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どうしたプジョー!突如ル・マン「ハイパーカークラス」に参戦すると発表。ベースとなるハイパーカーが無いのにどう戦う?

2019/11/15

| ハイパーカークラスに参戦するには、2年以上、20台以上の公道走行可能なハイパーカーを製造する必要がある |

完全に予想外というか、寝耳に水な「プジョーがル・マンのハイパーカークラスに参戦するという意思表示」。

ル・マンは2020年より、これまでのトップカテゴリであるLMP1に変わる「ハイパーカークラス」を設立し、市販ハイパーカーベースのレーシングカーでこの新カテゴリを運用するという計画を持っています。

このハイパーカークラスについては、かんたんに言うと「2年以上、そして20台生産された公道走行可能なハイパーカーをベースにしていること」「重量は最低1,100キロ、出力は750馬力」「ハイブリッドでなくてもOK(もちろんハイブリッドでもOK)」という決まりがあり、これをクリアしたのみクルマが参戦可能(現実的に、生産期間をクリアしたハイパーカーは少なく、実質的に参加者が充実するのは2022年以降だと思われる)。

なお、プジョーは2017年に、580馬力のガソリンエンジンと170馬力のハイブリッドシステムを搭載した「ヴィジョン・グランツーリスモL750Rハイブリッド」を発表しており、もしかするとこれを実現するつもりなのかもしれませんね(出力はぴったり750馬力)。

プジョーがアップデートされたヴィジョン・グランツーリスモ「L750Rハイブリッド」公開

プジョーのレースに関する経験はトップクラス

そして、このハイパーカークラスに対し、現在参戦を表明している自動車メーカーは下記の通り。

・スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG 004)
・アストンマーティン(ヴァルキリー)
・トヨタ(GRスーパースポーツ)

参加検討中だと言われるのはこちら。

・ケーニグセグ
・ランボルギーニ
・ゴードン・マレー(IGM)

なお、ランボルギーニは先日、アヴェンタドールのレーシングカーを発表していますが、これはおそらく「ハイパーカークラス」参戦のための準備だと思われます。

ランボルギーニが「V12、830馬力」の新型ハイパーカーのティーザー開始。アヴェンタドールのカーボン製キャビンにレース用の前後フレームを装備

こういった状況の中、今回プジョーがハイパーカークラスへ参戦を表明したということになりますが、これは正式にツイッターでコメントされたもの。
参加するのは2022年、そして「ハイブリッド」レーシングカーにて参加する、と明言されています。

なお、プジョーはモータースポーツに対して非常に熱心な会社で、「1895年に開催された、世界初のタイムレース」で優勝したのはプジョー。
近年ではダカールラリー、ラリークロス、WRC等ラリー分野での活躍が盛んですが、2009-2011年にル・マンへと参戦し、2009年には1-2フィニッシュを飾ったことも(2013年にはパイクスピークで新記録を樹立している)。※プジョーによる、公式モータースポーツヒストリーはこちら

つまりプジョーはモータースポーツにおいて「豊富な経験」と実績を持つということになりますが、いきなりハイパーカークラスに出場というのは相当に意外です。
というのも、プジョーは現在ハイパーカービジネスを展開しておらず、ここに出場して優勝したとしても、それが市販車ビジネスに影響を及ぼす可能性が低いという実情もあるため。
「レースに勝つことがプロモーションになる」のはアストンマーティンのような生粋のスポーツカーメーカーにとってであり、それによってアストンマーティンは市販車の販売を伸ばし、ひいてはハイパーカービジネスにておいて成功を収める確率が高くなると考えられます。

しかしプジョーの場合はアストンマーティンと異なって(ヴァルキリーのような)ハイパーカーを販売しておらず、レースに勝っても売るべきハイパーカーがない、ということに。
そしてそれ以前に「20台の市販車を売らなくてはならない」という規定をクリアできるのかという心配すらあるわけですね。

よって、プジョーがハイパーカークラスに参戦し、レースに勝ったとしても(実際に勝てるだけのポテンシャルは発揮できると思う)その効果を十分に生かせるとは考えにくく、プジョーの真意はどこにあるのかと考えたりしますが、実際のところは商売抜きにして、「プジョーがほかよりも優れていることを示したい」という単純な競争心が参加を決意させたのかもしれません。

そして、もしもそうなのだとしたら、ぼくはプジョーを支持したいと思います。

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