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なぜ限定スーパーカーの価格は天井知らずに?その構造と「購入条件」を考える

2017/03/26

最近は限定スーパーカーの値上がり(プレミア価格)が大きく、その値上がり速度も額もハンパない、というのが現状。
これにはおそらく世界中で富裕層が増えているということが関係しており、お金に糸目を付けずに欲しいものを手に入れるという人が増加しているため、とぼくは考えています。

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いやいやお金持ちは新車で買えばいいじゃない?という意見もあると思いますが、「お金があったとしても」新車で”売ってくれない”のが限定スーパーカーの世界となっており、たとえば過去にはカーセンサーにて「(実際に支払い能力のある人が)約1億円の車、マクラーレンP1を買いに行ってみた」が買えなかった、という記事も公開されています。

ブガッティは購入時に身辺調査があり、「社会的信用/地位がある」「反社会勢力ではない」「数億円の年収が継続的にある」といった条件をクリアしないと売ってくれないとは言われ、そこまでのものではないにせよフェラーリやマクラーレン、ランボルギーニにもある程度「条件」はある、のは確か。

新興国のお金持ちなどで実績がなく、そういった条件をクリアできなかった人たちがお金にモノを言わせて限定スーパーカーを(中古やオークションで)購入しており、それが相場を釣り上げる要因になっているのでは、ということですね。

ここでその「条件」について考えてみますが、日本人は「誰でも同じ」に扱ってもらえることを「平等」と捉えるものの、欧州のような「階級社会」では、階級に応じた扱いが平等であり、貴族と平民を同じに扱うことは逆に「不平等」という考え方が一般的(そのためファストパスのように”お金で順番を買う”のに抵抗を示す日本人も多い)。

よって欧州ブランドにとっては、よりそのブランドに貢献した人、お金を落としてくれた人を優遇することこそが「平等」であり、ここが日本の感覚とはちょっとことなるところ。

アストンマーティンにおいても、レッドブルとの共同開発を行っているハイパーカー「ヴァルキリー」について、誰にでも等しく門戸を開くのではなく「アストンマーティンが顧客を選定する」ことを公言しており、「(あまり売れていなくて困っている)ラゴンダを購入すれば購入できる確率は上がる」と日本でのヴァルキリーお披露目の際に明言。
つまり「売れていないラゴンダを買う=アストンマーティンへの貢献/サポート」であり、これを行うのとそうでないのとではアストンマーティンにとっての「重要顧客度」が変わる、ということになります。

フェラーリの場合だと、通常モデルであっても「オプションの額」によって生産時期が変わるとされており、たとえば現在フェラーリ488スパイダーは納車待ち期間が2年ですが、「オプションの額が多ければ納車までの時間が短くなる」ということですね。
この他にもそれまでの実績に応じて「納車期間が短くなる」ことも想定でき、これが一般的に欧州自動車メーカーの考える「公平」だということです。

ぼく自身はこれについて異論はなく、メーカーの考えに従うよりほかはないと考えており、従えないのであれば、ぼくたち消費者は「買わない」という権利を行使するのが(悲しいかな)精一杯の抵抗である、と考えています。

とにかくこういった「制限」があるのがスーパーカーや少量生産車の世界であり、より有利に限定モデルを購入する、より納車期間を短くするには「そのメーカーの車をたくさん買う」のが一番の近道。
お金がたくさんあって、どのメーカーの車でも好きなだけ購入できるのであれば話は別ですが、そうでなければ「ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンを一台づつ買う」よりは、「フェラーリを4台買う」ほうがより有意義なカーライフを過ごせる可能性が高い、ということです(もしくはポルシェを4台、ランボルギーニを4台、マクラーレンを4台、と置き換えてもいい)。

そんなわけでぼくはハイパフォーマンスカーについては「ポルシェとランボルギーニ」にフォーカスしていますが、たとえばここからフェラーリやマクラーレンの世界に入ると、「イチから出直し」ということに。

マクラーレンだとまだ現在の体制になって歴史が浅いので、何台か購入することで自身の「重要度」を上げることはできますが、フェラーリにおいては日本市場で50年も活動していますし、とんでもないお金持ちのオーナーさんが(非常に)多数いる世界ですので、どう頑張っても「限定モデルはぼくに回ってこない」状況だと言えます(ただしこれはフェラーリやマクラーレンを買わないという意味ではない。限定モデルにたどり着けない、というだけで)。

限定モデルなどの「購入条件」についてはあまり明かされることはないようですが、フェラーリの場合、一般にささやかれるのは下記の通り。
限定モデルを購入するのに限定モデルを購入したことがないとダメ、というのはある種矛盾しているようにも思えますが、それだけ敷居が高いということなのでしょうね。

・フェラーリのクラシックモデルを保有している
・今までにも限定フェラーリ(スペチアーレモデル。F40やF50、エンツォなど)を購入している
・すぐに転売していない
・5台以上を正規ディーラーにて購入している
・クラシック フェラーリを1台保有、現行モデルを1台保有、過去の限定モデルを1台同時保有
・その国のフェラーリクラブに所属
・職業の貴賎
・これら条件を複数満たしている

いずれのメーカーも同じですが、基本的な考え方については「そのブランドに対して多額のお金を払ってくれている、購入した車は売らずにずっと維持してくれている、(クラブ所属やイベント参加で)そのブランドを広め、盛り上げる活動に参加してくれている」というところが大きいように思います。

なお、最近では新車発表時に「メディア」に加えてポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、メルセデス・ベンツなど各社は「ユーチューバー」を招待する傾向にあります。
これは各メーカーの重視するターゲットに変化が発生していることを意味し、各メーカーとも「より広い範囲で、より若い層に」訴求したい、と考えているのかもしれません。

そのためにSNSでの発信力が強い人を重視していると思われ、そしてその重要度はこれまでの「VIP」より重いようで、フォードGTやラ・フェラーリ・アペルタは「有名コレクター」よりも「有名インフルエンサー」に購入権が与えられているようですね(わかりやすく言うと”お金持ち”から”有名人”に重要性がシフトしている)。

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