| トヨタは生産台数を相次ぎ下方修正、ハリアーは9月にマイナーチェンジを迎える |
さすがのトヨタもここまでの状況は予想できなかったようだ
さて、ロイターによればすでに受注したトヨタ・ハリアーの注文を取り消しているいい、加えて(当然ながら)新規注文を停止した、とのこと。
報道によるとトヨタの報道が明らかにしたもので、理由としてはおなじみ「中国・上海のロックダウンなどの影響にて生産が計画通りに進まなくなったため」。
加えて日経新聞は「現在の受注分は、9月に発表されるマイナーチェンジ版のハリアーへと注文を振りけてもらうように顧客と交渉中」とも報じており、もちろんマイナーチェンジ版では値上げがなされることになるかと思いますが、その値上げ分と、当初注文した際の価格との差は「販売店にて(一部)吸収」することも検討しているようですね。
一体どれくらいのハリアーがこの影響を受けるのかは不明
なお、今回の受注取り消しの対象がどれくらいになるのかは明かされておらず、しかしハリアーは毎月3000台前後のペースで国内に登録されており(これも生産が追いついていない状態での数字だと思われる)、9月のマイナーチェンジまでこのペースで作り続けたとなると、およそ2ヶ月分の6000台くらいが注文を取り消さねばならない対象となっているのかもしれません(あくまでも推測)。
よって、販売店としては、この台数のハリアーの受注について、購入者に連絡を取って様々な交渉を行うことになるかと思いますが、おそらく多くの顧客は値上げを許容せず、けっこう(営業担当については)タフな交渉を強いられそうですね。
これがまだ平時であれば問題はないものの、現在は円安にて輸入コストが大きく上昇しており、(ハリアー単体で見ると)製造コストが上昇していると考えてよく(もちろん為替予約をしているので、そう大きくは上がらないとは思うが)、値上げ分の補填に充てる原資も十分に確保できない状態なのかもしれません。
なお、ハリアーの商品ページを見ると、明確に「受注停止」とは記載されておらず、「詳しくは販売店にお問い合わせください」という表記のまま(7月19日から更新されていない)。
一方、話題となったランドクルーザーについては明確に「注文停止」と記載されています。※トヨタ車の工場出荷目処一覧はこちら
「製造コスト」に対する自動車メーカーの対応は様々
自動車メーカーによって、こういったコストの変動による値上げへの対応は様々で、一般に国産車は「契約した時点での価格で納入」するのが通常であり、しかし今回はまったくの想定外。
参考までにテスラはどんどん値上げを行うことで知られますが、その値上げは「納車時点での価格」を反映したものであり、よってこれも受注した際の価格にて最終的に決済され納車されることとなります。
反面、フェラーリなどスーパーカーの場合、注文してから納車までの期間が長く、よって先の情勢などを読めないために「納車時の状況を反映した価格」で決済する必要があり、ぼくが注文したフェラーリ296GTBも、最終的な支払い時には「100万や200万円くらい」ポンと値上がりしていることが想定されるわけですね。
ただ、こういった値上げについては、さすがに本社も配慮してくれているのか、仕様そのままで値上げを行うのではなく、それまでオプションだったものを装着して値上げを行い、その衝撃を和らげることが多いようです(フェラーリ296GTBも発表から間もない時期に値上げされているが、そのかわりに、アップルカープレイが標準装備されるようになった)。
「半導体(マイクロチップ)」の影響はどうなっているのか
ちなみにですが、ここ最近自動車メーカーが生産遅延や受注停止の理由に掲げるのが「上海のロックダウン、物流の混乱、ロシアによるウクライナ侵攻」。
つまり以前のように「半導体」が理由として前面に押し出されることが少なくなっていて、これは「一部で半導体の供給が追いつきつつある」ことが理由かと思われます。
世の中というのは悪いことばかりが先行して報道され、いいことはあまり報道されないので、「不足」はニュースになっても「不足の解消」はニュースにならないわけですが、実際にエヌビディアやクアルコムなど半導体メーカーの株価は「この先、むしろチップの供給が過剰になり、チップの価格が下がる」という予測のもと大きく下がっています(下はエヌビディア)。
もちろん直近の「下げ」はそれだけの影響ではありませんが、すでに識者の間では「半導体は過剰生産になる」と見られているわけですね(下のチャートはクアルコム)。
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参照:Reuters