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レクサスLS500/LS500hが日本でも発表に。ジャーマンスリー等ライバルと戦えるのかを考える

2017/06/27

トヨタが日本でも新型レクサスLS500をお披露目。
トヨタによると「初代を超えるインパクトを目指した」と語っており、今回のLSについては並々ならぬ力が入っていることがわかります。
なお「初代LS(当時日本では”セルシオ”」は1989年に誕生しており、ポルシェをして「こんな車を作りたかった」と言わしめた(らしい)車。
当然ながらメルセデス・ベンツ、BMWにも大きな影響を与え、その後の高級車のあり方を大きく変えた車ではありますね。
ちなみに1989年には初代マツダ・ロードスター、日産R32GT-Rも登場しており、日本車におけるひとつの「黄金期」であったとも言えます。

ただ、自動車市場の流れを大きく変える車を登場させながらもバブル崩壊によってそれを「持続」させることができなかったことは残念で、レクサスLSについてはその後のメルセデス・ベンツSクラス、BMW 7シリーズ、アウディA8に徐々に引き離されることになり、マツダ・ロードスターはその後のフォロワーつまりポルシェ・ボクスター、メルセデス・ベンツSLK、BMW Z3(Z4)に大きく市場を奪われ、R32GT-Rについても「コストが高すぎて採用できない」と多くのメーカーが一旦判断したトルクスプリット4WDによる優位性を徐々に失ってゆくことに(ほかメーカーが採用し始めた)。

そういった意味では日本車における黄金期を築いた車たちは徐々に輝きを失っていったともいえますが、日産GT-Rは「R35」で一気に表舞台にカムバックし、マツダ・ロードスターもND型にて非常に高い評価を獲得しており、かつての栄光を取り戻したように見えます。

そこで残る大御所の「レクサスLS」ですが、現在ではメルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどジャーマンスリーのほかにテスラ(モデルS)やポルシェ(パナメーラ)等のライバルも登場しており、環境としては「強豪ひしめく中での」モデルチェンジ。

スタイルとしては6ウインドウを採用したクーペ風スタイルで、スポーティーさを強く意識しているように見えます。
これはポルシェ・パナメーラ、テスラ・モデルSにとっても同じですが、ジャーマンスリーのトラディショナルなサルーンに対抗する一つの手段なのかもしれません。

プラットフォームはLC500にも採用される新世代のGA-L、サイズは5235ミリ×1900ミリ×1450ミリと一気に大型化(前モデルのロングホールベース版よりも大きい)。
エンジンは3.5リッターV6ツインターボ+10段AT(LS500/421馬力)と3.5リッターV6+2モーター+10段AT(LS500h/359馬力)。
大きな車なので可変ステアリングレシオ、後輪操舵が装備されるものライバル同様ですね。

トヨタ(レクサス)といえばハイブリッド=エレクトリック化というイメージがありますが、これについてもトヨタが先鞭を付けたものの、今ではトヨタを大きく凌駕する技術を持つメーカーも出現。
エレクトリック化では「テスラ」がその好例で、ハイブリッドだとポルシェが大きく伸びたメーカー。
ル・マンにおいてもトヨタとポルシェがハイブリッドレーシングカー同士の戦いを見せておりポルシェが勝利していますが、これはレースのみではなく市販車でも同じではないか、と考えています。

例えばトヨタはハイブリッドを「燃費向上技術」のひとつとして位置づけており、実際にモデル構成もそのとおり(スポーティーグレードの”F"にはハイブリッドを積まない)。
しかしポルシェは今回モデルチェンジしたパナメーラにおいて、ハイブリッドを「速さにおいても技術においてもそのトップレンジ」に位置づけており、つまりハイブリッド技術を「燃費向上」だけではなく、ドライバビリティ向上のためにも用いてきた、ということに。

言うなればトヨタの十八番をさらに進化させて搭載してきたということにもなり、しかしトヨタの考え方はちょっと前からあまり変わっていないのかもしれない(もちろんその考え方の中において技術は進歩している)、と考えることも。

