| バリエーションの増加、顧客の要望の多様化によって、車種ごとの性格や役割も変わってきているようだ |
さて、ポルシェ・マカンSが納車されて数日後の印象。
よくよく考えると、ぼくにとってはじめてのポルシェ製SUVであり、3枚より多くのドアがついているはじめてのポルシェということに。
そのために色々と新鮮なことも多く、ざっとそれらも含む印象を述べてみたいと思います。
挙動がマイルド
全般的に思うのは、挙動がマイルドだということ。
例えばブレーキを踏んだときの感覚、完全停止する直前の車体の動き(カクっという微細な衝撃がない)、ブレーキホールドから復帰するときのなめらかさ、ステアリングホイールを切った初期の反応など。
これらについてはメルセデス・ベンツ等、いわゆるプレミアムカーメーカーの作るSUV同様の「高級車然」としたフィーリングを持っていて、ポルシェの「スポーツカーラインアップ」とは完全に切り分けられているようです。
当然と言えば当然ではあるものの、ポルシェが最初にカイエンをリリースした頃、ポルシェはカイエンであっても「スポーツカー」と主張し、サーキットを走らせるといったプロモーションも行っていたほどですが、現在ではそのSUVラインアップについて、(おそらくは顧客の求めに応じ、そしてライバルとの対抗上)そのポジション、設計時に求める要件が変わってきているのだと思われます。
さらに、ポルシェはスポーツカーラインアップについて「911」「718」といった3桁の数字を用いており、SUVやセダンについては「カイエン」「マカン」「パナメーラ」「タイカン」という名前を使用するようになっているので、これらの間には明確な境界線を引いたということなのかもしれません。
つまり、SUVやサルーンについても「無理に」スポーツカーを主張するのではなく、それぞれのセグメントにおいて他社のシェアを獲得できるようなキャラクターが与えられている、ということですね。
これについて、ぼくは肯定的に受け止めていて、というのも当然ながらポルシェのセールスが(他社のシェアを獲得することで)伸長し、加えてスポーツカーとの性格が明確に分かれることで「ポルシェのスポーツカーと、ポルシェのSUV(サルーン)との二台持ち」であれば、多くの人の要望を満たせることになるため。
インテリアの操作もマイルド
そして挙動もマイルドならば操作系もマイルドで、代表的なのはシフトノブのタッチ。
これまで乗ってきたポルシェ(986ボクスターS、997世代の911カレラ、981ボクスター、718ケイマン)のシフトレバーのタッチについて、マニュアル・トランスミッションはもちろんPDKであってもダイレクトは感覚があったものの、マカンSのPDKセレクターは「動かした瞬間に」違いが分かるほどマイルド。
走行中、積極的にシフト操作を行うわけではありませんが、始動後や駐車時には必ず操作する部分であり、その都度「重厚で濃密な」フィードバックを受けることになります。
もともとポルシェは、操作に対する車両の反応を作り分けるのが上手なメーカーで、たとえば「標準モデル」と「S」であっても別の車のような味付けがなされているわけですね(Sは単なるパワーアップ版ではない)。
つまり、どこを変えればクルマの反応がどう変わるのかを熟知しているということになりますが、こういった「タッチ」まで車種によって作り替えることができるようになったのか、と驚かされます。
囲まれ感が強い
ちょっと意外ですが、マカンはこれまでに乗ってきたポルシェのスポーツカーに比較して囲まれ感が強く、ダッシュボードの位置も高くなっています。
よって、着座位置からの開放感はスポーツモデルの方が高いように感じますが、これは「囲まれ感を強くしたことで外界からの遮断性を強め、防音や遮音とあわせて高級感を強めている」「グラスエリアを狭く取ることで外観をスポーティーに見せている」という、内外双方からの理由なんじゃないかと考えています。
いろいろと逆
これはもう単純にレイアウトに起因するものですが、フロントにエンジンが積まれているポルシェに乗るのは「初」なので、ガレージにクルマを収めて降りたとき、「フロント周辺が熱を持っている」ポルシェは初めての経験です(これまでだと、ドアを開けた瞬間に後ろの方から熱気が襲ってきた)。
さらに、給油口が後ろにあるポルシェもはじめて(今まではぜんぶフロントフェンダー)で、このあたりは新鮮ですね。
これらのほか、距離を重ねるにつれ感じることなど多々出てくると思いますが、都度都度アップしてゆきたいと思います。