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ポルシェがカーボンや樹脂、ガラスなど軽量化最新技術を公開。「2048年のポルシェは軽量で頑丈になる」

2018/04/22

| 2048年のポルシェはより軽量で頑丈に |

ポルシェがクリストフォーラスにて、車両に使用される新素材に関するコンテンツを公開。
すでに採用している技術から今後採用される技術、そして実用化はまだまだ「先」になるものの可能性のある技術を紹介しています。

まずは新しく開発されたAピラー「3DハイブリッドAピラー」ですが、これはスティール製ピラーの内側にリブ状に加工された「繊維強化プラスティック」を組み込んだもので、従来の構造に比較して5キロほど軽い、とのこと。
軽量かつ弾力性に優れ、「折れ曲がる」ことがなく、とくにオープンモデルには有用だと述べています(今年中には実際に採用される模様)。

今後ポルシェのニューモデルには軽量Aピラーが採用される

さらにAピラーに使用されるスティールは薄鋼板と高張力鋼板とを組み合わせており、「二層からなる熱可塑性樹脂のプレート」を用いていると説明。
断面図がないので実際にどのようなものかわからないものの、樹脂とスティールの「積層」素材だと思われ、他メーカーとは異なるアプローチで軽量化と高剛性化を行っていることがわかります。

なお、多くのメーカーが「オールアルミ化」を進めていた頃、ポルシェは「スティールにもまだまだ可能性がある」としてアルミ化のトレンドには乗らない意向を示していましたが、こういった技術を採用することで「アルミよりも軽く」車を作れる、という自信があったのでしょうね。

ちなみにホンダNSXについても「業界初の3D構造Aピラー」を持ち、それによってAピラーを細く作ることができたので「視界を確保しやすくなった」とアナウンスされていますが、こういった感じでどんどん自動車は軽くなるのでしょうね(いったんは安全や環境に対する要求で重くなったものの、ここ数年でまた軽くなってきている。

軽量樹脂も要注目素材

加えて、この3DハイブリッドAピラーに用いられる「繊維強化プラスティック」はパナメーラ、そして918スパイダーのブレーキペダルに採用されている、とのこと。
画像を見るとランボルギーニに採用される「フォージドコンポジット」に似ており、マクラーレンやレクサスでも採用される強化樹脂と同様の素材のように見えますが、ポルシェ曰くこれはカーボン(炭素)ではなく「熱可塑性ガラスファイバー」であり、カーボンとは全く異なる、と説明しています。

この熱可塑性ガラスファイバーは安定化が難しく、多くのメーカーが自動車用としては不向きだと考えていて、しかしポルシェは唯一その実用化に成功したと主張しており、今後ほかのモデルにも拡大採用されるようですね。



ステンレスの鋳造方法も新開発

そしてポルシェではステンレスの鋳造方法も新開発。
従来の加工方法では「切削や溶接」など複数の工程を経る必要があったものの、新開発の工法ではこういった複雑なパーツも製造できるようになるようです。

これは「レーザーによる積層造形法でパウダーを溶かしながら積層化」するとのことですが、現在まだまだ課題を残しており、実用化はもうちょっと先になりそう。

ゴリラガラス、植物由来の素材も

そのほかポルシェではゴリラガラスの採用も積極的に進める意向で、すでに918スパイダー(ヴァイザッハ・パッケージ)、911GT2RSのほか、911カレラTにも採用。
厚さは2ミリ以下に抑えることができ、その結果重量はこれまでのガラスの60%ほどに低減可能(ガラスは自動車を構成するパーツの中ではかなり重いもので、これは有用)。
さらには紫外線をカットする他、耐熱性や防音性にも優れる、とのこと。
なお高周波はカットするものの低周波は通すため、「水平対向6気筒の轟音はちゃんと室内に届く」ようですね。

その他新開発のガラスはセンターコンソールなど「インターフェース」にも採用されるそうですが、ポルシェは(ポルシェデザイン含め)本当にガラスが大好きな会社だ、と思います。※とにかくツルントしたデザインを好んで用いる

さらにポルシェは(環境を意識したものと思われますが)植物由来の内装パネルも開発中。
ただし、まだまだポルシェの目にかなうものは出来上がっておらず、これもまだまだ研究段階にある模様。

最後にポルシェは「2048年には様々な新素材を適材適所で使いこなし、スティールとアルミニウムと炭素繊維を組み合わせた、より軽量で頑丈なポルシェが実現しているに違いない」と述べており、相当に長いタームで研究を重ねていることもわかります。

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