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インテリアだと最新のデジタル液晶パネルを採用しながらも「折り紙」「切子細工」をモチーフにしたデザインを採用するなど日本の自動車メーカーらしい演出も。
なお新型LSにおいては安全装備の強化が大きなセールスポイントのようで、予防安全技術「Lexus Safety System+A」と運転支援デバイス「Lexus CoDrive」が採用に。

このクラスのサルーンに求められるものはまず「快適性」、そして「安全性」「先進性」「運動性能」といった要素が続くと思われますが、とにかくこのあたりジャーマンスリーが大きくその訴求力を増している部分。
とくに「快適性」はレクサスLSが初代で切り開いた分野だと思われるものの、その後ほかメーカーはレクサスを超える勢いでこれを進化させており、いかに今回レクサスがここに注力したとは言え、世界はもっと先に行っているんじゃないか、と思える部分もあります。

とくに新型アウディA8に採用される自動運転やアクティブサス、BMWのリモートパーキング(アウディ、メルセデス・ベンツにもある)などはリッチなビジネスマンを唸らせるには訴求力十分で、このあたり新型レクサスLSはちょっと弱いのかもしれません(指圧マッサージ採用の”おもてなし”や和風デザインではインパクトに欠けるのかも)。

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新型レクサスLS500はたしかに素晴らしい車であり、これまでのLSの歴史においても「ずば抜けている」のは間違いないと思われます。
ただ、現在の高級車市場は非常に競争が厳しく、なんらかの「飛び道具」がないと戦いにくいのも事実。
そのために各社とも「世界初」という触れ込みでレーザーヘッドライトやOLED、マトリクスLEDなど目に見える部分での先進性を追求している、と思われます。
この「目に見える部分」は非常に重要で、最近のメルセデス・ベンツの採用する「ウェルカム・シークエンス(アンロックすると前後ランプが特殊な光り方をする)」は今後各社が拡大採用するだろうな、と思う部分。

そのほか内装だとアンビエント照明、ジェスチャーやタッチ式インフォテイメントシステム、デジタルメーター、安全装備/運転支援システムでも自動運転やリモートコントロールなどがほぼ標準装備化されているのがこのカテゴリで、その中でレクサスLSしか持ち得ないものはなんだろう、と思うのですね。

レクサスLSが持っているものはほかメーカーの車も持っている可能性が高く、であればウワサされた「ミラーレス(後方確認カメラ)」を飛び道具にしても良かったのでは、とも考えています(レクサスのエンジニアは”間に合わなかった”と発言)。

なおトヨタの特徴として、その車に装備される技術やデバイスが多く(テンコ盛り)、それらすべてを上手くアピールできていない、と感じることも。
たとえば日産は”飛び道具”の活用が上手な会社で、普通の車に自動運転を装備して「プロパイロット」としてTVコマーシャル含めて強力にアピールすれば、消費者は「自動運転は日産が進んでいるんだな」という印象を持つことに。
また、マニア向けではありますが、マツダの「スカイアクティブ」、スバルの「シンメトリー4WD」におけるプロモーションも同じで、しかしトヨタにしかない技術とは何か、というのがあまり認知されていないのではないか、と思うのですね(この点、”豪華一点主義”のほうが消費者に伝わりやすい可能性も)。

トヨタは高い技術力を誇るメーカーであるものの、やや器用貧乏的な印象もあり、そのせっかくの技術を上手く伝えることができていない、という側面も。
そのため「もったいない」と感じることが多いのもトヨタのプロモーションにおける特徴ですが、今回のLS500についてもその例に漏れないのかもしれません。

ざっと画像を見たり、発表されたスペックを見ると「ジャーマンスリーやテスラ、ポルシェと戦うのは難しいかもしれない」と感じるものの、実際に目にして自分の手で触れ、運転してみると「ライバルを凌駕している」車に仕上がっている可能性も高く、実車を見る機会が待ち遠しい、とも感じます(LC500の出来から判断するに、LS500も相当なレベルであろうことは容易に想像できる)。

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