかしプロペラシャフトやトランスミッションが必要なガソリン車には採用できない構造、と言えます(センタートンネルが無いので床はフラット。そのため反対側のドアから降りる、ということも容易)。

パッセンジャー・セルはカーボンファイバー製ですが、これは非常に強度が高いのでBピラーが存在しません。
これによってデザインの自由度が増し、サッシュレス・ドア、しかも観音開き、という非常に珍しい構造を持っています。
観音開きはマツダRX-8のパクリという人もいますが、その前にはホンダ・エレメントが(観音開きとしては)存在しますし、しかし両者ともサッシュレスではないのですね(ミニ・クラブマンは片側のみ)。
その意味では、i3は観音開きながらも非常に独特と言えるでしょう。

このカーボンのセルは繊維の状態で広島の東レ工場からワシントンに運ばれてシートになり、欧州のBMW工場に運ばれて成形され組み立てられる、という工程を経ています。
日本の場合は、さらに欧州から日本へ車体を輸入しているので、まさに「世界一周して戻ってきた」とも言えますね。
欧州の工場では、工場の電力100%を風力発電で担うなど、クリーン・エネルギーに徹底していることも特徴で、BMWの気合いを感じさせるところも。
室内に置いてはケナフなど再生素材を使用したり、レザーのなめしにもオリーブオイルを使用するなどのこだわりが見られ、そのためにいわゆるチープシックで、簡素ながらもデザインがそれを補っていると思います。

そのため、イチからEV専用として作られたBMW i3は、既存ガソリン車のプラットフォームを流用して作られた日産リーフに比べて200kgほども軽く仕上がっており、これはバッテリー容量に制限のあるEVにとっては大きなメリットとも言えますね。
i3ほどドラスティックではないですが軽量化において今までにない手法を採用しているのはシトロエンC4で、リアウインドウの昇降を無くしたりシートの分割可倒を無くしたりというところで重量を削っており、しかしそれが「安っぽく」見えないようにしているところはi3とよく似ています。
ぼくはそういった、「何かを根本的に変える」「潔く何かを切り捨てる」手法が採用された車が大好きで、そこが「珍車好き」の面目躍如といったところかもしれません。

i3について細かいことはBMWのスペシャルサイトで解説していますが、とにかく「けったいな」車がi3であり、「ガソリン車や、従来の車ではできないこと」を技術的・デザイン的に行っていて、そこがぼくの目には魅力的に映ったわけですね。
つまり、ガソリン車の代替や、何かを我慢して乗るEVということではなく、まったく新しい乗り物として、今までの自動車に無い価値観を、それなりのコストをかけて提案してみた、というところに惹かれたのです。
もちろん初期モノとしての不安はありますし、おそらくリセールはかなり低いと想定できますが、きっと何か得るものはあるだろう、とぼくは考えています。

BMW i3購入時のライバルとしてはメルセデス・ベンツGLA、F56ミニクーパーS、VWゴルフR等ありましたが、それらであれば「ポルシェ981ボクスターから買い換える意味が感じられない」と判断し、せっかく乗り換えるならば、ということでBMW i3を選んでいます。

なお、ボクスターにはなんの問題もなかったのですが、色々と「やっかみ」が多く、意外と色々なところに乗って行きづらいという現実がありました。
BMW i3だと、おそらくはやっかみなど悪意を持って迎えられることは無いと思われ(あまり嫌味に取られることはないと思われる)、どこへ乗って行ってもまず問題はないだろう、というのも心理としては働いています。

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