| ポルシェはもともとリコールが少なく、911となるとさらにリコールが少ない |
今回のリコールは走行性能に関わるものではないが、修理に大きな手間がかかりそう
さて、米国道路交通安全局(NHTSA=National Highway Transportation Safety Administration)が発表したところによると、2022-2023年モデルのポルシェ911にリコールが届け出られた、とのこと。
衝突後に助手席側エアバッグが展開した場合に、レザーのダッシュボードカバーが剥離する可能性があるという問題を持ち、車両の製造記録から、問題を持つ個体が2022年9月13日から11月29日の間に製造された53台だと特定されており、非常に少数のリコールとなっています。
問題の原因はダッシュボードに使用される接着剤
ポルシェによると、エアバッグリッド(展開するときに開くフタ)とダッシュボードカバーの間に使用されている接着剤が、適切な生産工程の要件を満たしていなかったとのことで、ポルシェは生産テストの結果を受けて10月にこの不具合を認識したと報じられていますが、これは車両生産開始後にも継続されるテストのうち、高温環境にてインストルメントパネルのコンポーネントの挙動を調査するため「特定の温度範囲」で行われるもの。
テストの結果、安全上の重要な問題である助手席エアバッグの展開に「悪影響を及ぼす」可能性があるといい、具体的にはダッシュボードが「壊れて分離する」可能性を否定できず、影響を受ける911のダッシュボード全体を交換する必要があるもよう。
ポルシェは2022年12月21日に販売店(ポルシェセンター)にこの問題を通知し、2023年2月3日からオーナーに連絡を開始するそうですが、この53台の中には特別なオプションを装着している車両が含まれている可能性もあり、そういったケースだと「特別に」ダッシュボードを作り直さねばならず、単にパーツを交換して終わりとはならないのかもしれません。
今のところ実際に起きた問題・事故はない
幸い、今のところエアバッグ展開に伴いダッシュボードが分離する事故は報告されておらず、リコール通知書には、「修理が完了するまで911の運転を避けるように」とまで記すことはないそうですが、該当の911オーナーはくれぐれも事故を起こさないよう、いつも以上に注意する必要があるのかもしれませんね(ただ、特定条件が重ならなければ問題が起きるものではないのだとは思われる)。
もちろん今回のリコールについても他のリコールと同様、無償で行われる予定であり、新しいダッシュボードには、「接着剤が正しく塗布される」ことになるのは間違いのないところ。
なお、ポルシェはもともとリコールの少ない自動車メーカーであり、リコールがあったとしても、それはパナメーラやカイエン、マカン、タイカンに集中しており、718ケイマンやボクスター、911といったスポーツカーレンジにおいては更にリコールが少なく、発生したとしても比較的マイナーなものにとどまっています。
その理由は「スポーツカーレンジは、ポルシェ属するフォルクスワーゲングループのほかブランドとの共通性が低く、かつポルシェが設計した部分がほとんどを占めるから」だと考えていますが、言い換えれば、ポルシェによる設計以外の部分では「ポルシェの想定してない」問題が起きる可能性を否定できない、ということなのかもしれません。
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