| とくにフォードと中国の自動車メーカーのクルマとは客層がかぶりやすい |
まさかここまで早く中国が力をつけようとは
さて、フォードCEO、ジム・ファーレイ氏が「今後、我々のライバルとなりうるのは、GMでもトヨタでもなく、吉利(ジーリー)、BYD、長城汽車、上海汽車といった中国の自動車メーカーである、とコメントして話題に。
これは先週開催されたモルガン・スタンレー・サステナブル・ファイナンス・サミットでの発言ですが、「中国のメーカーはEV関連技術において先行しており、BYDはすでに今年、現在の(EV業界での)リーダーであるテスラよりも多くのEVを世界で販売しようとしている」という事実について指摘し、その脅威に備えるべきであると主張しています。
そしてもちろん、中国は世界最大の自動車市場であり、そこで販売される「3台に一台以上」の新車がすでに電気自動車となっていて、この市場規模に対応できるだけの最先端のバッテリー生産能力を持つことが中国の強みだと捉えているようですね。
-
ステランティスCEO「我々はこれから直面するであろう、中国製の安価なEVとの戦争に備えねばならない」。一般に中国では欧州より140万円、もしくは40%ほどEVを安く製造できるようだ
| 正直生産コストではどうやっても欧州製EVは中国製EVに勝てないと思う | 関税によって中国製EVの輸入を抑さえねば欧州の自動車産業は壊滅状態となる可能性も さて、ステランティスCEO、カルロス・タ ...
続きを見る
今後、コストにおいては中国車に勝つことはできない
そしてジム・ファーレイCEOが「フォードにとって、(中国が)GMやトヨタよりも脅威となりうる」と今回のサミットで指摘したのはまさにその生産能力。
その膨大な生産能力、それによってもたらされる圧倒的なコスト競争力によってフォードが太刀打ちできなくなる可能性を懸念しており、今回のサミットでは「中国の自動車メーカー、バッテリー生産の規模が5倍なら、どうやって我々がコストで勝てるのか?」と来場者へと呼びかけています。
現時点ではまだその答えが出ていない、もしくは(答えを持っていても)まだ明かせない状態にあるものと見え、具体的な方策については述べなかったものの「フォードのブランド力である程度は(中国車の侵攻を)カバーできる」とも。
ただ、実際にはフォードの中国における販売台数が2016年以降減少しており、中国の新車販売における中国車比率が年々上昇して現在は50%を超えており、今後ますます「中国市場では海外の自動車メーカーのクルマが売れなくなり、中国車が売れるようになる」のは間違いないのかもしれません。※実際のところ中国においてフォードはかなり苦戦しており、マスタング・マッハEは大幅な値下げを行っている
さらに中国の自動車メーカーは海外へと進出
直近だとフォードは中国のバッテリーメーカー、CATLと提携してミシガン州に新工場を建設していますが、これによってフォードは「アメリカ国内生産によるバッテリー」を使用することで米国内にてフルに減税対象となることを期待しており(まだ決定は出ていないが、フォードの中国におけるパートナー、SAIC=上海汽車が製造するバッテリーを使用して生産したフォードのEVはアメリカ生産だと認められなず、減税対象とはならない可能性が高い)、これによって売国内での価格競争力を確保したいという考えを持っているようですね。
ただ、現在の中国では「中国の自動車メーカー同士の」競争も激化していて、一部の中国の自動車メーカーは競争を避けて海外に活路を見出そうとしているという報道もあり、まだほとんど進出していない中国車が米国に到達すれば、これも「(かつて日本車がそうしたように)瞬く間に」米国車を市場から押しやってしまうのかもしれません(アメリカはクルマ社会でもあり、移動手段として「クルマは安けれ安いほどいい」と考える人も多く、そういった人々は中国車に流れそう)。
-
世界のEV市場はこれから中国車で溢れかえる?ドイツでは輸入EVの約30%を中国車が占め昨年比3倍に。中国EVメーカーは国内競争激化を嫌い海外へと活路を見出す
| EVも家電同様、「販売される製品のうち、8割くらいが中国製」となるのかも | 正直、この流れを止めることはもうできないだろう さて、直近で大きな話題となっている「中国製EVの世界進出」。「中国では ...
続きを見る
参考までに、すでに欧州においては中国車の侵攻がはじまっていて、(中国車の)欧州向け輸出台数は2022年では(2020年比の4倍以上である)200万台となっており、2023年では300万台を超えるのでは、と推測されています。
そしてもう一つ参考までに、フォードは「乗用車(セダン、ハッチバック、コンパクト)から撤退してSUVとトラックに集中する」として事実その分野で強みを発揮していますが、もし乗用車に固執していたとしたら、(中国の自動車メーカーが強いのはまさに乗用車なので)いっそう今よりもひどいこととなっていたのかもしれませんね。
合わせて読みたい、関連投稿
-
世界のEV市場はこれから中国車で溢れかえる?ドイツでは輸入EVの約30%を中国車が占め昨年比3倍に。中国EVメーカーは国内競争激化を嫌い海外へと活路を見出す
| EVも家電同様、「販売される製品のうち、8割くらいが中国製」となるのかも | 正直、この流れを止めることはもうできないだろう さて、直近で大きな話題となっている「中国製EVの世界進出」。「中国では ...
続きを見る
-
中国では4月だけで20ものEVが発売されている!もはや世界中の自動車メーカーはこの速度について行けず、家電同様に「世界中のEVが中国製」となる懸念も
| おそらくは海外の自動車メーカー含め「ほとんどのEVは中国で製造され、世界中へと輸出」されることになるだろう | 家電や電子機器同様、この流れを避けることは難しいものと思われる さて、中国では「販売 ...
続きを見る
-
中国のEVブランド、Zeekr(ジーカー)の新型車「X」のコスパがスゴかった!このデザイン、このパワー、このハンドリング、そしてこの価格は世界中の脅威となりそうだ【動画】
| 今年中には欧州にて販売開始、その動向には注目したい | さすがはボルボやロータスを同系列に持つだけのことはある さて、現在ぼくが最も注目する中国の自動車ブランド、Zeekr(ジーカー)。これはメル ...
続きを見る
参照:Reuters