第二世代になってシャープなルックスを得た日産リーフ。早速試乗してきた
発表されたばかりの日産リーフに早速試乗。
新型リーフはデザインがぐっとシャープになり、その車格も上がったイメージです。
グレードは3つあり、下から順にS(3,150,360円)、X(3,513,240円)、G(3,990,600円)。
事前にティーザー動画でも紹介された「プロパイロット・パーキング」が装備されているのが「G」グレードとなり、Xではメーカーオプション、Sでは選択不可。
グレードによってかなり装備の差別化が図られていますが、新型リーフの特徴を十分に体験しようと考えると「G」という選択になりそうですね。
質感の高さが感じられるエクステアリア。日産の新しい「顔」になりうるか
まずは外観を見て見ましょう。
ティーザー画像でも公開された特徴あるヘッドライト。
全体像。
ボディサイズは全長4480ミリ、幅1790ミリ、高さ1540ミリ。
結構大きく見えます。
ボディパネルは比較的きれいに面が出ていて(日産は面が均一でない場合がある)品質の高さを感じさせるもの。
チリはアウディには劣るもののまずまず「狭く均一」となっており、しかもパネルのエッジもシャープに再現されていて、見た目の質感が高くなっています。
ただしフロントウインカーが「電球」だったりコストを削った部分も見え、ここは上位グレードでも改善できないところ(その点、トヨタC-HRはオプションでうまく対応している)。
フロントグリルは「日産っぽくない」ような「日産っぽいような」デザイン。
Vモーショングリルを採用しているものの、ヘッドライト左右を連結する黒いパーツがあるためにほか日産車とは異なる表情を持っています。
なお先代リーフはエコを意識しすぎたのか「柔らか過ぎるデザイン」になっており、これが販売不振の一つの理由ではという指摘する声があって、ぼくもやはり「その通り」なんじゃないかと思うところ。
日産としてはエコロジー=優しいということを初代リーフで表現したかったのだと思われるものの、EVを買うのは先端技術やガジェット好きだと思われ、そういった層に初代リーフは「届かなかった」んじゃないかと考えるわけですね。
日産「リーフ」はカッコよければヒットしたか by 東洋経済
その点新型リーフは外観からして先進性が感じられ、ディーラーの店頭に置いてあると「おっ」と思わせるものがあります。
インテリアの仕上げも優れる。遮音性はピカイチ
さて、ここで実際に乗ってみましょう。
まず気づくのは乗り込んでドアを閉めた時の音が「高級車っぽい」ということ。
日産は昔から「ドアの音」がけっこう重厚なメーカーではありましたが、それはフーガなどのレベルの話で、よって先代リーフも「重厚ではなかった」という印象が。
しかし新型リーフでは「ボフン」とメルセデス・ベンツEクラスかそれ以上のような音を立ててドアが閉まるので、ここも高級感を感じさせる部分ではありますね。
なお気密性は相当に高いと思われ、室内は静寂そのもの。
電気自動車はガソリンエンジンのような内燃機関がなく振動や騒音がないのが一つの特徴ですが、「あまりに静か過ぎる」のも同乗者との間に気まずい空気を作る一つの理由に。
特に試乗のように、ディーラーの営業さんと一緒に(しかも初対面の人と)こういった「静寂空間」にいるとかなり気まずい、と思います。
静かさに耐えることができずに適度に話題を探して会話しながら内装をチェックしてみますが、内装は先代リーフと外観ほど大きく変わった印象はなく、操作系もよく似ています。
ただしメーターは変更度合いが大きく、アニメーション表示がグラフィカルに。
ブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押すと車が「起動」し、ジョイスティックのようなシフトレバーを操作して「D」レンジに入れ、電気式パーキングブレーキを解除していざ車をスタート。
BMW i3とは異なりクリープがあるのが特徴で、もちろん音もなくスルスルと走り出します。
実際に新型リーフで走ってみた印象はどうだ
走り出して気づくのは、「停車状態の静かさが走行しても継続される」こと。
電気自動車は停止状態で静かなのは当然ですが、走り出すとロードノイズを拾って「結局はガソリン車と変わらないレベルの車内騒音」になる場合があります。
しかしながらリーフは「走り出しても静かなまま」で、相当に遮音性能に気を使っていることがわかりますね。
足回りも優れており、衝撃吸収性能は抜群。
おそらくこれも「電気自動車の快適性を強調するために」相当なチューニングを重ねたものと思われますが、その努力は報われている、と言えそうです。
そして新型リーフの大きな特徴は「ブレーキフィーリング(この時点ではまだe-ペダルは試してない)」。
これが「真綿で締めるように」ジワジワと効くもので、そのペダルの感触と減速度合いについては「これまでに体験したことがない感覚」。
