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テスラのオートパイロット(自動運転)を使用すると非使用時に比較して8倍事故を起こしにくくなり、未使用であっても他の車の平均値よりも1.4倍安全であることが明らかに

テスラ

| ただしこの数値はテスラ自身が集計したものであることには注意を要する |

それでもほとんどの自動車メーカーが自社の自律運転に関わる事故率のデータを公表していない

さて、テスラの「売り物」のひとつがオートパイロット。

これは自動運転(自律運転)をテスラ独自の呼称にて表現したものですが、北米では「完全自動運転と勘違いされるのでこの呼称をしないように」という当局からの指摘が入るなど様々な物議を醸している機能です。

ただ、テスラはEV販売開始初期からこの機能を全面に押し出し、様々なプロモーションを行ってきたために多くの人々が「テスラ=自動運転」という認識を持っていることは間違いなく、テスラのショールームでも「このクルマ、自分で運転しなくてもいいんよね?」とスタッフに尋ねる来場者の姿を目にすることが多々あるほどです。

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テスラ”オートパイロット”は人間の運転に比較して8倍も安全だった

そして今回、テスラが公開したのがその安全性。

テスラによると、オートパイロットを使用した場合の事故率は763万マイル走行ごとに1件であるのに対し、オートパイロットを使用しない場合は955,000マイルに1件であることが示されています。

つまり、これは「人間が運転するよりも、オートパイロットを起動したほうが8倍も安全である」と言い換えることもできますが、あくまでもこのデータはテスラが提出したものであり、その公共性が担保されていないことについては指摘が入っているもよう。

なお、テスラは2022年第4四半期にオートパイロットの安全性に関するデータを公開しているものの、その後1年以上も更新がなく、そして今回突如としてこのデータが出てきたことに疑問を呈する声もあるようです(この数ヶ月、テスラは投資家を不安にさせており、今回このデータを示すことで市場に安心感を与えようとしたのかもしれない)。

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この数字を正しく理解するには様々な観点から見てゆく必要があり、まず「オートパイロット」にはクルーズ コントロールと、ドライバーが車線内に車両を維持することを支援するよう設計されたソフトウェアが含まれています。

加えて、テスラによって提示されたデータには、「ベータ」とラベル付けされている、オートパイロットのより高度なバージョンである完全自動運転 (FSD) を使用しているユーザーが含まれていないことにも要注意(つまり、このデータはより低いバージョンのオートパイロットを使用した場合の数字である)。

ただしこのデータはテスラの内部文書から取得されたものであり、サードパーティから取得されたものではなく(おそらくサードパーティはこういったデータを集計できないであろう)、よって これはバイアスに関する懸念を引き起こすものの、ほとんどの自動車ブランドがこの種のデータをまったく公開していない中、テスラは(期間が空いているといえど)こういった数値を公開していることは注目に値し、この点ではテスラを信用してもいいのかもしれません。

オートパイロットでは事故「ゼロ」にできない

ここで重要なのは、テスラはかねてより「オートパイロットは事故をゼロにするものではない」とコメントしていることで、これ多くの人が求めるオートパイロット=完全自動運転であり無事故という印象とは乖離があるかもしれません。

じゃあオートパイロットは何のためにあるのということになりますが、テスラはこれについて「(少なくとも)人間よりも安全なドライビングを実現するため」と述べており、つまり「事故は必ず発生するが、オートパイロットによって減らすことができる(あるいは事故の度合いを軽減できる)」というわけですね。

2024年第1四半期だと、ドライバーがオートパイロットを使用した場合、走行距離763万マイルごとに1件の衝突事故を記録しました。反面、 オートパイロットを使用していないドライバーの場合、955,000マイル走行するごとに1件の衝突事故が記録されました。参考までに、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)とFHWA(連邦道路管理局米国連邦運輸省)から入手した最新のデータ (2022年以降) によると、米国ではおよそ670,000マイルごとに自動車事故が発生しています。

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つまり、オートパイロットを使用しなくてもテスラのクルマは「走行距離あたりの事故が少なく」、しかしオートパイロットを使用すればさらに事故が少ないということになりますが、テスラがもうひとつ公開したのは「事故と事故とのインターバル」。

テスラによれば、2023年を通じ、オートパイロットを使用した場合の事故間の最低走行距離は518万マイルで、オートパイロットを使用していないテスラドライバーの場合、最低の数値は100万マイルだったといい、つまりオートパイロットを使用すれば、事故から事故までの間隔は5倍に伸びるということになります。

この計測方法につき、テスラは「衝突後5秒以内にシステムが停止した場合にオートパイロット事故をカウントする」と説明しており、しかし記録された衝突事故のいくつか(テスラによれば35パーセント以上)はテスラのドライバーが追突されたもので、これはつまりオートパイロットの性能には関係ない事故だと考えられます。

ちなみにですが、「オートパイロットを使用したほうが、より長い距離を無事故で走ることができる」というこれらのデータに異論を唱える人も少なくはなく、というのもオートパイロットを起動するケースのほとんどが高速道路を走行するという状況であると思われ、となると必然的に一般道に比較すると(オートパイロットを使用しなくても)事故が少なくなるのは当然で、これを「オートパイロット未使用時」「アメリカの事故データの平均値」と比較するのはおかしいというわけですね。

ただ、オートパイロットを使用しなくとも「全米の平均値」より安全であることは間違いなく、そして度々報じられるように「テスラのクルマに命を救われた」例も少なくはなないようで、テスラが他の自動車メーカーのクルマよりも「総じて安全」なのは間違いがないのかもしれません。

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