| なんだかんだでテスラはしっかり自動車メーカーとしての運営を考えていた |
クルマの次は「サービス」にて革命を起こしたいと考えているようだ
さて、現在テスラの販売と生産は(直近だと上海のロックダウンでやや鈍ったものの)上り調子なのは間違いなく、しかしそこで浮き彫りとなるのが「納車済みの車両のメンテナンス問題」。
テスラのクルマはEVなのでもともとメンテンナスを(ガソリン車ほど)必要としないものの、全くメンテナンスが不要なわけではなく、かつ物理的なトラブルに対応するためのパーツ交換、補修が必要となる場合もあり、しかしそういった場合に指摘されるのが「整備拠点の少なさ、それによる修理期間の長さ」。
テスラは「F1のピットレーンなみ」の速さでの修理を目指す
ちなみにテスラはこういったサービスに関する問題を「非常に」重く受け止めているといい、第2四半期には売上高や利益、納車台数よりも優先的に取り組んだ、とも言われます。
そしてその中の一つの取り組みが「F1のピットストップを参考にしたサービス提供」。
F1のピットクルー並みの早さでクルマを修理しようというのは大げさかもしれませんが、実際にイーロン・マスクCEOは自身のツイッターにて「F1のピットストップ技術を取り入れた迅速なサービス」と行うと述べており、従業員に対して「どうすればほかメーカーの10倍の速さでの修理が可能となるか考えるように」という課題を与えたとも報じられています。
加えてイーロン・マスクCEOは「これまでのテスラ車の修理に関するデータ」を調べたところ、パーツさえあればほとんどの修理が即日可能だという結論に達したとされ、このデータをもとに今後「サービス面における革命」を目指して動いているもよう。
なお、数年前には「ずっとクルマを預けているが、一向に修理が完了しない」というテスラユーザーの声がネットに溢れており、その際にはレッドブルF1チームのメカニックを雇用してサービス部門の改善に従事させたことがあり、今思うと当時から「F1なみの」修理スピードを目指していたのかもしれませんね。
テスラはアプリにて「自己診断」機能を提供開始
それに付随してか今回テスラはアプリにおける新しいアップデートを行っており、その目玉はユーザーエクスペリエンスの向上を目的とした「自己診断」機能の提供。
これは該当の機能を立ち上げて車両をスキャンし、その後に問題があればその内容を診断を行い、実際に修理が必要であるかどうかを判断する、とのこと。
さらにサービスセンターを予約する際には他に潜在的な問題がないかどうかをチェックする機能も実装されているといい、これは上述の「パーツさえ揃っていればすぐに対応な案件が多い」ということを前提にした迅速なサービスを実施するための試みなのかもしれません(データの取得も兼ね、この自己診断機能によって事前に不具合をテスラに送信し、必要なパーツをストックしたり、不足しそうな際にはパーツの生産を行ったりするのかもしれない)。
もちろんこの自己診断の結果、サービスセンターにゆかずとも機能の回復が可能な場合(つまりソフトウエアの問題)は即座にアップデートによる対応も可能だとされ、このアプリのアップデートはかなり便利、かつ「現実的な」機能をもっているということになりそうですね。
当然ながらユーザーにとって大きく安心感が増すことは間違いなく、同時にテスラにとってもトラブルの内容について統計を取りつつも改良に役立てたりサービスの準備を行ったりすることができ、ここはテスラの目指す「サービスの改善」ひいてはクルマの品質そのものの向上に寄与することになるものと思われます。
ちなみにですが、テスラはこういったソフトウエアについてはすべて自社にて開発しており、しかしほとんどの自動車メーカーは下請けや子会社への「外注」。
テスラは自社(ソフトウエア)開発ならではの強みを活かしてマイクロチップ不足を他社に比較してうまく乗り切ったとも言われますが、今回はその強みをサービス、そして改良に役立てるということになりそうです。
参考までに、テスラの大きな特徴でもあり、かつ今では多くの自動車メーカーが売り物にしている「オンラインアップデート」はテスラによって自動車業界にもたらされた後にほかメーカーがこぞって取り入れたものであり、そして今回の「自己診断機能」についてもテスラが活用し始めた後に他社が追随することになるのかもしれません。
そう考えると、今でもやはりテスラは一種の「ベンチマーク」であり続け、他社がいかに追ってこようとも、常にそれよりも速い速度で逃げている、と考えることもできそうですね。
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