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レンジローバーとランドローバー:英国オフロード車の真髄を探る。両者の歴史、そしてモデルや性格の違いとは

レンジローバーとランドローバー:英国オフロード車の真髄を探る。両者の歴史、そしてモデルや性格の違いとは

Image:Landrover

| はじめに:レンジローバーとランドローバー、似て非なる二つの名 |

いったい両者は「どこがどう違う」のか、そしてこれからどこへ向かうのか

英国が世界に誇るオフロード車の代名詞と言えば、「ランドローバー」そして「レンジローバー」。

街中で見かけることも多く、どちらも頑丈で高級感のあるSUVというイメージがありますが、しかしこれら二つの名前は、実は少し異なる意味合いを持っています。

「ランドローバー」はブランド全体の名称であり、「レンジローバー」はそのランドローバーブランドが展開するモデルシリーズの一つを指しており、今回はこの二つの関係性と、それぞれの歴史、そして現在のモデルラインナップにおける具体的な違い、そしてその将来について見てみましょう。

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ランドローバーの誕生と歴史:オフロードのパイオニア

「ランドローバー」という名前は、もともと特定のモデルではなく、第二次世界大戦後に誕生した英国初の多目的四輪駆動車「ランドローバー」そのものを指していて、つまりは「商品名」ではなく「製品名」。

たとえば「iPhone」は商品名で、「スマートフォン」は製品名ということになりますが、ランドローバーは多目的四輪駆動車を指す製品名ということになりますね。

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誕生:戦後の英国を支えた「使えるクルマ」

  • 始まりはRover(ローバー)社 (1948年):

1948年、航空機技術者モーリス・ウィルクスとスペンサー・ウィルクス兄弟が、戦後の英国経済復興のため、農業や軽工業で使える多目的車として開発したのが初代「ランドローバー・シリーズI」。その頑丈な構造と優れた走破性から、「動くトラクター」とも評され、世界中で愛用されるようになりました。

  • 軍用車としての活躍

その高い信頼性と耐久性から、世界各国の軍隊や政府機関にも採用され、オフロード車のスタンダードを確立していきます。

ランドローバーブランドの確立と発展

当初、このランドローバーはローバー社の一車種であったものの、その人気と需要の高まりを受け、ランドローバーはその後のモデル(シリーズII、シリーズIII)へと進化し、オフロード車の専門ブランドとしての地位を確立していきます。

  • ディフェンダーの登場

そしてシリーズIから続くモデルは、1990年に「ディフェンダー」という名称に統一され、その無骨で機能的なデザインは、現代においても根強い人気を誇ります。

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レンジローバーの誕生と歴史:「高級SUV」という新ジャンルを切り開く

ランドローバーがオフロード性能を追求する中で、より快適性や上質さを求める声に応える形で誕生したのが「レンジローバー」。

誕生:オフロードと高級感の融合 (1970年)

  • 高級SUVの先駆け

1970年、初代「レンジローバー」が登場。当時のオフロード車が実用一点張りだったのに対し、レンジローバーは優れたオフロード性能に加え、乗用車のような快適な乗り心地と高級な内装を両立させており、これにより、「高級SUV」という新たな自動車のジャンルを確立したわけですね。。

  • デザインと機能性の両立

エレガントでありながらも、機能的なスクエアなデザインは、瞬く間に世界中の富裕層やセレブリティを魅了することに。

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レンジローバーシリーズの進化

初代の成功を受け、レンジローバーは様々な派生モデルを生み出し、そのラグジュアリー路線をさらに強化していきます。現在では、ランドローバーブランドの中核をなす存在となっているのは周知の通り。

