| さすがに200kmしか走らないのはちょっと怖い |
マツダはブランド初のEV、MX-30を発表したところですが、そのバッテリー容量は35.5kWhとかなり小さく、一回の満充電当たり走行可能距離はわずか200km。
ただしAutomotive News報じるところによると、これには「マツダなりの理由」があるよううです。
そして同メディアによれば、マツダモーターヨーロッパGmbH社長兼CEOである青山裕大氏の「小さなバッテリーのおかげで、MX-30は車体重量を1,700kgに収めることが出来た」というコメントをまず紹介。
マツダはMX-30において「ドライビングダイナミクス」を重視しており、つまりEVであっても「単なる移動手段」ではなく運転する楽しみを重視した、ということになりそうですね。
マツダは将来的に「レンジエクステンダー」で走行距離不足をカバー
さらにマツダは「統計によると、街なかや郊外の人々は、平均すると一日あたり40km〜70kmしか乗らない」とも述べ、つまりは毎日充電しておけば航続可能距離不足に悩まされることもない、ともコメント。
なお、マツダモーターヨーロッパGmbH開発主任であるクリスチャン・シュルツ氏いわく「MX-30のプラットフォームはもっと大きなバッテリーを搭載することも可能だが、今はそれに対応する予定はない」。
これについては、「バッテリー容量を拡大するよりもハイブリッド化したほうが効率がずっといい」とマツダは考えていて、実際に2021年には(すでにアナウンス済みの)ロータリーエンジンを”レンジエクステンダー”として使用した「長距離走行可能バージョン」MX-30を追加することになりそうです。
ただ、メーカー全体のCO2排出平均を抑えるためには「(レンジエクステンダーを搭載しない)ピュアエレクトリック」であったほうが好ましく、バッテリー価格が下がった場合には「バッテリー容量を増やす」といった対応を取るためにプラットフォームに余裕を持たせているのかもしれませんね。
現在、各社のEV性能はこうなっている
現在各社が様々なEVを発売していますが、普及価格帯におけるEVの性能はざっとこんな感じ。
ぼくは実際にEV(BMW i3)に3年乗りましたが、正直な印象だと「航続可能距離200kmだと怖くて乗れない」というものがあります。
真夏の出先で渋滞に巻き込まれ、エアコンをフル稼働させると目に見えてバッテリー残量が減りますし、バッテリー切れを気にして炎天下の中エアコンをOFFにするのもナンセンス。
そこまでして電気自動車に乗りたくはないと考えていて、よって「最低でも400kmは走らないと実用に耐えない」とも考えています(カタログ値400kmでも、実用上は絶対にそんなに走らない。ましてや公称値200kmだと実用上は100kmちょっとくらいだと思われる)。
なお、「毎日充電すればOK」とはいえど、充電を忘れることがゼロではなく、そういったときにピュアエレクトリックだと「出かけることが出来ない」ということになり、それをカバーする意味でもレンジエクステンダー(発電機)があったほうが良さそうです。
ただ、思いのほかレンジエクステンダーの制御は難しいらしく、ぼくが乗っていたBMW i3のトラブルはレンジエクステンダー関連に集中していて、マツダもすでにこの開発を行っているものの「2021年まで実用化できない」ということがその困難さを表しているのだと思われます。
車名 | バッテリー容量 | 走行可能距離 | 価格 |
日産リーフ | 40kWh | 322km | 324万円 |
日産リーフe+ | 62kWh | 458km | 416万円 |
ホンダe | 35.5kWh | 220km | 邦貨換算350万円 |
VW ID.3 | 45kWh | 330km | 邦貨換算340万円 |
BMW i3 | 42.4kWh | 360km | 543万円 |
ミニクーパーS E | 32.6kWh | 183km | 邦貨換算335万円 |
マツダMX-30 | 35.5kWh | 200km | 邦貨換算400万円 |
レクサスUX300e | 54.3kWh | 400km(NEDC) | ? |