よく効くとかよく止まるということではなく、ただただ「特殊」で、これに慣れるにはちょっと時間を要するかもしれません。
ただ、このブレーキフィーリングも静粛性、快適性と相まって高級感を演出するには大きな効果をあげており、新型リーフを特別な車であるように感じさせていますね。
なお、新型ロールスロイス・ファントムが発表された時にロールスロイスが「外界から切り離された車内環境を実現した」と表現していましたが、新型リーフも騒音や振動、車の姿勢などにおいて「完全に外界から孤立している」と感じる車です。
ちょっと慣れてきたところで新型リーフの一つの特徴でもある「e-ペダル」を使用。
これはセンターコンソールにあるスイッチを押すことで作動しますが、要は「アクセルペダルだけで加速と減速、停止までコントロールできる」もので、BMW i3にも標準で用意されていたもの。
ただし日産リーフのそれはアクセルペダルをリリースした時の減速が強烈で、それはBMW i3に乗っていた身からしても「すんごい減速G」と感じるほど。
日産自慢の自動駐車機能、「プロパイロット(Pro Pilot)パーキング」を試してみた
リーフ自慢の機能、「プロパイロット・パーキング」。
これを試さない手はないだろう、ということで早速テストしています。
停めようとするスペースの前を通り過ぎると、カメラがその「空いている駐車スペース」を認識し、その様子がセンターコンソールのモニターに映し出されますが、これはバードビューモニターにて確認可能。
その場所でよければモニター上の「駐車開始」をタッチ。そうすると車は自動的に駐車を開始する準備ができ、その後はコンソールにある「プロパイロット」ボタンを押し続けると実際に自動で駐車開始。
駐車が完了するまではそのボタンを押し続ける必要がありますが、これは一種のフェイルセーフと思われます(ブレーキを踏んでも機能がストップする)。
それにしても車が勝手に動くのはちょっとした恐怖を覚えるところで、ステアリングホイールが回転する速度は人間が操作する速度よりもかなり速く、相当に機敏に車が動くというイメージがあります(周囲の車を待たせることはない。この速度だとかなり実用的)。
なお駐車場所(どこに停めるか)の把握は「白線」が基準で、この白線の中央に車を停めることになります。
よって、例えば両側に車が停まっていて、片側が「かなりこっちに」寄っていようともリーフはあくまでも「白線基準」なため、その「寄っている」車にかなり近い距離で駐車してしまう場合がありそうです(そういった場合は一定の距離をセンサーで観測し、十分な距離を保つのかも)。
ちなみに同じ自動駐車機能であってもメルセデス・ベンツのそれは「白線」ではなく「両方の車との中央」に停めるというロジック。
これは必ずしも両側が「車」でなくとも良く、「壁」であってもオーケーなのですが、とにかくセンサーが「両側」を計測できるように「何かがないと」駐車できない仕様となっています(よってメルセデス・ベンツの場合、だだっ広い駐車場にて、両脇に車がいない状態で、白線が引いてあったとしても自動駐車はできない。ただしリーフは「白線」を見て車を停めるので自動駐車が可能)。
※どちらも一定条件下でないと作動せず、そこが今ひとつ信頼しきれない部分
結局どうなの新型日産リーフ
試乗を終えて新型日産リーフを振り返ってみると、「とりあえず特別な車」という印象が真っ先に出てきます。
ドアを閉めた時の音、車内の静寂、走っても変わらないその静かさ、どこまでもフラットライドなサスペンション、とにかく特殊なブレーキフィーリング。
これらはガソリン車では感じられない次元のもので、日産はおそらくリーフを「ガソリン車の代替」としてではなく、「ガソリン車とは別の次元にあるもの」として考えたのでは、と思います。
運転した感じではガソリン車、特にスポーツカーによくある「フィードバック」というものは非常に希薄で、まるで「ゲームの画面上で車を操作している」ような感じ。
正直いうと「運転する楽しみ」は全くない車ですが、これが「次世代モビリティである」と感じさせるものを持っており、遅かれ早かれ自動車はこうなってゆくんだろうな、というものを感じさせる車でもあります。
そして、この「外部の振動や騒音を完全に遮断」「ステアリングホイールやアクセル(e-ペダル)だけを操作していればちゃんと走る」「駐車は自動」というところはある種の人々に歓迎されることは間違いなく、EVの一つのあり方を示す車だと思います。
なお一回の充電あたり航続可能距離「400」キロについては試乗ではわからず。
先代リーフが「280」キロの公称値に対し180キロ程度の走行可能距離だったので、新型リーフでも実際は「300キロに足りないくらい」かもしれませんね。
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