| 物理的に問題はなくともプログラム次第で「走行不能」に |
メルセデス・ベンツとプジョーが日本国内にてリコール届け出。
それぞれに二件ずつ、そしてすべて異なる内容となっていますが、メルセデス・ベンツは「走行不能」「シリンダー内燃焼不具合」、プジョーは「LEDウインカー店頭不良」「エンブレムが剥がれる」。
いずれもあまり一般的なものではなく、ちょっとめずらしいものですが、ここでその内容を見てみましょう。
メルセデス・ベンツのリコール内容はこうなっている
まずはメルセデス・ベンツですが、まずは発売されたばかりの新型Aクラス。
トランスミッション制御の問題ですが、「偶数段からNへと手動で変速して停止すると、走行不能になるというもの。
かなり珍しい内容ですが、記載を見ると「走行不能になることがある」ではなく「走行不能になる」と記載されており、つまりこの操作を行うと100%の確率で問題が生じるということに。
なお、この問題を知った理由は「市場からの報告及びドイツ本社からの情報による」、実際に発生したのは2件。
これによる事故は「ゼロ」となっています。
対象となるのは平成31年2月15日~令和元年6月10日に輸入された個体で、合計141台。
対応は「全車両、トランスミッションコントロールユニットの制御プログラムを対策プログラムに書き換える」と公表されています。
トランスミッションコントロールユニットにおいて、制御プログラムが不適切なため、走行中に偶数ギア段からニュートラルに手動で変速し、そのまま車両を停止させると、再び変速することが できず、走行不能になる。
国土交通省
そしてもう一件はメルセデスAMG E43 4MATIC+、メルセデスAMG E63 4MATIC+、メルセデスAMG E63S 4MATIC+ 、メルセデスAMG E63 4MATIC+ クーペ、メルセデスAMG E63 4MATIC+ カブリオレ(輸入期間:平成29年3月2日~平成30年9月22日)1,249台が影響するもので、内容は下記の通り。
対策自体はECUのプログラムを済みのものへと入れ替えることで完了します。
上の「トランスミッション」の例も同じですが、物理的な問題はなくとも、プログラムの異常にて「動作しなくなる」というのは、まさに現代のクルマならでは、と言えそうですね。
エンジンコントロールユニットの制御プログラムにおいて、車両へ搭載する仕様の設定が不適切なため、失火検知の診断が正しく作動しないことがある。そのため、不具合が生じていないにもかかわらずメーターパネル内のエンジン警告灯(MIL)が点灯し、誤検知したシリンダの燃焼を休止させて、最悪の場合、排出ガスが基準値を超えるおそれがある。
国土交通省
プジョーのリコール内容はこうなっている
そしてプジョーが届け出たひとつ目は「508」で、これもやはり制御系。
昔で言う「球切れ検出」についてですが、これが正常に動作しない、ということに。
対応としては、プログラムの各換えのみで終了し、対象となるのは平成31年2月2日~令和元年7月4日に輸入された255台(けっこうな台数が入ってきているのにびっくり)。
状態については下記の通りで、不具合発見の動機は「本国からの情報」、確認できた不具合件数、事故は「ゼロ」。
ボディ電装品制御ユニット(BSI)において、LEDの方向指示器点滅 に対する検出制御が不適切なため、方向指示器を使用した時に後部外側の 方向指示器の点灯状態を正確に読み取れないことがある。そのため、方向 指示器の点滅と検出制御が同期しなくなり、最悪の場合、警告灯が点灯し、 後部外側方向指示器が点灯しなくなるおそれがある。
国土交通省
そしてもう一件は「かなり珍しい」もので、不具合の内容は下記の通り。
エンブレムの成型および接着テープの取付けにおいて、製造指示が不適切 なため、設計と異なる仕様で製造されたものがある。そのため、接着テー プの接着性が弱く、エンブレムが接着テープから剥がれ突起となるおそれ がある。
国土交通省
つまり「GT」「GT Line」の文字をあらわしたエンブレムがペロリと剥がれ、これが歩行者等に対しての「鋭利な突起物」となり危険である、ということになります。
対象となるのは平成31年2月20日~令和元年6月3日似輸入された「508」で、その台数は298台。