| BMW M部門の50周年記念車として、限定での発売か |
さて、BMWのハイパフォーマンスカー部門「M」は来年で50周年を迎えますが、BMWいわく「Mブランドの50周年は、驚きに満ちた年になるだろう」とのこと。
そこでどう驚きなのかということですが、なんと「1360馬力(1341HP)を発生するiM2を発表する」というウワサが出ているわけですね。
そしてこのiM2については「プロジェクト・カタリーナ」と呼ばれ、現在進行中ではあるものの、まだ正式に市販が認められたわけではない、とも報じられています。※画像はBMWオマージュ・コンセプト
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「マンガの中でしか実現し得なかったトルクベクタリング」
なお、このiM2はハイブリッドではなく「ピュアエレクトリックカー」で、4つのモーターを備えると報じられていますが、「これまで考えうる中において、もっともエクストリームなバッテリー技術」「今まではコミックの中でしか存在しなかった、画期的な4輪トルクベクタリング」を搭載。
このiM2は「電動化によって何を成し遂げることができるのか」、そして「究極のハンドリングとパフォーマンスを実現するため」に開発されているといいますが、ここ数年でBMW内部に対する「電動化」の考えかたが変わってきたようにも感じます。
かつてBMWは「スポーツカーとエレクトリックとは相容れない」としていた
というのも、iブランドを開始した当初、BMWはi8に対しMモデルを設定することは「絶対にない」と語っており、その理由は「iブランドおよび電動化はエコのためであって、パフォーマンスを追求するMブランドとは相容れない」としていたため。
たしかに当時はエレクトリック(ハイブリッド、PHEV)とは燃費を節約するために存在するもので、より効率的で環境に優しい走行を行うための機構でありスポーツ走行を行うためのもではないという認識が広くあったように思います。
ただ、その後自動車業界においてもその流れがちょっと変わる「事件」があり、それがポルシェ・パナメーラ・ターボS Eハイブリッドの登場。
それまでのトップレンジであったガソリンエンジン車の「パナメーラ・ターボS」よりも高い馬力を与えられて登場し、名実ともにパナメーラのトップレンジへと君臨することとなったわけですね(現行モデルだと、パナメーラ・ターボS Eハイブリッドは700馬力、ターボSは630馬力)。
ただし一部の自動車メーカーは「ハイブリッド」を速さのために活用しはじめる
ここでポルシェは「ハイブリッドを、運動性能の向上に使用する」という新しい概念を示したわけですが、これにすぐさま反応したのがメルセデス・ベンツであり、「メルセデスAMG GT 4ドアセダン」発表の際にも、ハイブリッド化によって800馬力を獲得したハイパフォーマンスセダンが登場すると言われたことも(結局当時は実現せず、しかし近いうちに、AMG GT 73eとして発売されそうだ)。
それでも多くのメーカーはまだまだ「ハイブリッド=エコ」という認識が強く、ハイブリッドの大御所であるトヨタも現在に至るまで「電動化による、運動性能の向上」については踏み込んでいませんし、BMWもここ最近までは「ハイブリッド=エコ」の領域からは脱しなかったわけですね。
実際のところ、BMWは「100周年」を迎えた際にも(多くの人がM1後継を望んでいたにもかかわらず)スポーツカーやスーパーカー、ハイパーカーではなく「ヴィジョンNEXT100」というよくわからないクルマを発表してしまい、この時点でもまだ電動化とハイパフォーマンスカーをと完全に切り分けていたように思います。
しかしながら、その考え方がちょっと変わったのが2019年のコンセプトカー「ヴィジョンMネクスト」。
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これはM1の後継を連想させるエレクトリックスーパーカーで、これまで「エレクトリックとMとは相容れない」としていたBMWの考え方のシフトを如実に表す例だと考えています。
BMW iM2はスゴい車になりそうだ
そこで新型iM2に話を戻すと、「1360馬力、4輪トルクベクタリング」というのは上述の通りで、さらに驚かされるのは0−100km/h加速を2.5秒以下で駆け抜け、ニュルブルクリンクを7分以下で周回すると伝えられていること。※実際に、電動パワートレインを持つと思われる、M2の外観を装ったプロトタイプがニュルを走行する姿が目撃されている
これが実現できるとなると、ランボルギーニ・ウラカンやマクラーレン720S、フェラーリF8といったスーパーカーのパフォーマンスを超え、一気に「ハイパーカー」の領域に近づくことになり、これまでBMWがライバルにひけを取っていた「電動化によるハイパフォーマンス化」「スーパースポーツ」といった分野において一気に形勢を逆転できることになりそうです。
なお、このiM2について、上記の他にも驚くべき装備を多々持っており、「カーボンファイバー製ボディパネル」「リアシートなし(2シーター)」「軽量ガラス」といった特徴も報じられています。
まだまだ登場するのかどうか、そして発売されるにしてもそのルックスがどうなるのか等不明点も多く、しかし「2002ターボ」「初代M3」的なルックスで出てきたら相当な話題を呼ぶことになるのかもしれませんね。
参照:Car Magazine