| ヴェゼルよりもワイドでアクティブ、スポーティーな雰囲気も |
さて、先日上海に行ったときに見かけ、なかなかイケてるんじゃないかと思った中国市場専用車が「ホンダXR-V」。
これはホンダ・ヴェゼルの中国版ともいえるクルマですが、中国には別途「ヴェゼル」も販売中です。
いったいどういった理由でXR-Vとヴェゼルが共存しているのかと思って現地ディーラーに聞いたところ、まず同じホンダであってもヴェゼルは「広州本田」、XR-Vは「東風本田」という別会社によって製造されている、とのこと。
現在、中国において、現地で自動車を製造しようと考えた場合、外国企業は現地企業との合弁会社を設立しなくてはなりませんが、この合弁相手は「2社まで選べる」仕組み。
これはおそらく「中国はとても広いので」合弁相手が一社だと到底カバーできないからだと思われますが、北の方だとホンダは「東風汽車(=DFM、ほかに日産、プジョー/シトロエン、キアとも合弁を展開)、南の方だと広州汽車(=GAC、ほかにトヨタ、三菱、フィアットと合弁設立)との合弁を設立しています。
そして、「広州本田」にて製造されるのがヴェゼル、「東風本田」で製造されるのがXR-Vとなり、つまりは「合弁企業どうして同じ車種を作らない」よう、つまりカニバリズムを避けるため、同じプラットフォームを使用しながらも異なるモデルを製造するのだ、ということです。
ホンダXR-Vはこんなクルマ
そしてホンダXR-Vですが、ヴェゼルと同じプラットフォームを使用しながらも、印象的には「ぐっとアクティブ」。
ヘッドライトとフロントグリルは薄くなり(中国では薄型ヘッドライトが好まれるようだ)、逆にロワーグリルは樹脂製パーツと一体化して拡大。
これによって「ガバっと口を開けている」印象を受け、アグレッシブな雰囲気もありますね。
テールランプもヴェゼルとは異なり「薄く長く」。
テールランプの両端は横方向に大きく張り出し、これによってフロント同様にワイド感が強調されていますが、これもやはりスポーティーに見える一因だと思います。
なお、ヴェゼルのボディカラーにはダーク系が多いようですが、XR-Vには明るいイエローなど、比較的軽快なボディカラーが揃うのも両者の違い。
ちなみに価格はヴェゼルが12.79万元、XR-Vが12.78万元からという設定で、ここは差がほとんどないところ(邦貨換算で199万円くらい)。
このあたりは日本のヴェゼルの価格(2,113,426円~)と大きく差がないようですね。
中国版ヴェゼル、XR-Vともエンジンは1.5L、そして1.5Lターボ(220TURBOという表記)で、出力はそれぞれ96kWと130kW。
前者はスペック的にはまったく日本仕様と同じようですが、後者は日本仕様の1.5Lターボ(127kW)よりもちょっと出力が高く、最大出力を発揮するのも日本仕様よりも500回転高い6,000rpmという相違があります。
参考までに、「ターボ」は中国だと「T動(中国語だとT动)」、ハイブリッドモデルは「混动」と記載するようですね。
日本市場にはすでに「ヴェゼル」が導入されており、その「仕様違い」とも言えるXR-Vを投入する意味が薄く、よって日本市場にこのクルマが入ってくることはなさそうではありますが(法規的に輸出もできないと思う)、日本市場では「トヨタRAV4」のような、比較的アクティブなデザインが好まれるということもあり、現在「スマートな」デザインしか持たないホンダにとって、無骨なデザインのクルマを投入するということは「市場拡大」の一つの手段なのかもしれない、と考えたりします。
VIA:HONDA