現在のランドローバーとレンジローバー:モデルラインナップとそれぞれの役割

さて、現在のランドローバーブランドは、複数のモデルシリーズを展開しており、その中でも「レンジローバー」は最もラグジュアリーな位置づけのシリーズを指しています。

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ランドローバー・ブランドが展開する3つの「ファミリー」

現在のランドローバーは、大きく分けて以下の3つの「ファミリー」に分類されます。

  1. RANGE ROVER (レンジローバー):
    • 特徴: 圧倒的な存在感、最高級の素材と匠の技が光る内装、そして最先端のテクノロジーを融合した究極のラグジュアリーSUV。オンロードでの快適性とオフロード性能を最高レベルで両立しています。
    • 主なモデル:
      • レンジローバー: 最上位モデル。圧倒的な快適性とステータスを求めるユーザー向け。
      • レンジローバー スポーツ: レンジローバーのスポーティバージョン。よりダイナミックな走行性能とデザインが特徴。
      • レンジローバー ヴェラール: 洗練されたデザインと都会的な雰囲気が魅力のミドルサイズSUV。
      • レンジローバー イヴォーク: コンパクトながらもレンジローバーらしいスタイリッシュさを凝縮したモデル。
  2. DEFENDER (ディフェンダー):
    • 特徴: ランドローバーのルーツを象徴する、比類なきオフロード性能と堅牢性を誇るモデル。現代のテクノロジーと融合し、かつての無骨なイメージはそのままに、日常使いも可能な快適性も兼ね備えています。
    • 主なモデル:
      • ディフェンダー 90/110/130: ショートホイールベースからロングホイールベースまで、多様なボディタイプを展開。本格的なオフロード走行を楽しむユーザーや、タフなイメージを求めるユーザーに人気です。
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  1. DISCOVERY (ディスカバリー):
    • 特徴: ランドローバーの高い走破性と、ファミリーユースにも対応する実用性・多用途性を両立したモデル。広々とした室内空間と快適な乗り心地が魅力です。
    • 主なモデル:
      • ディスカバリー: 7人乗りも可能な多人数乗車対応の本格SUV。
      • ディスカバリー スポーツ: よりコンパクトでスタイリッシュなデザインながら、ディスカバリーのDNAを受け継ぐモデル。
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このように、ランドローバーはブランド全体の名称であり、その中に「レンジローバー」という最高級のラグジュアリーSUVシリーズが存在します。

  • 究極のラグジュアリーとステータスを求めるなら: レンジローバーシリーズ
  • 本格的なオフロード走行とタフな個性を求めるなら: ディフェンダー
  • 実用性と快適性、そして優れた走破性をバランス良く求めるなら: ディスカバリーシリーズ

ライフスタイルや用途に合わせ、最適な一台を選ぶことができるのが現在のランドローバーブランドの大きな魅力と言えそうですが、英国が誇るオフロード車の歴史と進化を理解することで、それぞれのモデルが持つ個性と魅力をより深く感じられるのかもしれません。

ただし今後の「立ち位置」は微妙に変化

しかしながら注意を要するのが2023年に行われた「体制変更」で、レンジローバーおよびランドローバーブランドを有する「ジャガー・ランドローバー」がまず「JLR」へと変更され、それに伴ってJLRは自社の車種群を4つの独立した「ブランドファミリー」に分割しています。

1. Range Rover(レンジローバー)

  • ランドローバーの中でも、特に上級モデル群を担当。
  • ラグジュアリーSUVとしての地位を確立しており、ロールス・ロイス・カリナンやベントレー・ベンテイガのライバルとも目される。
  • 電動化モデル(EV)も今後登場予定で、テクノロジーにおいても最先端を目指すものと思われる。
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2. Defender(ディフェンダー)

  • タフさと冒険を象徴するブランド。
  • 単なるモデル名ではなく、ライフスタイルブランドとして独立。
  • 将来的にはより多様な派生車種・EV展開も視野に。
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3. Discovery(ディスカバリー)

  • ファミリー向けアドベンチャーSUV。
  • レンジローバーよりもカジュアルで実用志向のポジション。
  • 電動化対応も進行中。
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4. Jaguar(ジャガー)

  • 2025年以降に完全電動ラグジュアリーブランドとして再出発。
  • 全モデルがEV化され、デザインやコンセプトも一新予定。
  • 既存のXE・XF・F-PACEなどのラインアップは段階的に終了へ。
元トップギアのホスト、ジェームズ・メイがジャガーを養護。「これほどまでに新型車の発表を楽しみにしたことはない。議論が巻き起こるということは、ジャガーが何かをもたらしたということですよね」

Image:Jaguar

「ランドローバー(Land Rover)」の名称はどうなる?

つまり、この4つの中には「ランドローバー」が含まれず、ランドローバーのこれまでのラインアップから「ディスカバリー」「ディフェンダー」が独立。

これに伴い、「ランドローバー」というブランド名自体はサブブランド的な扱いへ移行しています。
今後は「レンジローバー」「ディフェンダー」「ディカバリー」といった名称が前面に出てくる一方、「ランドローバー」という名前は企業的背景やマーケティング上の補助的な位置付けになるとされ、今のところ目に見える変化はないものの、そのあり方が徐々に変わってくるものと見られます。

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JLRの再編によるメリット

  • 各ブランドの個性・市場セグメントが明確化され、ターゲティングが容易に。
  • プレミアム感の強化により、ブランド別の単価向上が狙える。
  • 将来的なEV移行やOTA対応車両の導入を円滑に行える。

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