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BMWのデザイナー「なぜ4シリーズや7シリーズには奇抜なデザインを採用し、3シリーズや5シリーズは普通なのか」

2022/05/01

BMW

| それはそれぞれのシリーズの客層の性質を反映したものだった |

実際、BMWの販売台数は大きく伸び、BMWが正しかったことを証明している

さて、近年のBMWは過激なデザインを採用することで議論を呼び、ちょっと前だと4シリーズやM3 / M4に採用されたジャンボキドニーグリル、そして最近だと新型X7や7シリーズ / i7に採用されるスプリットヘッドライトが熱い話題もしくは批判の的となっています。

そして今回、BMWのデザイン・チーフであるドマゴジ・デュケック氏が「なぜ最近のデザインはこうなっているのか」についてカーメディアに対して語ることに。

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なぜM3のグリルは大きく、3シリーズのグリルはそうではないのか?

まず現在のBMWは「金太郎飴」を脱し、4シリーズやM3 / M4では巨大なバーチカルキドニーグリルを採用する一方、通常の3シリーズや5シリーズについては「常識的なキドニーグリル」を持っていますが、これについて同氏は「顧客の2/3はエレガントで調和のとれた美しさを求めており、そういった顧客に向けたデザインが3シリーズや5シリーズなのです。これらの販売ボリュームが大きく、デザイン的冒険をするのは妥当ではありません」。

ただし残りの1/3については「ある一定の人々は群衆から目立つことを好んでいます。4シリーズや新型7シリーズはそういった”極彩色を好む”顧客に向けたものであり、もともと保守的な嗜好を持つ客層を狙った製品ではありません。彼らは非合理的なクルマを求め、その感情的な表現や、その主張のために、もっとお金を払ってもいいと考えているのです」とも説明を行っています。

たしかに4シリーズや7シリーズは販売ボリュームが大きくはなく、そして(モデルチェンジ以前から)なんらかのこだわりがある人が購入するクルマであり、よってそういったクルマの個性を徹底的に強化するのは「正解」なのかもしれません。

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BMW 4シリーズのキドニーグリル
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「美しさという概念は両極端になる可能性がある」

加えてBMWグループにてデザイン・チーフであるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏もこれを支持しており、「良いデザインは両極端である必要はないと思いますが、美しさという概念は両極端になる可能性があるのです。ある種の顧客が美しく、時代を超越したタイムレスなクルマを求めるのであれば、もちろん私たちはそれをデザインすることになるでしょう。そしてX6のようなアグレッシブなクルマを求めるお客さまもいらっしゃるのも事実です。反面3シリーズや5シリーズは販売台数が多いので、そのようなアプローチは通用しないでしょうから、ひとつの解決策を見出すことができないのは明らかです」と述べており、BMWはそのシリーズごとに明確に仮想ターゲットを設定し、それにあわせてデザインを行っているということになりそうです。

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なお、この戦略は実際のところ奏功していると考えてよく、BMWのセールスは好調に推移しており、2021年の販売台数は221万3,795台という「BMWにとっての過去最高の数字」に。

そしてこれはメルセデス・ベンツ(209万3476台)とアウディ(168万0512台)の両方に勝る数字でもあるので、BMWの戦略が正しいということを裏付けているのかもしれません。

ちなみにですが、マリア・テレサは「好きの反対は(嫌いではなく)無関心」だと述べており、ぼくもそのとおりだと思うのですが、BMWについてそれだけ多くの人があれこれ言うことにつき、実は「嫌いなのではなく、なんらかの興味がある証拠」なのかもしれません。

そして、そういった白熱した議論をきっかけにBMWに興味を持つ人もいて、そのうちの一定の人々は「普通のデザイン」を持つ3シリーズや5シリーズを購入したりするのかもしれませんね。

そしてまたある種の人々は4シリーズを購入し、この奇抜さはほかメーカーのクルマにはないものなので、BMWは「新しい需要を作り出すことに成功し、自社のファンを育成することに成功した」とも言えます。

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参照:Car Magazine

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