Sankeibizにて、レクサスが「ドイツ御三家に宣戦布告」という記事が。
これによると先日発売したばかりの「LC500」によってドイツ御三家(メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ)に宣戦布告、というものです。
なお、レクサスはかつて「現状でドイツ御三家に対抗するのは無理。あくまでも日本風を強調」としていますが、今までとは異なる方向にてドイツ御三家に対抗するのでしょうね。
記事によると、レクサスが「LC500」を2012年のデトロイト・モーターショーに「LF-LC」として出展した時点においては「完全なコンセプトカー」。
あくまでもデザインとして今後のレクサスを示唆するものであり、ドライブトレーン含むパッケージングを考慮しておらず、「そもそも現実性がない」モデルであった、とのこと。
ところが発表後に各方面から絶賛され、北米のディーラーから「是非発売を」と言われて発売に至った、としています。
なお、北米のディーラー網の要求というのは日本の構造からは考えられないほど強く重いもので、「モータースポーツに参戦していないと車が売れない」というディーラーからの要望を受けてモータースポーツに「広告」として参戦するメーカーもあるほど。
なお記事では「レクサスの抱える構造的な問題」として”品質は高いが、感情を揺さぶらない”のがレクサスであると指摘。
実際にコンシューマーレポートではレクサスは毎年品質面において「安定の一位」ながらも「満足度ランキング」では常にドイツ御三家の後塵を拝している、とも指摘しています。
これにはぼくも異論の無いところで、なかなかレクサスの購入に踏み切れないのはここにあるのかもしれません(車自体は非常に高く評価している)。
レクサスは1989年誕生、とメルセデス・ベンツ、BMW、アウディと言った「100年以上存続している」メーカーに比べると超のつくヒヨッコ。
BMW自身も「ブランドを構成する要件のうちひとつは”歴史”である」と断言しており、それは欧州においては共通認識なのか、だからこそ自動さやに限らず「ブランドの売買」が盛んであるとも考えられます。
ただ、トヨタに限らず日本メーカーはこういったブランドの買収による成長を行わず「自力で」製品の開発や企業の運営を進める傾向があって、それは戦後にはじまって今の日本車の地位を見ても明らかな通り「間違ってはいない方向」だと認識しています。
要はレクサスは「これから」のブランドになるわけですが、ドイツ御三家と同じ方向では到底太刀打ちできず、それを一番良く理解しているのがレクサスで、だからこそブランドシフトを宣言したのでしょうね。
なお、これについては韓国や中国の自動車メーカーも同様で、だからこそヒュンダイは「デザイン」推しで世界の有名デザイナーをバンバン引き抜きという展開。
一方で中国の自動車メーカーは「ブランド買収」「デザインの外部委託」に加え、中国の強みでもある「バッテリー技術(時々爆発しますが)」を活かした「EV」推し、という欧米自動車メーカー、日本の自動車メーカーとも異なる展開を見せており、さらには「ハイパーEV」で世界中の注目を中国に向けさせる、という手法を採用しているように思われます。
それ(強みを活かした差別化路線)は日本の各メーカーも考え方としては同じ路線で、トヨタだとそこが「ハイブリッド」になると思われますが、そのハイブリッドで「心揺さぶられるのか」ということなのかもしれません。
レクサスLC500に話を戻すと、この車については「心揺さぶられる何か」が確実にある、とぼくは考えていて、試乗の際にも「もっと乗っていたい」と直感的にこの車を求め、そして多くの人が同じように感じた結果として「目標の36倍」の受注に繋がったのだとも考えています。