| あくまでも非公式なので実現世は低い |
レンダリングアーティスト、Emre Husmen氏が「ポルシェ911GT1コンセプト」のレンダリングを公開。
これは「もしポルシェが、2020年から設定されるル・マン24時間レースのハイパーカークラスに参戦したら」という設定にて制作したもの。
このハイパーカークラスはこれまでの「LMP1」に代わってル・マンの最上位カテゴリとなる予定で、現在アストンマーティン(ヴァルキリー)、トヨタ(GRスーパースポーツコンセプト)などいくつかのメーカーが参戦を表明しており、今後「要注目」のクラスです。
「ずっとGT2RSの上、究極の911があればいいと思っていた」
ポルシェは今のところ、このハイパーカークラスに参戦を表明していないものの、今回Emre Husmen氏は「ずっと、ポルシェは911GT2RSの上に位置する911を作るべきだと考えていた。現在、911のトップは(レーシングカーを含めるとLMGTE Proに参戦する911RSRだが、もし992世代の911をベースにGT1クラス参戦用車両をポルシェが作ったらどうなるだろうかというのが今回の作品だ」と語っています。
ちなみに今回のレンダリングでは「カモフラージュ付き」のプロトタイプまで用意するというこだわりようを見せています。
なお、ボディ全体は「カーボンファイバー」、エンジンはフラットシックス(排気量やターボの有無には言及されていない)、そしてハイブリッド化にて1,000馬力の出力を達成しているという設定で、ルーフのエアスクープや、大きなリアウイングは「959」をイメージしている、とのこと。
「ヴァイザッハ」カラーの他、「クレーマー」等いくつかの伝統的なカラーも再現されていますね。
ポルシェは過去に「GT1」を作っていたことがある
実際にポルシェは「911 GT1」を1996-1998年に製造していますが、これは1996年にポルシェがFIAの規定する「GT1」クラスで戦うために設計・製造したレーシングカー。
そのベースは993世代の911ではありますが、「フロントセクションとキャビン」を流用するものの、そこから後ろはスペースフレームで構成されてミドシップレイアウトに。
そもそもGT1が登場した背景としては、当時圧倒的な強さを誇っていたマクラーレンF1に対抗するためで、しかしポルシェはこれに対抗できうるクルマがなく(993GT2しかなかった)、よって上記の手法を用いてミドシップレイアウトを採用するレーシングカーを製造したわけですね。
ただ、現在は「GT1」クラスが存在しないため(2012年に終了)にポルシェがこのクラス向けのクルマを作ることは無いかもしれませんが、参戦するレースはなくとも、ポルシェはその「名称だけでも」蘇らせる可能性は否定できません。
ポルシェはこのところ「過去」を振り返る傾向が強く、「935」を限定発売したり、「917コンセプト」を発表していることを鑑みるに、「911GT1」も無いとはいえないな、と考える次第です。
今回のレンダリングを見ると、前後に巨大なオーバーフェンダーが装着され、ルーフにはシュノーケル、リアにはフェンダー一体式ウイング、そしてフロントにはガバっと口を開けたバンパーとカナード、そしてウイングレット付きのサイドステップ、リアディフューザーが装着されていることがわかります(一部パーツは鍛造カーボンファイバー)。
そして過去の「GT1」と異なるのは、992のシャシーを「まるごと」使用していると思われるところで、”先代”911GT3のように「車体後半が作り変えられているように見えない」ということ。
992世代の911は、これまでの911に比べてエンジン搭載位置が前に移動し、より「ミドシップに近い」レイアウトを持つと言われますが、それを含むと「車体後半を作り直す」必要がないのかもしれませんね。
なお、レンダリングではいくつか「ナンバー付き」の画像が公開されており、つまりロードバージョンも想定している、ということに。
GTクラスは市販車をベースにしているということが前提で、クラスごとに市販車の最低販売台数が決められていますが、911GT1が作られた当時は「25台」。
よって当時(1996年)、ポルシェは25台のポルシェ911GT1「ストリート」を製造し販売しており、今回のレンダリングもそれを想定した設定なのかもしれません。
そして「ミニカー」の販売も想定するという芸の細かさ。
VIA:Emre Husmen