「第四の」ランボルギーニとして”エストーケ”登場か
ランボルギーニが2021年の発売に向け、新型車種の開発に取りかかかった、とのウワサ。
おそらくこの新型車は「エストーケ」と見られており、既に社内ではその可能性について検討を行っている、と英国Autocarが報じています。
ランボルギーニ・エストーケとは?
エストーケは2008年に「コンセプトカー」としてランボルギーニが発表した4ドアセダン。
当時はまだ今ほどSUVブームが顕著ではなく、販売を伸ばすには「セダンが有効」という風潮があったというのがコンセプト発表の背景にあったと思われます。
エンジンはガヤルドの5.2リッターV10を搭載しており比較的現実性の高いモデルではあったものの、同年に発生した「リーマンショック」によって世界中の高級車市場が縮小するにあたり「エストーケ計画」は凍結に。
その後時代が変わってSUVブームとなり、そこで12月に発表される「ウルス」がエストーケに代わる新型車として投入されることになりますが、これは1980年台を中心に販売された「自動車業界初の豪華SUV」、ランボルギーニLM002の後継とも取れるモデル。
ランボルギーニのルーツは必ずしもスーパーカーではない
ランボルギーニの現在のラインアップは「アヴェンタドール」「ウラカン」。
この2車のイメージが強すぎるため、ランボルギーニ=スーパーカーメーカーという認識があるものの、ランボルギーニはもともとレースをルーツとするフェラーリとは異なって、「市販車専門」として立ち上げられたメーカー。
さらには「フェラーリが快適だとはいえない」というランボルギーニ創立者、フェルッチョ・ランボルギーニの考え方に基づき、「快適なGTを作る」というのがランボルギーニ当初のコンセプト、とされています。
これには「となりにご婦人を乗せても」という但し書きがついており、つまりは「デートカー的な要素もあった」と考えて良いかもしれません。
そのためランボルギーニ初の市販車「350GT」は2シーターではなく3人乗り。
その後も2+2の400GT/ハラマ/イスレロ、4人乗りのエスパーダを発表していますが、こういったラインアップを見ても分かる通り、ランボルギーニはその歴史を振り返ってみると「意外と4人乗りの車が多い」メーカーということに。
ただし「カウンタック」登場以降は完全に(デザイン、レイアウトともに)スーパーカー色が強くなり現代に至りますが、とにかくルーツを辿ると「SUVや4人乗りでも実は違和感がない」のがランボルギーニ。
なお4人乗りの「エスパーダ」の車名はスペイン語で「剣」、そして「エストーケ」もやはり「剣」を意味しており、ランボルギーニが「エストーケ・コンセプト」発表時にも「エスパーダ再来」を狙ったのは明らかですね。
ランボルギーニのラインアップは最大で5モデル?
なおランボルギーニは「最大で5つのラインアップを持ちたい」と過去に語っていたことがあり、それはランボルギーニの各モデルにおけるモデルライフが10年で、「5年に1回」フェイスリフトを行い、「10年に1回」モデルチェンジを行うことを想定。
そしてそれを各モデルごとに「1年づつずらして」行うとすると、毎年何らかのモデルがフェイスリフトもしくはモデルチェンジを行っている、ということに。
そうなると「話題」面で常にランボルギーニにスポットライトを当てておくことができる、という算段です。
ウルスが登場するとアヴェンタドール、ウラカンと合わせて「3つ」のラインアップを持つこととなりますが、これに今回ウワサの出た「エストーケ」が加わると4つ。
加えてこれも以前に「すべての顧客がエクストリームなデザインを好むわけではない」という趣旨の発言もあり、もしかすると「ミウラ」のような優雅なデザインを持つモデルが投入される可能性も(これで5つ)。
ただ、新モデルはそれなりにリスクがあり、既存モデルを拡大する案もあるようで、そこから「ウラカンのボディバリエーションを7つにまで増やす」「ウラカンのオフロード版、サファリを投入」というウワサが出てきたものと思われます。
ランボルギーニ「スーパーカー市場は限られている」
ただ、ランボルギーニは現在「スーパーカー専業」ながらも「スーパーカー市場は市場規模が限られている」とも語っており、スーパーカービジネスの拡大には非常に慎重。
加えて自社スーパーカーの排他性を確保するために「年産3500台以上はスーパーカーを作らない」とも発言。
しかしながらランボルギーニは工場を「2倍」に拡大しているので生産についても「倍」に伸ばす必要があり、そして工場の生産キャパシティは将来的に(工場拡張がフルに完成したとき)「現在の倍以上」ある、と言われていることを考えると現実的にウルス以外にも何らかのモデルを投入する必要があると思われ、色々と考えてみるとやはり「エストーケ」が濃厚なのかもしれません。
なおランボルギーニの広報部門トップ、フェデリコ・フォスチーニ氏の話によると「我々はウルスの投入にて販売を倍に伸ばす計画を持っている。しかし、それで終わりではなくさらなる拡大を目指す必要がある。そのため”次”の可能性はもちろんある」とのこと(つまりこれ以上スーパーカーを増やさないという話とは矛盾しており、となるとスーパーカーレンジの拡大ではなくスーパーカー以外を投入する可能性が濃厚)。
さらには「ウルスはランボルギーのヘリテージ、具体的にはLM002を尊重したものだ」としながら、「もちろん別のヘリテージも我々にはある」と語っており、過去モデルになんらかのインスピレーションを求めるのも間違いなさそう。
ただしウルスの発売は「ランボルギーにの客層を根本的に変えてしまう」という認識も持っており、いかにスーパーカーブランドとしてのイメージを守ってゆくか(ポルシェがスポーツカーメーカーとしてのイメージを保持するように)ということは重要な課題なのかもしれません。
なおランボルギーニは現在のステファノ・ドメニカリCEO就任以降「モータースポーツ活動」への関与を強めていますが、それも今後SUVやセダンを投入することを踏まえて」そちらのイメージに流されないよう、今からランボルギーニ=レースというイメージを定着させてゆこうということなのかもしれませんね。
なおエストーケが復活するとなると、同じグループに属するポルシェ・パナメーラのプラットフォームを流用すると見られますが、ランボルギーニは「単に流用するのではなく」自社得意のカーボン技術を投入する、とも報じられています。
今のところこれが「どの部分」なのかはわからないものの、たとえばウラカンと同じように「キャビンの後ろ半分をカーボンに」変更し、パナメーラでは採用が見送られた”トランスアクスル”を採用することでランボルギーニらしい運動性能を発揮させるのかもしれませんね。
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