| トヨタはなぜ目標販売台数を少なく見積もっている? |
新型トヨタ・ハリアーはちょうど6月16日の発売から1ヶ月が経過していますが、ここでトヨタ自動車が「7月16日時点で約45000台の受注を受けた」と発表。
新型ハリアーの月販目標台数は3,100台なので、その14.5倍の受注を集めたということになりますね。
ちなみにトヨタは各モデルの製品ページトップにて「出荷目処」という情報を記載していますが、ハリアーについて確認してみると「詳しくは販売店にお問いあわせください」と記載されており、現時点では明確な回答ができない模様。
「45,000台」はどれくらいのレベルなのか
そこでこの「45,000台」がどれくらいスゴいのかということですが、新型ホンダ・フィットが発売一ヶ月で集めた受注が31,000台、ヤリスが37,000台。
ハリアーの価格はこれよりもずっと上であることを考えると、驚くべき数字であることがわかると思います。
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月販目標3,100台は多い?少ない?
そして月販販売台数の「3,100台」について見てみましょう。
以下は2019年におけるSUVの月別平均販売台数(販売台数を販売期間で割ったもの)ですが、これを見ると3,100台というのモデルチェンジ前のハリアーと同じくらいの数字だということがわかります。
・トヨタRAV4・・・6,745台 ・トヨタC-HR・・・4,639台 ・トヨタ・ランドクルーザー・・・2,329台 ・トヨタ・ライズ・・・8,300台 ・ハリアー・・・3,020台 ・マツダCX-5・・・2,628台 ・マツダCX-8・・・1,941台 ・マツダCX-30・・・3,296台 ・ホンダCR-V・・・1,086台 ・ホンダ・ヴェゼル・・・4,657台 ・スズキ・ジムニーシエラ・・・902台 ・日産エクストレイル・・・2,208台 |
よって、「モデル末期のハリアーの販売台数と、モデルチェンジ後のハリアーの販売台数が同じくらいというのは”目標が低い”」と考えることができますが、トヨタは以前から月販販売台数を低めに見積もる傾向があるようです。
この理由は不明ですが、たとえばマンションのデベロッパーが、「限定した部屋数だけを売り出し、その限定分が売り切れたことを指して”完売御礼と言う”のと同じ(棟内の部屋が全部売れたわけではない)」で、目標よりも売れたということを対外的に示したいからなのかもしれません。
現実的に、ここ最近のトヨタの新型車において、ぼくの知る限りだといずれも「目標を大きく上回る受注」を獲得しています。
ただ、発売後は販売が下がってゆくのが常なので、通年としての目標は低く見積もるべきという考え方もありますが、RAV4の場合は「月販目標台数3,000台」を発売1年後もクリアしている状態ですし、トヨタとしては「ハリアーについても、実際はもっと売れる」とわかっていたはずで、しかしあえて目標を低く設定したのは「株主対策」なのかもしれません。
いずれにせよ、「目標に届かなかった」というよりは、「目標を大幅に超えた」と発表したほうが社内の士気向上にも有効であり、誰も損をする話ではないので、”月販目標台数を低く見積もる”ことについては今後も通例として根付くことになりそうですね(ぼくも暗いニュースは聞きたくないので、そのほうがいいと思う)。
参照:トヨタ